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感謝を再定義し、辿り着いたデザインの本質とは

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人の心が動く瞬間をつくる

──“感謝”が導いたデザインと仕事の流儀

 

 

 

 

 

 

 

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携帯電話のデザインに学んだ“気持ちのデザイン”

デザインの仕事に長く関わらせていただいてきましたが、振り返ると、私の軸は一度も「形」そのものにあったわけではありませんでした。

 

携帯電話のデザインを手がけさせていただいていた頃、最初は「世界一かっこいいものをつくりたい」という想いで取り組んでいました。見た瞬間に心が動くような美しさ。時間が経っても飽きず、手にしたときに自然に馴染む心地良さ。でもどこか普遍性を感じられる。そんな矛盾する要素を両立させたくて、日々細部と向き合っていました。

 

しかし、長く続けるうちに気づいたことがあります。

0.1mmの幅や厚みの違い、わずかなR(丸み)、ほんの少しの面取り。ユーザーは無意識にそれを感じ取り、「使いたい」「好きだな」と心が動く。

 

人は“形”ではなく、“気持ち”で選んでいる。

この当たり前のような事実が、私の中で何より大切な発見でした。

 

 

 

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寺社プロダクトで大切にしている、晴れやかな“瞬間”

最近では、寺社のプロダクトを手掛けさせていただいています。携帯電話とはまったく違うようでいて、ある意味で実はとても似ています。どちらも、“人の気持ちが動く瞬間をつくる仕事”だからです。

 

寺社のプロダクトというと、「落ち着く」「整う」といった方向を思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、それも大切な役割のひとつです。寺社プロダクトは、長い歴史の中で育ち進化してきたものです。そしてこれからも永続的に進化し、愛され続けていくものです。

私は、「もっと明るくなれて、前を向けるようなもの」をつくり続けていきたいと思っています。

たとえば、手にした瞬間にちょっとワクワクする形、重さ、大きさ。色彩を感じたときに、ふっと心が晴れる感じ。

 

文様を眺めることで、明日に向けて気持ちが軽くなるようなデザイン。

寺社のプロダクトをつくるとき、私は「使う人の中に静かに灯る小さな明かり」を意識しています。

落ち着かせるよりも、前へ進むための“そっと後押し” のような存在になれたらいいのかなと。

携帯電話とまったく違う世界へ移ったのに、人の気持ちが動く仕組みは、どこか驚くほど似ていました。

 

 

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デザインにできることは、今日より少し明日の心を明るくすること

デザインという仕事には、派手な瞬間よりも、静かで穏やかな“積み重ね”が多いように思います。

何かを劇的に変えるというよりは、「昨日より、今日。今日より、明日が少しだけいい」そんな変化をそっと支える。

 

携帯でも、寺社プロダクトでも、私が一番大切にしていることは同じです。

そのデザインによって、その人の“明日の気持ち”が少しでも明るくなるか?

デザインは人の人生を大きく変える力を持っている、とは私は言いません。

けれど、確実に“心が軽くなる、小さなきっかけ”にはなれる。

その積み重ねこそが、人の歩む道を長い時間をかけて変えていくのだと思います。

 

私はこれからも、使う人の中に、そっと灯る明るさのようなものをつくれるデザインを目指したい。

モノづくりの領域が変わっても、時代が変わっても、人の気持ちはいつも同じ場所で動いています。

その気持ちに寄り添えるデザインを。

それが、私がこの仕事を続ける理由です。

 

 

 

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小牟田啓博(こむたよしひろ)
小牟田啓博(こむたよしひろ)
デザインプロデューサー

携帯電話の黎明期、au design project立ち上げ、Butterfry J、isaiなど国際共同開発まで幅広いプロジェクトにデザインディレクターとして参画、“機能を美しく社会性に接続する”デザインで業界に革新をもたらす。その後、伝統文化のエレガントな再創造をライフワークとし、神社仏閣の文様デザイン・祈祷札・特別御守の企画設計など、祈りをカタチにするプロダクトを日本各地で実現。

 

 

 

本コラムでお伝えした「人は『形』ではなく『気持ち』で動く」という考え方は、領域を越えて一貫してきた講師の仕事観であり、あらためて確信しているテーマでもあります。感謝を再定義し、人の心が動く瞬間に静かに寄り添うこの視点は、デザインやものづくりの話にとどまらず、働き方や生き方を見つめ直すきっかけにもなるテーマです。講演やセミナーをご検討の方は、Speakers.jpまでお気軽にご相談ください。

 

 

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