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知識より順番|新NISAでつまずかない方法

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知らないままでは、選べない
―新NISAを始めた人が、次につまずくところ

 

 

 

 

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「新NISAを始めました。でも、これで合っているのか分かりません」
ここ数年、この言葉を本当によく聞くようになりました。

 

数年前までは「投資は怖い」「損をしそう」という相談がほとんどでした。それがいまは、もう始めている方からの相談に変わっています。口座を開いて、毎月の積立も設定した。それなのに、落ち着かない。制度が変わって始めやすくはなりましたが、始めやすくなったぶん、始めたあとに迷う人が増えたというのが、現場で見ている実感です。

 

 

 

コラム写真1

 

足りないのは知識ではなく、順番だった

僕はこれまで、お金の相談を2,000件以上お受けしてきました。その中で見えてきたことがあります。つまずいている方の多くは、知識が足りないわけではないんです。新NISAの非課税枠がいくらか、つみたて投資枠と成長投資枠は何が違うのか。調べればすぐ出てきますし、実際よくご存じの方も多い。僕より詳しい方に出会うことも、めずらしくありません。

 

それでも迷いが消えないのは、その制度を自分のお金の中でどこに置くのか、そこが決まっていないからです。毎月の積立額を決めたものの、それが多いのか少ないのか判断できない。値下がりした月に、続けていいのか止めるべきか分からない。まとまったお金が入ったとき、そこに足していいのか迷う。どれも制度の知識では答えが出ません。ご自身のお金の全体像が見えていないと、判断の基準がないからです。

 

家を建てるときに、いきなり壁紙を選ぶ方はいないと思います。どこに建てるか、何部屋必要か、予算はいくらか。決める順番があります。お金も同じなんです。制度は、壁紙を選ぶ段階の話。その前に決めておくことがあります。順番を飛ばしても家は建ちますが、あとから「これでよかったのか」と考え続けることになります。

 

 

まず、お金を3つに分ける

僕が講演や研修で最初にお伝えするのは、制度の説明ではありません。
手元のお金を3つに分けるところから始めます。

 

コラム写真2

 

1つ目は、生活を守るお金。仕事が止まっても、しばらく暮らせるお金です。生活費の3か月から6か月分が目安で、ここは増やそうとしません。必要なときにすぐ引き出せること。それがこのお金の役割です。

 

2つ目は、使う予定のあるお金。5年以内に使う先が決まっているお金です。車の買い替え、住宅の頭金、お子さんの進学。時期が決まっているお金を値動きのあるものに置くと、いざ使うときに減っていることがあります。増える可能性より、使えないリスクのほうが痛い。ここは動かしません。

 

3つ目が、増やしていくお金。当分、使う予定のないお金です。新NISAやiDeCoが役に立つのは、ここに置くお金に対してだけなんです。

 

この3つに分けてから制度の話に入ると、「毎月いくら積み立てるか」で悩まなくなります。3番目に回せる金額が、そのまま答えになるからです。値下がりした月も、慌てずに済みます。当分使わないお金だと自分で決めたものなので、いま何円かはあまり関係がないんです。まとまったお金が入ったときも同じで、1番と2番が満たされているかを見て、余っていれば3番に回す。判断の基準が、自分の中にできます。

 

順番が逆のままだと、いくら制度に詳しくなっても迷いは残ったまま。逆に、この3つが決まっている方は、制度の細かい違いを知らなくても、迷わず続けていけます。

 

 

順番を知らなかったのは、僕でした

 

偉そうに書いていますが、この順番を知らずに始めたのが僕自身です。投資を始めたのは30歳のとき。きっかけは、長男のひとことでした。「将来、バスケで海外に行きたい」。夕飯の途中で、当たり前みたいな顔で言うんです。いいね、と返しました。そのあとで、ひとりで考えました。本当に行くとなったら、いくらかかるんだろう。当時の僕は宅配の仕事をしていて、毎月の給料は決まっていて、そこから大きく増える見込みもない。応援してやれる自信が、正直ありませんでした。

 

そこからお金のことを調べ始め、順番も何も知らないまま、クレジットカードの枠から6万円で始めています。いま思えば、ずいぶん乱暴なやり方でした。だから、順番の話をするときは説教くさくならないよう気をつけています。知らずにつまずいた側の記憶が、まだ残っているからです。

 

その8年後のことです。長男が18歳になった年、自分から「NISAを始めたい」と言ってきました。家でお金の話をしていたわけではありません。ただ、僕がお金に関わる仕事をしている姿は、ずっと見ていた。それだけだと思います。そのときも、制度の説明はしませんでした。「アルバイト代のうち、当分使わないのはいくら?」。聞いたのは、それだけです。彼はしばらく考えて、金額を言いました。その金額で積立の設定をして、話は終わり。10分もかかっていません。海外に行きたいと言った子が、自分でお金の置き場所を決めていました。8年前、応援する自信がなかった僕の隣で。順番さえ分かっていれば、18歳でもできるんです。

 

大人も本質は変わりません。この考え方で、企業の従業員研修から商工会議所のセミナー、小学校での出張授業、親子向けの体験型ワークショップまで、これまで200回以上お話ししてきました。制度の解説だけで終わる時間にはしません。手を動かす時間を必ず挟み、聞いた方がその場でご自身の数字に置き換えられるところまでご一緒します。持ち帰っていただきたいのは知識そのものではなく、「明日、何から手をつけるか」の1行です。研修のあとに「勉強になりました」と言われるより、「帰ったら口座の中を見てみます」と言われたときのほうが、うまくいった感覚があります。

 

なお、講演の中で金融商品のご案内をすることはありません。教育の時間として、そこだけは分けています。お金の話は、正解を押しつけるものではないと思っています。ご家庭の事情も、大切にしたいものも、一軒ずつ違うからです。その方が納得して選べるようになること。それが、いちばん長く残るものだと考えています。

 

 

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『子どもにお金の話をしよう』書影

『子どもにお金の話をしよう』(あおぞら父さん著)

 

 

 

 

 

本コラムで紹介した「お金を3つに分けてから考える」という順番は、新NISAをこれから始めたい方だけでなく、すでに始めていて漠然とした不安を抱えている方にも、通じるものがある内容ではないでしょうか。自分のお金を、どこにどう置けば納得して続けられるのか。制度の知識ではなく、何を先に決めるべきなのか。従業員向けの金融教育研修、商工会議所や自治体でのマネーセミナー、学校での金融教育授業、親子向けの体験型ワークショップなど、幅広い場面でご活用いただけます。ご依頼・ご相談はSpeakers.jpまでお気軽にお問い合わせください。

 

 

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