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AI定着の分かれ目|3つの置き場所

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AIは、次の水道です
―中小企業が最初に決める「3つの置き場所」

 

 

 

 

 

 

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「AIを導入したのですが、一部の社員が使って終わりました」

 

中小企業の経営者の方から、いちばん多くいただくご相談です。ツールは契約した。研修もやった。それでも半年たつと、使っているのは最初から詳しかった数人だけ。導入した会社の多くで、同じことが起きています。

 

原因は、社員のやる気でも、ツールの性能でもありません。始める順番です。

 

 

 

 

 

「入れたのに、使われない」の正体

うまくいかない会社には、共通の入り方があります。「どのAIがいいか」から始めていることです。

 

比較サイトを見て、評判のいいツールを選び、全社に配る。ここまではスムーズに進みます。ところが現場に降りると、社員は自分の仕事の何にどう使えばいいのか分からない。結局、思いついた人が思いついた使い方をして、それぞれの引き出しに入ったまま終わります。会社としては何も残りません。

 

これは電気の通っていない建物に、家電だけを配っている状態です。良い家電を選んだかどうかは、あまり関係がありません。

 

 

 

AIは、道具ではなくインフラ

私は、AIは次の水道だと考えています。

 

水道が引かれる前、水は各家庭が井戸から汲んでいました。上手に汲む人もいれば、そうでない人もいた。水道が引かれて変わったのは、水の質そのものより「誰でも、蛇口をひねれば同じ水が出る」という状態が当たり前になったことです。仕事のやり方も、街のかたちも、そこから変わりました。

 

インフラは「何を買うか」ではなく「どこに通すか」で決まります。AIも同じです。決めるべきは製品名ではなく、自社のどこにそれを通すのか。ここを社長が決めない限り、現場は動きようがありません。

 

 

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最初に決める「3つの置き場所」

私は不動産・建設・出版といった、いわゆる伝統産業の現場に入って導入のお手伝いをしています。業種は違っても、最初に決めることは同じ3つです。

 

1つ目は、判断基準です。

この案件を受けるか断るか。値引きをどこまで認めるか。どの見積を優先するか。多くの会社で、これは社長や特定のベテランの頭の中にしかありません。まずここを文章にします。難しく考えず、「こういうときは、こうする」という箇条書きで十分です。

 

2つ目は、業務手順です。

見積を作る、報告書を書く、問い合わせに返信する。毎日繰り返している仕事ほど、手順が言葉になっていません。「最初にどこを見て、次に何を確認して、最後にどう仕上げるか」を書き出す。これがそのまま、AIへの指示書になります。

 

3つ目は、ベテランの暗黙知です。

「この現場は雨に弱い」「この取引先は電話のほうが早い」。教えようがないと思われている経験則です。これは一度に集める必要はありません。日々の判断を口頭で説明してもらい、それを記録に残していく。半年続けると、会社の資産になります。

この3つを、AIが読める場所に置く。それだけで、社員がAIに聞いたときの答えが「一般論」から「自社の答え」に変わります。使われるかどうかは、ここで決まります。

 

 

 

 

社長が操作を覚える必要はない

「私がAIを使えないので進みません」とおっしゃる方がいます。その心配は要りません。

 

社長に決めていただきたいのは3つだけです。どの業務から通すか。投資に見合ったかを何で測るか。最初の90日でどこまで進めるか。

 

測る物差しは、削減した時間でも、対応件数でも、社内で納得できるものなら何でも構いません。大事なのは、始める前に決めておくことです。決めずに始めると、半年後に「なんとなく便利になった気がする」で終わり、次の投資の判断ができなくなります。

 

そして、全社一斉に始めないこと。まず一部署、一業務。そこで数字が出てから広げる。遠回りに見えて、これがいちばん早い進め方です。

 

 

 

現場から見えていること

私は2025年9月から、AI活用の公開セミナーを毎週開いています。2026年8月までに52回、延べ1,202名の方にご参加いただきました。参加者の大半は中小企業の経営者と実務担当者の方です。

 

そこで毎回感じるのは、AIに詳しい会社が伸びているのではない、ということです。伸びているのは、自社の仕事を言葉にできた会社です。

 

自社の判断基準を書き出す。手順を言葉にする。ベテランの経験を記録する。どれもAIが登場する前から「やったほうがいい」と言われてきたことばかりです。AIは、それをやった会社にだけ効く。逆に言えば、その作業さえ済ませておけば、この先どんなツールが出てきても乗り換えるだけで済みます。

 

水道を引くとき、大事なのは蛇口の型番ではありませんでした。どこに配管を通すかでした。

 

御社の3つの置き場所は、もう決まっているでしょうか。

 

 

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嶺本高志(みねもとたかし)
嶺本高志(みねもとたかし)
デジタルレイバーズ代表/AI活用コンサルタント

大阪大学卒業後、DMM英会話の立ち上げにメンバーとして参画。フィリピンに6年間駐在して講師組織と教材開発のマネジメントを担当し、帰国後は法人営業の責任者を4年間務めました。2024年に独立。現在は中小企業向けの月次DXコンサルティングと社内研修を手がけながら、AI活用の公開セミナーを毎週開催している。

 

 

 

 

「AIを導入したのに、結局は数人しか使いこなせていない」——多くの中小企業が抱えるこの悩みは、ツールの性能でも社員のやる気でもなく、実は「始める順番」に原因があります。自社の判断基準を、言葉にできているだろうか。日々の業務手順を、誰が見ても分かる形にできているだろうか。講演では、「AIは次の水道である」という視点から、判断基準・業務手順・ベテランの暗黙知という3つの置き場所を整えることで、AIが現場に根づいていくプロセスについて分かりやすくお話しいたします。経営者向け勉強会、管理職研修、DX推進の社内キックオフ、業界団体でのセミナーなど、幅広い場面でご活用いただけます。ご依頼・ご相談はSpeakers.jpまでお気軽にお問い合わせください。

 

 

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