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フィンランド流ワーク・ウェルビーイングの真実

2026.02.05

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16時に帰るのに、なぜ生産性が高いのか?

〜フィンランド流「ワーク・ウェルビーイング」が組織と個人の可能性を最大化する〜

 

  

 

 

 

 

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はじめに

「働き方改革」で、私たちは本当に幸せになれたのか?

「残業を減らせ」
「有休を取れ」
「もっと効率的に」

 

今、日本の多くの職場では、こうした号令が飛び交っています。
しかし、現場の皆さんの表情を見ていると、どこか疲れ切っているように感じることがあります。

 

本来、私たちの生活を豊かにするための「働き方改革」が、単に時間を削るだけの「時短ハラスメント(ジタハラ)」になっていないでしょうか?
仕事を減らすことに必死で、肝心の「働く喜び」や「クリエイティビティ」が置き去りになってはいないでしょうか。

 

視線を海外に向けてみましょう。
国連の「世界幸福度ランキング」で不動の1位を誇るフィンランド。
彼らの多くは、午後4時(16時)には退社し、家族との時間や趣味、森での散歩を楽しみます。

 

「そんなに早く帰って、仕事が終わるはずがない」日本人の感覚ならそう思うかもしれません。
しかし、彼らの時間当たりの労働生産性は非常に高く、イノベーションランキングでも常に上位にいます。

 

なぜ、16時に帰るのに、成果が出るのか?
なぜ、彼らは「仕事」も「人生」も諦めないのか?

 

私は東京でのブランドコンサルタントとしてのキャリアを経て、
現在は岐阜県の飛騨高山に拠点を移し、「elämä(エラマ/フィンランド語で『人生・生きる』の意味)」
というプロジェクトを通じて、北欧の生涯教育やウェルビーイングを研究・実践しています。

 

今回は、2025年の最新視察で確信した日本人が自分の人生の主役を取り戻すためのヒント」について、
ビジネスと生き方の両面からお話ししたいと思います。

 

 

 

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「時短」の前に「ウェルビーイング」を。組織を強くする幸福の定義

Doing(何をするか)からBeing(どうあるか)へ

フィンランドの企業を訪問してまず驚かされるのは、彼らが「何を達成するか(Doing)」の前に、「どうありたいか(Being)」を強烈に意識している点です。

日本のビジネスシーンでは、KPIやタスクの消化が最優先されがちです。
しかし、フィンランドの多くのリーダーたちはこう考えます。
「社員が心身ともに健康で(Well-being)、自分らしくいられる状態(Being)であって初めて、最高のパフォーマンス(Doing)が発揮される」と。

 

 

 

経営資源としてのウェルビーイング:日本とフィンランドの現在地

これは単なる精神論ではありません。
実際、ヘルシンキの先進企業では、従業員の幸福度と顧客満足度・収益性の相関を重視し、ウェルビーイングを組織の成長を支える重要な「経営資源」と捉える傾向が定着しています。

 

一方、日本でも2026年現在、大きな変化が起きています。
「OWIウェルビーイング・サーベイ」のように、組織の状態を科学的に数値化する指標が整備され始め、職場のポジティブな感情や信頼関係が、実際の業績目標の達成に直結していることがデータで確認されるようになってきました。

 

フィンランドは、長い時間をかけて教育や社会レベルでウェルビーイングの土壌を育んできました。
対して日本は今、それを「測る・見える化する」技術を通じて、経営の中核指標へと育てている段階にあると言えます。
アプローチは違えど、「人の幸せこそが、最強の資本である」という真実に、日本のビジネスもようやく追いつき始めたのです。

 

 

 

16時以降の「余白(Yohaku)」がイノベーションを生む

では、なぜ16時に帰ることが生産性につながるのでしょうか。
その鍵は「余白(Yohaku)」にあります。

日本の組織では、長時間デスクに座り、情報を詰め込み続けることが「熱心さ」とされがちです。
しかし、脳科学的にも、新しいアイデアは「詰め込んでいる時」ではなく「リラックスして空白ができた時」に生まれると言われています。

 

フィンランド人は16時に退社した後、会社員としての顔を脱ぎ捨てます。
地域のボランティアリーダーとしての顔、森でベリーを摘むひとりの人間の顔、家族とサウナに入る親としての顔。
こうして「会社以外の自分」を持つことで、脳と心に豊かな「余白」が生まれます。

 

翌朝、彼らはその余白によってリフレッシュされた脳で出社します。
さらに、地域活動や趣味で得た異分野の知見が、仕事上の課題解決のヒントになることも日常茶飯事です。

 

皆さんの組織ではどうでしょうか?
社員が会社と家の往復だけで疲弊し、新しい視点を持ち込む「余白」を失ってはいないでしょうか?

 

「16時に帰る」ことは、単なるサボりではありません。
それは、明日のイノベーションを生むための「戦略的な休息」なのです。

 

 

 

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沈黙を恐れない「対話」が、自立したプロフェッショナルを育てる

答えのない時代に必要な「問う力」

次に、組織のコミュニケーションについて考えてみましょう。
フィンランド教育が世界的に注目される理由の一つに、テストの点数では測れない力の育成があります。
すぐに正解を出すことよりも、答えのない問いに向き合う忍耐力や、他者と協調して解を創り出す力。
これらを育む土壌となっているのが、社会全体に根付く「対話(ダイアローグ)」の文化です。

 

 

「沈黙」は、思考している音である

日本の会議では、効率を重視するあまり、沈黙を嫌い、すぐに結論を急ぐ傾向があります。
「で、答えは?」「誰か意見はないの?」と。

 

しかし、私がフィンランドの視察で体感した対話の現場は、全く異なるものでした。
そこには、驚くほど豊かな「沈黙」が存在していたのです。

 

フィンランドにおいて、沈黙は「何もしていない時間」ではありません。
「自分の中で考えを咀嚼し、自分の言葉を探している時間」として深く尊重されます。
意見がないときは、無理に取り繕わず「今は意見がありません」「考えています」という態度自体が、ポジティブな意思表示として受け入れられるのです。

 

 

「待てるリーダー」が心理的安全性をつくる

これをビジネスに置き換えるとどうなるでしょうか?

上司が矢継ぎ早に問いかけ、沈黙を恐れて自ら答えを言ってしまう組織。
これでは、部下は「上司の正解」を探すようになり、思考停止に陥ります。
結果として、想定外のトラブルが起きた時に誰も動けなくなります。

一方で、フィンランド流の「待つ対話」を取り入れている組織は、確かな成長の土台を築きます。
リーダーが沈黙を許容し、メンバー一人ひとりが自分の言葉で語り出すのをじっくり待つ。
そうして紡ぎ出された言葉には「納得感」と「責任」が宿ります。
いざという時、全員が自立したプロフェッショナルとして判断し、動くことができるのはそのためです。

 

「急がば、対話せよ」。


これからのリーダーに求められるのは、強力な指示命令ではなく、
メンバーの中に眠る答えが浮かび上がってくるのを待てる「ファシリテーター(触媒)」としての度量ではないでしょうか。

 

もし明日から、会議で誰かが黙り込んだ時、「お、今、深く考えているんだな」と心の中で待ってみる。
たったそれだけで、チームの空気は変わり始めます。

 

 

 

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SISU(シス)としなやかな強さ。自分らしい人生を整える「ブランド」の作り方

根性論ではない、新しい「SISU」のカタチ

最後に、私たちが個人としてどう生きるか、という観点のお話しです。
フィンランドには「SISU(シス)」という独特の言葉があります。
「不屈の精神」「ガッツ」と訳されることが多く、日本でいう「根性」に近いイメージを持たれがちです。

 

しかし、2025年の現地視察や、エリザベス・ラーティ博士をはじめとする最新の研究者の話を通じて、SISUの概念もアップデートされていることを知りました。

かつてのSISUは、一人で歯を食いしばって耐える「Hard Sisu(硬いシス)」でした。

でも、それは時に孤独や燃え尽きを生みます。
今、注目されているのは、エリザベス・ラーティ博士が再定義した「Gentle Power(しなやかな強さ)」としてのSISUです。

 

困難に直面した時、無理にポジティブになるのではなく、自分の弱さや疲れを素直に認めること。
「今は休む時だ」と判断し、親しい人と体を寄せ合って休息をとる(フィンランド語で『pötköttää(プトゥコッタ)』といいます)こと。
そうやって神経系を整え、エネルギーを回復させてから、また一歩を踏み出す。
それが、持続可能な本当の強さなのです。

 

飛騨高山で実践する「私というブランド」

私は数年前、東京での激務から離れ、飛騨高山に拠点を移しました。
これは「都落ち」でも「リタイア」でもありません。
私自身が「Hard Sisu」で自分をすり減らす生き方をやめ、自分らしい「Gentle Power」を取り戻すための戦略的な選択でした。

 

飛騨の森や雪景色の中で暮らしていると、自分も自然の一部であることを思い出します。
仕事の肩書きや、誰かからの評価という鎧を脱ぎ、「私は何が好きで、何に心地よさを感じるのか」という感覚(Being)を研ぎ澄ます。
その積み重ねこそが、誰にも真似できない「自分だけのブランド」になります。

 

今、私は地方に住みながら、全国の企業や自治体とお仕事をさせていただいています。
場所や環境のせいにせず、自分の神経系を整え、しなやかに生きる。
そうすれば、どこにいても仕事は創れるし、人生の主導権を握り続けることができます。

 

 

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結び:あなたは、あなたの人生の主人公である

フィンランドの事例や、私の飛騨での生活を通じてお伝えしたかったこと。
それは、「誰もが自分の人生の主人公である」というシンプルな真実です。

 

生産性を上げるのも、地域を活性化させるのも、結局は「人」です。
その人が、我慢と根性で心をすり減らしていては、何も生まれません。

 

まずは、あなた自身の心に少しの「余白」を作ってみてください。
16時に仕事を終えるつもりで密度濃く働き、その後の時間を自分のために使う。
会議での沈黙を恐れず、相手の言葉を待ってみる。
そして、辛い時は「Gentle Power」を思い出して、堂々と休む。

 

そうした一人ひとりの小さな「しなやかな変化」が、やがて組織を強くし、社会を豊かにしていくと私は信じています。

 

皆さんの人生の「主導権」は、今、皆さんの手の中にありますか?

 

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石原侑美(いしはらゆみ)
石原侑美(いしはらゆみ)
フィンランド生涯教育研究家/エラマ合同会社 代表社員

早稲田大学大学院修士課程修了(国際関係学)。ブランド・コンサルティング業を経て、2014年起業。「人のアイデンティティ形成」を研究テーマに、現在は岐阜県飛騨高山を拠点に活動。フィンランドの「生涯教育」と「ウェルビーイング」を軸に、人が「自分の人生を生きている」と実感できる社会を目指し、企業研修、自治体連携、メディア運営(よむエラマ)を展開している。

 

 

 

 

 

本コラムでご紹介した、フィンランド流の「ワーク・ウェルビーイング」や、16時退社を可能にする余白の考え方、沈黙を大切にする対話の文化など、働き方や組織のあり方を見直すきっかけとして、ご関心がありましたらSpeakers.jpまでお気軽にご相談ください。

 

 

 

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