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石倉洋子 講演会講師インタビュー

経営戦略、競争力、グローバル人材を専門とする、石倉洋子氏。
日本および外国企業の経営幹部研修・戦略ワークショップ、グローバル人材、多様性推進、女性活用などに関する各種セミナー等で活躍。2020年から未来に向けて、企業が行うべきことを伺った。

(text:大橋博之、photo:小野綾子)

ハッピーエンドかバッドエンドか?

──日本において2020年という年をどのよう捉えていますか?

 

石倉 日本にとって最も大きな転換期の年だと言えます。2つのシナリオが考えられます。ひとつは、オリンピックをひとつの切っ掛けとして成長軌道に戻るというハッピーエンド。もうひとつは少子高齢化や労働力不足によってこのまま成長せず死に絶えるというバッドエンドです。

 

石倉洋子

──どちらの方が可能性が高いのでしょうか?

 

石倉 未来は自分達が作るものです。「日本という国をどうしたいのか?」は若い人たちが決めることだとも言えます。

しかし、それ以前に「日本」で考えることに意味はあるのだろうかという気がします。

日本は世界において周回遅れです。何事においても世界とのギャップは広がるばかり。DX(デジタルトランスフォーメーション)で改革するという声も聞こえますが、企業が何をやりたいのかが見えてこないのが現実です。

私はイスラエルにおけるイノベーションの状況をレポートする書籍を執筆中ですが、イスラエルのスタートアップ企業は「このような企業になりたくて、世界をこう変えたい」という希望にあふれた話をします。日本の企業に欠けているのは、そこです。言えばいいだけの話です。なのに「あなたの事業をどうしたいの?」と事業部長に聞いても、あるいは次のリーダー候補の人に「どんな会社にしたいの?」と聞いても、答えがなかなか出てこない。どうして言わないのかが疑問です。謙遜しているのかもしれませんが、それが言えなければこれからの時代、存在意義はなくなります。企業だけでなく、日本そのものに存在感が欠如しています。

 

──よくわかります。

 

石倉洋子

石倉 世界の経済は混乱していますが、これからはテクノロジーの覇権争いになって行きます。アメリカはもちろん、中国のテクノロジーに対する投資が驚異的になっています。だから、両国のテクノロジーの覇権争いが将来、どうなるのかの行く末を見る必要があります。米中で世界が真っ二つに分かれる可能性もあるでしょう。そのとき、どちらに付くのか? それを考えないといけません。

 

──大半はアメリカと答えるのでは?

 

石倉 そうです。しかし、本当にそれで良いのか? 企業としては今の世界の状況を見て、これから3年後、5年後で政治や経済、テクノロジーはどの方法に向かい、社会はどう変わり、消費者の行動はどう変化するのかを、自分なりに考えないとバッドエンドに進むだけです。

 

──変化が激しくて時代が読めないともいわれています。

 

石倉 読めない時代ですが、リーダーなら自分なりに考えないといけません。

「読めない」というのは、単なる責任回避です。そんな状態なら「だったら辞めてもらいます」と言われてしまうだけです。

 

 

個人が成長しなければならない

──世界から遅れている日本は追いつけるでしょうか?

 

石倉 80%の確率で追いつけないでしょう。その可能性の方が大きいと思います。

追い付くということをアメリカ、中国と同等のレベルと捉えると、追いつくのはもう遅すぎます。

同じ土俵で競争しようとしても負けるだけです。だったら、ユニーク性を出して、その価値を理解してもらう人や市場を探して、そこで勝負するしかありません。

 

──2020年が、ハッピーエンドに向かうのか、バッドエンドに向かうのかの転換期として、2030年に向けて企業はどうすればよいのでしょうか?

 

石倉洋子

石倉 経済を見ても予測不可能です。半年前とも状況は違っています。そうするとある程度、推測するしかありません。「グローバルリスク報告書」というのがあります。これを見ると起こる可能性が高くインパクトの大きなものを知ることかできます。そういう資料などを参考にすることで、自分の仕事、会社、業界にどれくらいの影響があるのかを考えることができます。資料を参考にしたり、有識者と話したりなどして、自分で見極めることです。

 

──自分で見極めないことは単なる責任回避だということですね。

 

石倉 そうです。世の中で推奨されているからと女性役員を増やしたり、残業時間を削減をする企業が多いですが、何のためにやっているか、何を目指しているのか、を考えるべきです。

 

 

──トップがやるべきことは何なのでしょうか?

 

石倉 トップはもっと海外に出かけて自分の目で見ることが大事です。世界の情報を入手できないと世界のことは分かりません。最近では、テクノロジーの変化があまりにも激しくて、日本語に訳しているのでは遅すぎる、という事態になっています。新しいことは英語で読まなければ勝負になりません。なのに、トップが「英語が苦手で」などと言っているのを聞くと、大丈夫なのかなと思ってしまいます。

 

──トップに求められていることは高度化していますね。

 

石倉 それは間違いないと思います。

今の時代の経営者は大変だと思います。さまざまな社会的課題が起こるし、今までとはまったく違う世界だということを知っておかなければ手も足も出ません。情報を取るだけでなく、実際、海外に行って自分の目で見たり、聞いてみないと本当の感覚は分かりません。

それはトップだけでなく、社員全員に対しても言えることです。

 

──トップにしてもやれることに限界があるのではないでしょうか?

 

石倉洋子石倉 そのためには、かなりの数のリーダー候補生をきちんと育てる。それ以外にないですね。総てを自分でやる必要はありません。そのことを理解して、出来る人に割り振り、任せること。そして、何か起きたときにすぐにわかるようにしておくことです。

 

──最近では企業内大学(コーポレート・ユニバーシティ)を作るなどして人を育てようとする企業も増えてきました。

 

石倉 人を育てるには時間がかかります。

むしろこれからは個人が、自分の得意技を持って、自分の市場価値を上げる必要があります。そのためには一社に固執するのではなく、いろんな会社で働くというオプションもあります。会社で社員を囲い込む時代ではありません。

企業は「私たちはこんなビジョンがあり、こういう会社になりたい。こんなふうに世界を変えたい。だからこういう人を探している」と情報を発信することで、人が集まってきます。給料がいくらだとかだけでは相手にされません。

個人は自分をどんどん成長させて行くことです。常に新しいスキルを学ばなくてはなりません。「Life long learning=生涯学習」が必要なので、会社に依存していて良いのかなと私は疑問を持っています。企業内大学にしてもやらなければいけないことは高度化しています。会社でできることにも限界はあります。ならば、外の仕事をさせればいいんです。それで辞めていってしまうのなら、会社に魅力がなくなったということなので、仕方がないと思います。

 

 

やる気のない日本にいても意味はない

──日本はイノベーションを起こせますか?

 

石倉 起こせます。昔はソニーのポータブルオーディオプレーヤー「WALKMAN」とかいろんな商品があったじゃないですか。でも、今は人の生活を大きく変えるような商品はありません。それは何故なのかというと、イマジネーションがないからです。「こんな生活ができるのではないか」「この問題を解決できるのではないか」ということが、考えられないんです。

石倉洋子「こういうことができたらいいな」という視点がイノベーションの原点です。それを考えられない。考えても潰されてしまうのだと思います。

 

──なぜ、そうなってしまうのでしょうか?

 

石倉 それは今までと同じやり方でやろうとするからです。アイディアを今ある事業部に投げても、その事業部のやり方でやるから上手く行かないんです。だから別会社にしたほうが良いです。

新規事業の部署を作っても内部の人間が文句を言って潰してしまうんです。

新しいことを10個やって1個上手く行けばいい方です。ダメ元が大事です。

 

 

──日本は10個あったら10個成功しないと評価されない。

 

石倉 イノベーションは今までなかったことを試す、切り開くわけですから、すべてが上手く行くわけがありません。ほとんどが失敗することが常識なのに、すべて成功しようというのは、イノベーションと言っても冗談でしょと思います。

 

──今後、10年後、日本企業はどうなって行くでしょうか?

 

石倉 世界でやっていける企業と死に体の企業の二極化がさらに進むでしょう。

ベンチャー企業は一時、増えたけれど、今は「これはすごい!」という企業はあまりないように思います。世界でトップ100に入る企業も少ない。

 

──日本をどう変えるのかではなく、世界をどう変えるか、ということですね。

 

石倉 国境はもう意味はありません。日本を変えるといっても、日本が沈んでしまっては意味はないわけですから。

 

──日本のことしか考えていなかったから失敗した?

 

石倉洋子石倉 日本のことしか考えていなかったのと、考えてはいたんだけど上手く行かなかったの両方だと思います。

しかし、最近のスタートアップは最初から世界を視野に入れています。それはテクノロジーがベースにあるからです。テクノロジーは国境を超えるので、日本が相手ではなくなっています。

私がいつも疑問に思うのですが、これだけ人口が減っていて、景色が灰色で、どこに行っても楽しい話を聞かない日本を、「どうすればいいか?」といっても、ぜんぜん元気が出ないと思いますけど。

狭い日本にとらわれて、どうするかなんて考えなくとも、もっと広くて、いろんなことが起きている楽しい世界があります。そのような可能性があるところに行った方が良いと思いますが。

昔の日本の高度成長期の時代は何でもできた時代でした。やはり、成長していないと何もできないんです。

 

──日本で考えることはもうダメということですね。

 

石倉 私は「日本にいない方がいいですよ」と若い(年齢だけでなくスピリットが)人に言っています。やる気のない日本にいても、自分もやる気がなくなってしまうから、そういうところから離れた方が良いと思うんです。

日本は、会社でもやる気がないのに辞めない、何も行動に移さない人がいるところが良くないと思います。仕事はあるし、企業はすぐに潰れるわけでもない。日本の経済規模は世界第3位。明日から食べるものに困ることもないからこのままやめなくてもいい、行動しなくても何とかなる、と思っているようです。

高齢化なんてずっと前からわかっていたのに、実感がないから緊張感がないんです。先送りにして、逃げ切れると思っている人がとても多い。逃げ切れない若い人はこの辺で何か考えないと先はありません。

日本に欠けているのは当事者意識です。

 

──最後になりましたが、企業からはどんな講演を求められますか?

 

石倉 以前は「第4次産業革命」のテーマが多かったですね。最近は「働き方改革」ですが、私の話は世界の目線に立ったものが多いです。その他、「ソサエティ5.0」や「イノベーション」に関するテーマ、あと「SDGs」が多いですね。

SDGsは、ただバッジ付けてるだけじゃダメってはっきり言います。あなたの企業は17の目標のうち、どこを中心にやるんですか、それはなぜですか、どのように実行するのですか、ということを考えてもらうような講演をしています。

 

石倉洋子

 

(撮影協力:六本木ヒルズライブラリー

 

 

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