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2014年は、FIFAワールドカップ(以下ワールドカップ)が開催される。開催期間はオリンピックの倍となる約1ヶ月となりまさに「世界のお祭り」で、サッカーに対する注目度も一段とアップ。
そのような中、国際大会に監督・コーチとして参加し、その勝率が5割を超えている指導者である山本昌邦氏が注目されている。
国内外のクラブで活躍するトップクラスの選手たちをマネジメントし、一つにまとめあげる手腕には定評がある。アテネオリンピック日本代表監督およびJリーグ所属のジュビロ磐田元監督を務めているが、国際大会での実績は他の指導者に比較して群を抜いている。そんな山本氏に人を育てる指南法を聞いた。
(text:増田聖祥、photo:小山幸彦)
──どのようなところから講演依頼がありますか?
山本:主に企業関係から、“人材育成” をテーマとする講演依頼が多いです。
テーマも、“チームマネジメント” に関するものが主体で、「心を掴む人材育成術」「リーダーの条件」などをお話しさせていただいています。
──28歳で現役選手を引退なさって、以降指導者の道を歩まれていますが、早くから様々な勉強をなさっていますね。
山本: サッカーの世界は、指導者のライセンス制度が厳しいのです。仮に、Jリーグの最高レベルの選手でも、日本サッカー協会公認コーチのライセンスを取得するには、C級から数えて、B級、A級を経て、S級ライセンスに至るまで5年かかります。もちろん海外研修も義務付けられています。
FIFA(国際サッカー連盟)の中にAFC(アジアサッカー連盟)があって、その下に日本サッカー協会があるので、ルールをはじめボールの規格など様々に世界基準が定められており、それをクリアしなければならない。学んでいかなければならないことが多いのです。しかし、だからこそFIFAワールドカップが世界規模であんなに盛り上がるのです。
──山本さんは、様々な監督、コーチを務めて多くの実績を残していますね。
──専門的な技術論以外にも、長い経験から得た「選手操縦術」の引き出しも多いと思いますが。
──選手の心に火をつけるには、教えないで考えさせることが大事であると。
──モチベーション確保・維持は心の問題であると。
──企業からの講演依頼でリーダーシップについて語られることが多いと思いますが、リーダー像も時代とともに変化しているといわれています。
山本:現在は、支援・調整型のリーダーが求められていると思います。組織やグループが大きくなればなるほど、的確な調整力が必要不可欠になります。特に、組織の中の小さな歯車こそが重要であるというモチベーションが求められています。
近年は、都市銀行でも大合併がなされましたが、それぞれの会社によって理念や社風も違いますので、グループや派閥ができるのは無理からぬことです。
それはサッカーでも同じで、つい昨日まで対戦相手だった選手と、今日は日本代表として同じユニフォームを着なければいけないから、派閥もできます。
その派閥を、もっと言えば選手の心を束ね統合し、同じ船の乗組員として航行させることがリーダーに問われるのです。
──同じ目標を共有している仲間であることに気づかせることがリーダーの役割なんですね。
山本:特に上司になった人は、立場が変わっただけで人間的にえらくなったわけではなく、役割が違うだけでそれを的確に認識しなければなりません。
名選手は必ずしも名監督ではなく、名監督になりたければきちんと指導マネジメントを学ぶ必要があります。
例えば、一営業マンとして実績をあげても、課長、部長などの管理職に就いたら、人に実績をあげさせなければならない。小さな実績でも、その寄せ集め、積み重ねこそが大きな仕事になるので、それを達成させるのがリーダーなんです。
──著書『山本昌邦指南録』のなかに「指南三十六法」があり、その第1に「選手に修羅場を経験させること」とありますね。
山本:経験の浅い選手が日本代表になったとき、それまでにないレベルの経験をさせることで、自分自身の力を気づかせることになります。そうすることでステージアップするための努力をします。
──サッカーが企業のマネジメントに最も共通するところは何ですか。
──今年は、ブラジルでワールドカップが開催されますね。
山本:子どもたちをきちんと育ててきたからです。1995年の FIFAワールドユース選手権に中田英寿選手が出場し、準々決勝でブラジルに2対1で敗れはしたものの、成功体験を持ち帰り、その後の積み重ねを経てオリンピックに出場し、ワールドカップ出場の扉を開いたのです。
これは、会社も同じ。やはり、人を育てないと未来は見えてきません。立派な組織もつくれません。
──成長するためには負けから学ぶことが必要ですが、1993年10月28日の「ドーハの悲劇」は、その後の日本サッカー界に、よい効果をもたらしたのかも知れませんね。
山本:その現場に私もいましたが、「日本は、まだまだ足りないんだ。こういうところを鍛えない限り、世界には行けないし勝てない」ということを心底思い知りました。その後、日本代表チームが、ロスタイムに失点することはほとんどなくなりました。
負けたときは、その事実を受け入れて分析する。言い訳をしているうちは成長はしません。まさにチャンピオンのように、堂々と負けたことを認めることが大事なのです。素直に力不足を認め、相手の凄さを認識してそれを抜き返すための努力をスタートする。
──負けを生かすことができるのが、スポーツの良いところなのですね。
山本:私は、努力した人にしか運は転がってこないと確信しています。その運を掴む能力も大事なのですが、サッカー日本代表チームを見る限り、努力しない選手に運が転がってきたことは1回もありませんでした。
2004年ソチ冬季オリンピックでスキージャンプ・ラージヒル個人銀メダルに輝いた葛西紀明選手などは、まさにその典型だと思います。努力の最後の一滴が世界で輝くのです。
そのために、指導者は努力する習慣を身につけさせることが役割なのです。そして、上手くいったときは、その結果ではなく努力したことを褒めてあげる。持っている才能を評価するのではなく、努力の積み重ねが結果に結びついたことを評価する。練習に練習を重ね、苦手なプレーを克服したからこそ世界に通じる選手になり、大事な場面で活躍し得点したことを評価してあげる。
──リーダーは、どのように振舞うべきなのでしょうか。
山本:「指導者は、医者・易者・役者である」と言っています。医者はコンディションづくりを、易者は将来の展望を指し示す役割を表した言葉です。役者は、リーダーとしての役割を振舞うことで、これが一番難しい。あるべき姿を振舞うことで、選手の心の火をつけ、努力する習慣を身につけさせるのです。それこそが、21世紀の調整型リーダーの役割だと思います。
──4月10日に武智幸徳さんとの共著『深読みサッカー論』を上梓なさいましたが、どんな方にお勧めですか。
山本:ビジネスマンの方にぜひ読んでいただきたいです。2014年ワールドカップブラジル大会を観戦する上で、ちょっとした予備知識があれば、何倍も面白く観られることを示しています。さきほどお話しした母国の監督でなければ優勝していないことも書いていますので、日本人の誇りについて考えるきっかけにしてください。
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