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日本人が日本人であることを忘れた日
~忘れ去られた「中心」を取り戻し、経営(※)基盤を整える~
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※「経営」は本来、自分自身の生き方や人生(魂)をどう営んでいくか、という修行を意味する仏教用語です。
経典(経=真理)を縦糸に、実践(営=行動)を横糸にして、人生の布を織る行為を指します。
西洋化という「罠」
現代の日本において、私たちの生活はかつてないほど便利で豊かになりました。
しかし、その一方で、原因のわからない体調不良や、心の揺らぎを抱える方が後を絶ちません。
私は住職として、また自己治癒力快復道場Ⓡの師範として、多くの方の心身と向き合ってきました。そこで痛感するのは、現代日本人の多くが「自分の軸」を見失っているという事実です。
かつての日本には、「身土不二(しんどふじ)」という言葉がありました。身体と土地は切り離せないものであるという教えです。その土地のものを食べ、その土地の風土に合った住まいに住み、その土地に適した衣類をまとう。この調和が保たれているとき、人の自己治癒力は最大限に発揮されます。
しかし、明治維新以降、特に戦後の急速な西洋化により、私たちは「日本人であること」を忘れ、衣食住のすべてを外国の真似事で埋め尽くしてしまいました。この「真似事の生活」が、私たちの生命の根幹であるバランスを崩し、不健康の元凶となっているのです。
こんなアンバランスな心身の状態で、健全な経営ができるのでしょうか。

日本人と西洋人は違う
なかでも、私が最も危惧しているのが「衣」の変化です。かつての日本人は、日常的に着物を着、足元には鼻緒のある下駄や草履を履いていました。
これが単なる「ファッション」の違いだと思ったら大間違いです。衣類と履物の変化は、日本人の「骨格」と「重心」、そして「精神の在り方」を根本から変えてしまったのです。
まず、足元に注目してみましょう。現代日本人は西洋人の靴、つまり洋靴を履いています。これに対し、かつての日本人が履いていた鼻緒のある履物は、親指と人差し指でしっかりと鼻緒を掴む必要がありました。
この「鼻緒を掴む」という動作こそが、日本人の身体能力と精神性を支える鍵だったのです。鼻緒を掴むことで、足の指が活性化され、重心は自然と「足の指の付け根(母趾球付近)」に落ちます。
ここが安定すると、骨盤が立ち、丹田(へそ下にあるエネルギーの中心)に力が集まります。これが日本人の「中心軸」です。
しかし、洋靴に代わったことで、私たちは足指を使わなくなりました。踵(かかと)重心になり、骨盤安定せず、丹田の力が抜けてしまったのです。
重心が後ろに下がり、宙に浮いたような立ち方になった現代日本人は、物理的なバランスだけでなく、精神的な「地に足がついた感覚」までも失ってしまいました。
着物は「姿勢矯正衣服」

次に、着物について考えてみましょう。着物は洋服のように「型」が決まっている服ではありません。布を身体に巻き付け、帯で締めることで、その人の身体に合わせた「形」が作られます。
帯を締めることは、物理的に内臓を支えるだけでなく、常に自分の「中心」を意識させる装置でもありました。帯によって腰が据わると、呼吸は自然と深く、静かな腹式呼吸になります。
一方、洋服は肩で着るものです。重心はどうしても上半身に上がりやすく、呼吸は浅い胸式呼吸になりがちです。重心が上がり、呼吸が浅くなれば、自律神経は交感神経優位になり、心は常に急かされ、不安やイライラに支配されやすくなります。
「着物を着ると背筋が伸び、気持ちが引き締まる」というのは、単なる気分の問題ではありません。着物と帯という構造が、物理的に私たちの中心軸を垂直に整え、精神を「いま、ここ」に繋ぎ止めていたのです。
この軸がブレてしまった現代人が、どれほど健康法やサプリメントを追い求めたところで、土台の崩れた家に豪華な家具を置くようなものでしかありません。
「不正」と書いて「歪み」
仏教の世界では「身心一如(しんしんいちにょ)」と説きます。身体と心は一つであり、身体の乱れは必ず心の乱れとして現れます。
中心軸がブレ、重心が浮いてしまった身体は、常に微細な緊張状態にあります。軸のない身体は外からの刺激に過剰に反応してしまいます。これが、現代社会に蔓延するストレス耐性の低下や、感情の不安定さの正体=「歪み」ではないでしょうか。
外国の真似をして、外見だけを整えても、私たちの遺伝子に刻まれた「日本人の身体技法」を無視しては、真の健康、精神は訪れません。
現代日本人は、日本独自の気候風土の中で育まれた「腰を据える」「腹を決める」という感覚を、衣生活の変化とともに捨て去ってしまったのです。その結果が、現代の蔓延する生活習慣病であり、心の病なのです。
日本人としての誇りと身体を取り戻す
明日から全員が毎日着物で過ごすというのは、現実的ではないかもしれません。しかし、その「知恵」を取り戻すことは今すぐにでも可能です。
自己治癒力快復道場Ⓡでは、洋服の状態でも疑似的に和装のバランスを維持できる手法を講義形式でお伝えしています。日常生活にながらで簡単に取り入れられるので、常に自己整体をしている状態になります。
また、人体で一番強い筋肉は「咀嚼筋」であり、このバランスをとるため、噛み合わせを重要視しており、食事の食べ方及び所作の指導を基礎の基としています。
日々の生活の中の日常動作で、日本人の身体特性に合った正しい立ち方、歩き方、座り方、寝方を取り入れれば、特別なトレーニングをしなくても身体が歪むことは少なくなり、真っ直ぐな身体と真っ直ぐな心を維持できるようになります。
自己治癒力とは、外から与えられるものではなく、内側から湧き上がるものです。そしてそれは、正しい「軸」と「バランス」があって初めて正常に機能します。
日本人が日本人であることを忘れるということは、単に伝統行事をやめることではなく、先人たちが何千年もかけて磨き上げてきた「心身の運用法」を捨てることを意味します。
衣食住のすべてを外国に委ね、自分の軸を失ったままでは、私たちは本当の意味で健やかに生きることはできません。今こそ、流行や表面的な情報の波に呑まれるのをやめ、自らの足元を見つめ直すべき時です。
あなたの「肚」に日本人としてのスイッチが入るそのとき、あなたの内側に眠る強靭な自己治癒力が目を覚まします。
身体の歪みを正すことは、精神の歪みを正すこと。
健全な経営は健全な心身にのみ成せるもの。
日本の知恵に立ち返り、ブレない「軸」を取り戻しませんか。

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父は僧侶、母は教師一家という環境に生まれ、幼少期に母を、成人後に我が子を亡くすなど壮絶な人生を経験。自身も病や顔面神経麻痺を乗り越えたことをきっかけに、自己治癒力快復道場®︎を開設。住職として寺院を守る一方、全国・海外で活動し、心身の整え方や“人生の軸”について伝え続けている。
本コラムでお伝えした内容は、日本人の身体性や生活文化の変化を通して、現代の心身バランスや組織の在り方を見つめ直す視点です。衣食住の変化がもたらした影響や、日本人本来の「中心軸」の重要性について分かりやすくお話しいたします。健康経営や人材育成、組織の基盤づくりに関心のある企業・団体の皆さまは、講演依頼はこちらよりお気軽にご相談ください。
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