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横田真一 講演会講師インタビュー

1997年 の全日空オープンで初優勝。デビューから11年間連続でシード権獲得。2005年、2006年と選手会長を務め、新規トーナメント開拓に貢献するなど、まさにゴルフ界のエリート街道を歩み続けていた横田氏。しかし2006年には選手会長としての多忙なスケジュールからか、シード権を失ってしまう。「4スタンスゴルフのパイオニア」、そして「83ホール連続ノーボギー記録」を持つ小技の名手としても有名なプロゴルファー・横田真一選手に挫折、そこからの復活の裏で何が彼を支え、変えたのかをうかがってきた。

(text:荒木みか、photo:小山幸彦)

シード権喪失~挫折して初めて見えた世界

横田真一──プロ入りからのゴルフ人生について教えてください。

 

横田真一:1994年に大学を卒業してすぐにプロ入りして、翌95年、1年目からデビューすることができました。それからも順調で、97年には全日空オープンゴルフ選手権で初優勝をしました。ですが、そこからしばらく優勝することができなくて、2006年にデビューから11年間守り続けてきたシード権、野球で言うと「1軍の権利」を失い、初めて挫折を味わいました。僕はそれまでずっと独学だったんですが、そこで自己流じゃダメだな、いろいろな方に指導を受けないと自分のスキルアップはないな、と。そこからは沢山の方にご指導いただきました。

 

──指導していただいた方の中で特に印象に残っている方はいらっしゃいますか。

 

横田真一:もちろん、皆さんからさまざまな事を教えていただいたんですが、廣戸聡一さんに出会って、4スタンス理論を教わったことは僕のゴルフ人生の中でも大きな出来事です。人間の身体は、先天的なタイプが4パターンあり、それぞれに基づくパターンに合った運動法がある。僕にとってそれは衝撃的な理論でした。でも、「だから僕はゴルフの基本というものをできていなかったんだ」、と腑に落ちるというか、納得できたんです。それで、これをもっと勉強したいと思って、かなり長い時間をかけて廣戸さんに教えていただきました。

 

──自律神経についても学ばれたとうかがいましたが?

 

横田真一:4スタンス理論を学んでいく中で、これは医学的には筋肉なのか、神経なのか、骨格なのか……、どういうところからきているんだろうな、と考えるようになったんですね。そこで順天堂大学の小林弘幸先生に「4スタンス理論て、すごいんですよ」という話をしたんです。そうしたら、「その理論もすごいんだけど自律神経を知っていますか? 自律神経をコントロールできたら横田さん、優勝できますよ!」と言われて、4スタンスもやりながら自律神経についても教えていただいたんです。

 

横田真一──その言葉のとおりに優勝されましたね。

 

横田真一:はい。2010年のキヤノンオープンで97年の全日空オープン以来、13年ぶりに優勝をすることができました! これは廣戸さんがいなかったらできなかったですし、小林先生や、いろいろと教えてくださった方々、誰が欠けてもできなかったと思います。そういうすごく大事なことを、ゴルフを通じて勉強し、経験しての優勝でした。

 

──「キヤノンオープン2010」では賞金ランク1位の石川遼選手を抑えての勝利でしたね。

 

横田真一:それまでも2位は何度もあったんですが、13年ぶりの優勝争い、13年ぶりに勝てるんじゃないかっていう時で、相手は石川遼くんとか当時、脂が乗っていた谷原秀人選手。そこで自分がその気になって「勝てる」とか、「勝とう!」とか思っちゃったら余計に交感神経が高まっちゃうんです。

だから極度に緊張する場面では開き直りがすごく大事で、「今日は最悪のプレーになる」とか、わざとネガティブな方に気持ちを持っていったんです。そうすることによって緊張がサーと消えていきました。
3日目が終わった時点でトップタイの成績で、メディアの人に「明日勝てば13年ぶりの優勝ですね」と言われたんですね。それに対して、「明日は80打ちますよ」「明日はもうずっこけますから」って答えると気持ちがスーと楽になってくる気がしたんです。血液が頭の中にパーと巡る。僕は「あぁ、これだ!」と思いましたね。

当日が雨だったのも僕には有利に働きました。雨が降ると低気圧になるんですが、低気圧になると血管が弛緩してリラックスするようにと副交感神経が働くんですよ。だから雨が降ったおかげで、そんなに緊張しなくてすみました。相手の選手たちはというと、彼らは百戦錬磨ですから逆に緊張感を上げていった方が集中できるわけです。
横田真一交感神経は「逃走」と「闘争」の神経と言われていて、やっぱり試合や戦う時には交感神経がある程度高くないといけないんですね。だけど僕みたいな試合慣れしていない人間が久々に優勝争いをするなんていうと、やっぱり「闘争」の神経が高まりすぎてメーターが振り切った状態になっちゃう。だから“緩め”られた、ということは僕にとっては良かったんです。

 

──初優勝の時を振り返っていただいて、その時はどのような状態だったんでしょうか。

 

横田真一:初優勝の時は、朝起きてからずっとウキウキで今日は楽しいなって思いながらコースを周っていました。ただ残り数ホールになってくるとプレッシャーが圧し掛かってきたんです。その時に解説していた青木功さんが「なんか横田の顔、白くなってきちゃったよ」って言っていたらしいんです(笑)。今思うと、この時はやはり交感神経が活発に動いて血管が収縮して、血液が頭にいってない状態だったと思います。“バーン”って林に入れたりしてね……、なんだかすごくドキドキしながらプレーしたのを覚えています。その時はなんとか優勝できましたけど。

 

 

一流と凡人の違いとは!?

──トップ、一流になれる選手とそうでない選手との違いは、どのようなところにあると思われますか。

 

横田真一:まず、僕なんかは「凡人」なんですよ。ヨーロッパでおもしろい実験をした研究者がいるんですが、一流と呼ばれる金メダリストやミュージシャンの小脳から大脳に行く経路(ニューロン)に電極を当てて、ニューロンが使われた所が光るという研究なんです。超一流ほど、多くの経路が使われているのかと思ったら、超一流ほどすごく少ない経路しか使っていないことがわかったんです。これはどういうことかというと、長嶋茂雄さんとか、ゴルフで言えば青木さんだったり、超一流の人たちは独特で、余計なことは考えていないってことなんですよ。もう自分の世界しか見えていないですから。“スッ”と球がきたら“ポン”と打つとかね(笑)。

例えば、青木さんにパットのことを聞いてもよくわからない答えが返ってくるんです。パットの時に、僕は手前からカップに伸びていく感じでイメージするんですが、丸山茂樹さんなんかは逆にカップから自分の元に戻ってくる感じでラインをイメージするという話を聞いて、「青木さんはライン・傾斜ってどうやって読むんですか」と聞いたことがあるんです。そしたら、「ここ(自分の足元)に“X”があるだろ、だからポンって打てばいいんだよ」って。“X”ってバッテンじゃないですか? どう考えてもボールからカップを結ぶライン上に“X”は現れないんだけど……と。加えて、「上りは“コン”で、下りは“トン”で打つんだよ」って。

 

横田真一──本当に独特ですね(笑)。若手の選手も目覚しい活躍をされています。昨年、世界を舞台に大活躍をされた松山英樹選手の強さはどのような点にあると思われますか。

 

横田真一:松山選手のすごいところは勝負どころにめちゃくちゃ強い点ですね。彼も脳をシンプルに使うというか、余計なことを考えない。だからプロアマとかでお客さんにすごい気を遣うってタイプでもないんですよ。ジャンボ尾崎さんもそうだし、片山晋呉選手もそうだし、やはりゴルフ界の超一流の選手で周りに気を遣う選手ってあんまりいないんです。僕みたいな選手はすごく周りに気を遣うんですけど、そういう人って余計なことにも脳が動いちゃっているんですよね。
今、選手会の副会長という立場で、ツアーに入ってくる新1年生に講義する場あるんです。そこでも話すんですが、余計なレッスン取材を入れたり、いろいろなことに気を遣うようなことは、超一流はやってないよって。でもいろいろと気を遣って、自分の露出を多くしたいと思うならそれでもいい。どっちに進みたいかは自分で考えてください、と。

 

──松山選手や石川選手と若い頃の自分と比べて違う点を教えてください。

 

横田真一:それは全然違いますよ! 向こうは本マグロで僕はいわしみたいなものなんで物がちがう。比べちゃあ彼らにも失礼なんですけれども、まず持って生まれた素材が違います。僕みたいな凡人でもここまでこれたというところもあるにはありますけど、彼らと比べるのはお門違いすぎるんで(笑)。

でも、素材はもちろんですが1日、2日で今の遼くんや松山くんが在るわけじゃなくって彼らは人一倍トレーニングしてきている。そういうところが僕とは全然違う。「努力ができる才能」が僕にもっとあったらなぁ、と思いますよ。僕にないのは努力する才能ですね。

 

──石川遼選手の練習や試合に付かれたことがあるとうかがいましたが?

 

横田真一:遼くんも自律神経にすごく興味持ってくれて、4日間、彼に付いてリアルの自立神経活動を計測させてもらったんです。胸の部分に心拍のセンサーをつけてリアルタイムで自律神経を測れるものがあるんですよ。それで計測すると、遼くんはクラブを抜く時に交感神経が上がってきて、それに続いて副交感も上がっていくんです。ワッグルして、ショットを打つ、と決めた瞬間に上がっていた交感神経が落ちてきて副交感とばちっと交わる。だからここぞという時にゾーンに入ることができるんです。
一流は副交感神経が高いんですね。僕ら凡人は副交感が低めなんで「行くぞ!」と意気込むほどダメなんですよ。一流の副交感神経がなぜ高いかというと、それは自信で上げることができるからなんです。日ごろの鍛錬、これだけ練習してきたという自信が副交感神経の活動を支えているんです。

 

 

自律神経を知って飛距離UP&健康を手に入れる

横田真一─―これまでのお話でも自律神経の話がでてきましたが、もう少し詳しく教えてください。

 

横田真一:僕は本格的に身体のことを一から勉強したいと思いまして、順天堂大学大学院医学研究科に入学しました。最初の1年は医学の基礎を学んで、2年目は自分の論文についての研究をしました。私の論文のテーマが「プロゴルファーにおける自律神経とパフォーマンスの関係」です。なぜ、プロゴルファーを対象にしたかというと、プロゴルファーはミート率やスイングがほぼ安定しているので、体のコンディションよってのパフォーマンスの差が明確になるんです。僕がこういう研究をやっていると言うとプロゴルファー100人位が積極的に協力してくれて、血流で交感神経、副交感神経の値を出して、この2つを足したトータルパワーが高ければ高いほど飛距離が出る、という論文を書きました。血流が良いと自律神経の活動が活発になるんで、より健康な体になっていきます。

 

──交感神経と副交感神経の働きとはどのようなものでしょうか。

 

横田真一:まず、交感神経ですが、これが活発になると呼吸が浅くなって、動きが早くなるんですね。早口になって、口の中が乾いて、と。要は体のすべての働きが早くなるということなんです。こういう状態の時は、パターとかゆっくりした動作が必要なものに対してのマッチングが悪いんですよ。交感神経が上がっている緊張した時にいつものリズムでパッティングできないのは、そういうわけなんですね。だから緊張している時は、パッティングでも早く打った方がよりコントロールが利く。そこで“ゆっくり”打つというのは絶対に無理なんですよ。
逆に今日は体が重いっていう時は副交感神経が働いているんですね。そういう時は、まったり打つことはできるんですけど、無理やりにでも体を動かして速く動かそうとするとやはりマッチングが悪くてショットが曲がりだすんです。だから、その時の自律神経の働きに合わせた動きをするということが大切です。

 

横田真一──自律神経の働きをビジネスや日常の中で活かせることがありますか。

 

横田真一:もちろんです。自律神経の働きを知るということはスポーツの世界だけではなく、日常生活でもさまざまな場面で役に立てることができます。
よく「メリハリをつける」というのを聞きますが、それも交感神経と副交感神経をうまく働かせるということなんです。集中するのは交感神経を上げた状態なんです。ですが、それを2時間、3時間と続けることは絶対に無理なんですね。そこで疲れてきた時に、眠いなぁ、練習しないといけないなぁ、と思いながらだらだらやっていてもダメなんです。そういう時は、副交感神経から「休め」という指令がいっているんです。僕なんかは、そういう時、10分でも15分でも寝るようにしています。そうすると頭がスッキリして、「これでいける!」となるんです。
僕がシード落ちした時に経団連の会長だった奥田碩さんから『いま頑張らずにいつ頑張る!』という尾関宗園さんの本をいただいたんですが、そこにも「ダメなら帰って寝ればいい」と書いてあったんですよ。

 

──お話をうかがっていると、他にもさまざまな場面で活かせそうですね。

 

横田真一:僕の場合は、コミュニケーションでも自律神経の働きを考えるように心がけています。個人戦と言われるゴルフですが、キャディとのコミュニケーションはとても重要なんですね。そんな中で、キャディに対してずっと怒ったりしていると、キャディが緊張しちゃいます。そうなると、どういう現象が起きるかと言うと、交感神経が上がって、血管が収縮し、血液が脳に巡らなくなって顔面蒼白になったり、頭が真っ白になったり、それ以上いくと震えが出てきたりするんです。そういう状況になると大事なところでミスを犯したりしてしまいます。そこで、また僕が「何をやっているんだ!」と怒ると、何をやってもダメになる負のスパイラルになってしまうんですね。だから、ミスをしたり、そういう時ほど「大丈夫」とか「いいよ」と声をかけて、楽をさせる方向に持っていくんです。すると副交感神経が働いて、程よい緊張と程よいリラックスが中和している、血流が一番良い状態になるんですよ。

あと、ゴルフトーナメントで優勝する方のほとんどの感想は楽しかったとか、今日は朝から気分が良かったとか、全然緊張しなかったとかそういうことを聞くんですけど、それって要は自立神経活動のバランスがすごく良くて、血流が良い状態なんですね。副交感神経に寄りすぎても血管が弛緩して広がって、血液が“だら~ん”としちゃう。そうすると頭がボーとして集中できる状態じゃない。逆に交感神経が上がりすぎて血管がキュッと締まっていても、今度は血管が締まるから血液を早く送り出すために心臓が早く鼓動するので、そういうドキドキしている状態でも好プレーはできないんです。
交感神経と副交感神経が同じレベルになるのがゾーンとかフローとか言われる状態なんですが、この2つの神経が高レベルで一緒になるのは人生に1、2回しかないと言われています。ですが、低いレベルでもバランスが取れていれば、血流が良くなったり、パフォーマンスが良かったりするんです。

 

横田真一

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※小技の名手と呼ばれる横田氏が
「83ホール連続ノーボギー記録」を作った際に使用していたウェッジ。

 

 

これからのゴルフ界、そしてみんなを支える存在へ

横田真一──主にどのような業界や団体で講演をされていらっしゃいますか。

 

横田真一:ロータリークラブや一般企業でもよく講演をしています。

 

──講演会でも自律神経のお話をされているんでしょうか。

 

横田真一:そうですね。もっと簡単に説明したりもします。人間はずっとリラックスしていることも、ずっと寝ていることもできない、ずっと怒ったりすることもできない。だからシーソーみたいにバランスを保つことが大事なんです。運動するとセロトニンがでて、そのセロトニンが夜になるとメラトニンという睡眠物質に変わる。そういう風に人間はバランスをうまく保ちながらホメオスタシス(恒常性)を維持しながら生活しているんですよ、と。
あと、管理職やマネジメントの方々は張り詰めた状態にいる人が多いんですね。なので、そういう人に向けては、力を抜いて交感神経を鎮める方法などもお伝えしています。

 

──自律神経コントロール術は勉強して身に付いたんでしょうか。

 

横田真一:勉強してというよりもさまざまな体験が、勉強したことによって確信がもてたと言った方が正しいですね。だからこそ、そういう実体験の中で得た自律神経コントロール術を皆さんに知ってもらって、生活やビジネスの中で、また、ここ一番で勝つ秘訣として役立てていただければ、と考えています。

 

──これからの人生の目標・テーマについて、そして講演で発信していきたいことについて教えてください。

 

横田真一:僕の人生はゴルフ一筋でした。ある意味、ゴルフが超一流じゃなかったからこそ、いろいろなことをやってこられた、と思っています。ですからこれからは、その経験を活かして裏方として日本のゴルフ界を盛り上げていく、日本の男子ツアーを支えていくというような役割を担っていきたいですね。もうすでに半分そういう方向にシフトしていっています。そして自分のゴルフももちろんですが、自分のゴルフだけじゃちっぽけなんで、もっとみんなの役に立てることをやっていけたらな、と思います。
講演では、体の仕組みや自律神経の有効活用術を知っていただき、ゴルフだけじゃなくて、ゴルフに興味がない方でもこういう風に生活の質を高めていくことはできますよ、と体験の中からのお話を伝えていきたいですね。

 

横田真一

 

 

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