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働きたい?働かなければならない?
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「働きたい」
という気持ちで働いていますか?
それとも
「働かなければならない」
という義務感から働いていますか?
学生さん対象のキャリアビジョンセミナーでこんな問いかけをすることがあります。
「将来、働く人」
これに対してはほとんどの方が挙手をします。ところが、続いて
「働きたい人」
と問いかけると、ほとんどの方が挙げていた手を下ろしてしまうのです。
つまり「働きたくはないけれど働く」と、義務感をもって就職をする若者が多いということなのでしょう。
私は日本で就職をした際、東京でぎゅうぎゅう詰めの電車に乗せられ、運ばれ、働かされている、という気持ちで働いていました。
目標やビジョンはありませんでした。
多くはない給料から必要経費を使い、余ったお金でクラブに遊びに行きストレスを発散する。そして毎月手元にお金は残らない。
働くことにストレスを感じ、稼いだお金を使い切るなら、働かずにいた方がストレスが溜まらない分マシなのではないかとすら思いました。
行き着く場所のない、ぐるぐる回る車輪の中を、ただひたすら走り続けるハツカネズミのような気分で毎日をやり過ごしていました。

「私たちは何のために働くのでしょう?
残念ながら世の中には心底楽しんで働く方は少ないように思います。
日本では1日の多くの時間を仕事に費やす方も少なくありませんが、多くの方がなぜ、何のために働くのかを自分自身で納得することなく、限りある貴重な人生の時間を仕事に費やしています。
私たちは何のために働くのでしょう?
- 社会人として自立するため
- 家族を養うため
- 趣味にお金が必要だから
- 家を持ちたいから
- 金持ちになりたいから
- 皆が働いているから
様々な理由があると思いますが、これらの本質を突き詰めると人が働く理由が明らかになります。
ここに挙げた例に共通するのは「心を満たす」ということです。
つまり、私たちは満足感、安心感、優越感のため、言い換えれば「幸せのため」に働いていると思うのです。
けれども実際にはどうでしょうか。
幸せのために働いているはずの私たちは、働くことに義務感を感じ、そのことでむしろ幸せから遠ざかっているのではないでしょうか?
なぜ働いても満たされない?
なぜこのような矛盾が生じてしまったのでしょう。
それは働く目的が曖昧になったことにあると考えます。
仕事の原点は、物々交換に見ることができます。
貨幣制度ができる以前、人は獲った獲物と木から収穫した実などを交換する、あるいは調理という労働を提供するなど、できることを分業し、物々交換や再分配などで生きるのに必要なものを手に入れていました。
やがて、収穫物などの代わりに、現在のお金の始まりとなるものを使うようになりました。
つまり、ざっくりと言えば、貨幣制度は物々交換の合理化なのです。
長い時を経て、人々の需要は複雑化し、それに伴って様々な職業が生まれました。
同時に、生きるために必要ではないものまで際限なく求め、より多くのお金を欲するようになりました。
物々交換の時代の仕事の定義は
「できることを分業し、必要なものを手に入れること」
しかしながら現在では、
「より多くのお金を稼ぐこと」
が目的とされる傾向があります。
適性を活かすことより、お金を稼ぐことが重要になっているのです。
子供の頃に情熱を注いでいた事柄を諦め、お金を稼ぐことを目的とした人生を送る方も少なくありません。
「お金を使っているつもりが、いつしかお金に使われている」
そう感じる方も多いのではないでしょうか。
このようにして私たちは自らを幸せから遠ざけてしまったのです。

義務感から抜け出すには?
「心を満たすために働いている」
まずはそう認識することです。
仕事そのものに満足感がある場合は、それだけで心を満たすことができます。しかしながら、義務感から働いている場合は、直接的に心が満たされないので、思考の転換が必要になります。
仕事そのものではなく、稼いだお金の使い道にフォーカスすることをお勧めします。
働くことが最終的には自分の心を満たしてくれるのだと再認識することで、嫌な業務にも合理的に納得ができます。
- 好きな趣味に費やすことができる
- 旅行に行ける
- 家族の生活を支えることができる
仕事自体には「働かなければならない」という義務感があるかもしれませんが、その先にある自分の心を満たすことには義務感はありません。
結果的に自分の選択で働いているということになります。
「心を満たすために」自分の判断で働いているのだと気づけば、心は軽くなるはずです。
本当のワークライフバランスとは?
日本には自身の仕事に誇りを持つ人が多く、仕事を人生の目的のように捉える傾向があります。
だからこそ、道を極めた「匠の技」によるクオリティーの高さ、世界に誇る技術力があるのだと思います。
しかしながら私が住むオーストラリアではそれが主流ではありません。
仕事を、生活を充実させるための手段としか捉えない人も多くいます。
仕事に人生の重きを置くのではなく、生活があり、それを仕事によって支える構造です。
仕事に誇りを持つのは素晴らしいことですが、必ずしも仕事を自身のアイデンティティーとする必要はないと思います。
現在の仕事に満足感を得られていないのであれば、無理にその道を極める必要はないと思います。
趣味や家族など、生活に重きを置き、仕事はそれを支えるための手段と捉える。
それが「ワークライフバランス」の確立であり、これによって心の健康、「ウェルビーイング」が達成できるのだと、オーストラリアの人たちの生活に学びました。
仕事を極めなくとも、「心を満たすため」に働くことができれば、自ずと仕事のクオリティーは上がります。
かつて私はハツカネズミのように、ビジョンも希望もなく働いていました。
オーストラリアで本当の「ワークライフバランス」と「ウェルビーイング」に出会い、今では「心を満たすため」に働いています。

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シドニーを拠点に、グラフィックデザイン事業経営者・アートディレクターとして、旅行・観光業界を中心とした広告やブランディング、日本政府観光局(JNTO)関連のプロモーション制作などに従事。深い喪失体験から「しあわせとは何か」を探求し、進路とウェルビーイングをテーマにした講演やアートセラピーワークショップを開催している。
本コラムで紹介した内容は、これから社会に出る学生の方だけでなく、日々の仕事に追われて「何のために働いているのか」を見失いかけている社会人の方にとっても、気づきの多いテーマではないでしょうか。働く本当の目的とは何か。仕事と人生の心地よいバランスとは何か。
講演では、オーストラリア在住20年以上の経験と、シドニーでのデザイン事業立ち上げの実体験をもとに、義務感から抜け出し「心を満たすために働く」考え方について分かりやすくお話しいたします。
高校・大学でのキャリアセミナーや進路講演、新入社員研修、ウェルビーイング・メンタルヘルス研修、働き方に関する社員研修などにおすすめです。
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