
デジタル時代の羅針盤
Googleビジネスプロフィールが拓く「地域密着のお店」の未来
はじめに
スマートフォンが手放せない現代において、地域のお店やサービスを探すとき、多くの人がまず何をするでしょうか?おそらく、Googleマップや検索エンジンで「地域名+業種」や「業種+地域名」といったキーワードを入力するはずです。この行動こそが、今、「地域密着のお店」にとってGoogleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)が、集客の要となっている理由です。
Googleビジネスプロフィールとは、Googleマップ上に表示される店舗や施設の詳細情報のことです。住所や電話番号、営業時間といった基本情報に加え、写真、投稿、クチコミなどがまとめて表示されます。そして、この情報の利用やオーナー確認は一切無料です。
・「Googleマップを活用して若い、新規のお客様が増えました」(ゴルフ練習場様)
・「新規の患者さんは、ほとんど『Googleマップを見ました』とおっしゃいます」(整体院様)
・「クチコミを見たという新規のお客様が明らかに増えました」(宝飾店様)
といった、具体的な成果の声も聞かれます。これは、まさに多くの消費者が「まずGoogleマップで探す」という行動をとっている証拠と言えるでしょう。
では、なぜGoogleビジネスプロフィールがこれほど重要なのでしょうか?
Googleで社名(屋号)検索された際に、検索結果の右側(スマホでは最上部)に大きく表示される可能性が高いからです。また、「地域名+業種」などで検索された場合も、自社ホームページよりも上位に(目立つ位置に)表示される可能性が高いからです。これは、消費者が店舗やサービスを「見つける」最初の接点として、Googleビジネスプロフィールが非常に強力であることを意味します。
この重要なGoogleビジネスプロフィールを最大限に活用するためには、まず「オーナー確認」を行うことが不可欠です。オーナー確認をしないまま放置していると、誤った情報(間違った営業時間、写真など)が載ったままになったり、クチコミに返信できなかったりする可能性があります。これにより、情報が見劣りし、「営業しているか分からない」「取り付く島がない」と判断され、他店に新規客が流れてしまう恐れがあります。
オーナー確認方法はGoogleにより指定されます。「確認コード」を電話、郵送、あるいは動画撮影などで入手・入力します。
オーナー確認が完了したら、まず重要なのはビジネス情報の正確な掲載・修正です。
名称(屋号、会社名。常設看板の記載通りに)、カテゴリ(特にメインカテゴリは慎重に。検索結果の表示に大きく影響するため、自社のビジネス内容を最も的確に表すカテゴリを選びましょう)、住所、電話番号、URL、営業時間などを詳細に記載します。名称については、看板や販促物で使用され、認知されているブランド表記と一貫性を持たせること、全角50文字以内であること といったガイドラインもあります。
また営業時間では、祝日や年末年始などの「特別営業時間」も正確に記載することが重要です。営業時間の記載の不正確さが低評価につながりやすいことも指摘されています。
次に重要なのが写真の追加です。店内、外観、サービス、チームなど様々な写真を追加することで、お店の雰囲気を視覚的に伝えることができます。
写真については、「お客様が知りたいこと」を発信することが重要です。
例えば、「禁煙(分煙)かな?」「電子決済は使えるのかな?」「入口に段差はあるのかな?」「駐車場はあるのかな?」といった、お客様の疑問や不安を解消するような写真を掲載することで、来店意欲を高める効果が期待できます。
動画もカバー写真の次に表示される可能性があり、目立つために有効活用したい要素です。
投稿機能も活用したい要素です。セールなどのトピックを掲載できます。投稿は「最新の」情報である必要はなく、利用エピソードを描写して「こんなこともできますよ」とPRすることも有効な活用法です。
そして、Googleビジネスプロフィールを語る上で欠かせないのが「クチコミ」対応です。クチコミは一度書かれると、あまりにも不適切なものを除き、基本的に削除することはできません。
クチコミを書いてもらうための働きかけも重要です。「雰囲気や味、メニューや接客などについてご感想をお聞かせください」といったように、できるだけ具体的に書いてもらうよう依頼することが大事です。
ただし、Googleのポリシーにより、クチコミの見返りとして特典を提供することは明確に禁止されています。これは、クチコミの価値が「偏見がなく正直なもの」であることから生まれるためです。
そして、クチコミへの「返信」は非常に重要です。新しいクチコミがあるとGmailにお知らせが届くため、必ず返信するようにしましょう。お店からの対応は、クチコミを読んだ他のユーザーの印象を大きく左右します。
低評価クチコミへの返信パターンとして、相手の名前を呼び、連絡への感謝を伝え、指摘事項を確認・謝罪し、理由を説明し、本質(心情面)を理解しお詫びし、善後策を提示し、指摘への感謝と今後の関係性について触れる といった丁寧な対応が推奨されます。
一方で、謝らない、お客様があえて書いていない事項に言及する、お詫びのため自宅に電話するといった対応は「3大タブー」になりますので注意しましょう。
高評価クチコミへの返信は短めでも良いですが、「目の付けどころを褒める」、「複数のスタッフが喜んでいることを伝える」、「別ポイントをさりげなくPRする」 といった工夫を凝らすことで、さらに良い印象を与え、他のユーザーへのアピールにも繋がります。
最後に、Googleビジネスプロフィールで「何をどこまでやるか」のまとめです。
(1)「基本情報整備と丁寧な対応」として、営業時間等の情報整備、お客様目線の写真の追加、クチコミ返信といった、Googleビジネスプロフィール内で完結する基本施策があります。店名検索がされたときに基本的な情報が出せればじゅうぶんという場合や、近隣に競合が少ない場合は、この基本的施策だけで良いでしょう。
(2)「積極的な情報発信とWeb活用」としては、SNSやネット上の評判を増やしたり、看板設置やポスティングで指名検索を促したり、ホームページを整備(お客様目線のコンテンツ、ローカル情報の記載、専門性ある内容)したりといった、Googleビジネスプロフィール以外の施策も重要です。こちらは、近隣や周辺地域に競合が多い場合や、どうしてもローカル検索上位に表示されたい場合に頑張るべき施策です。これらWeb活用に総合的に取り組むことで、結果的にGoogleビジネスプロフィール以外のWeb媒体でも成果が見えてくることでしょう。
Googleビジネスプロフィールは、単なる店舗情報ページではなく、デジタル時代の顧客との重要な接点でもあり、地域での「見つけられやすさ」を左右する羅針盤のようなツールです。
まずはオーナー確認から始め、基本情報を整備し、お客様目線での情報発信を心がけ、届いたクチコミに真摯に対応することをご検討ください。これらを継続することで、冒頭でご紹介した「新規のお客様が増えました!」という成果に繋がるはずです。
デジタルでの集客に悩む地域ビジネスの皆様にとって、Googleビジネスプロフィールはガイドラインに沿って正しく活用すれば「強力な味方」となる無料ツールといえるでしょう。

旅行会社、財団法人勤務を経て独立。理論家・評論家ではなく、HPの自作(自社運営/Webマスター)・発注・受注の実務経験がある「中小零細企業のホームページ運営・改善実務」に精通したコンサルタント。「実践的で、とにかく話がわかりやすい」とクライアントから評されている。
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