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眞鍋政義 講演会講師インタビュー

1986年 新日本製鐵に入社。日本リーグでセッターとして1年目から活躍し、数々のタイトルを獲得。新日鐵黄金時代を築き、日本を代表するセッターとして41歳まで現役を続ける。2008年に全日本女子バレーボール代表監督に就任。iPadを手に、データ分析をしながら指示を出す手法から「IDバレー」と呼ばれる。2010年の世界選手権では、32年ぶりとなるメダルを獲得。2012年ロンドンオリンピックでは、8年ぶりとなる悲願の銅メダルをもたらした。

(text:荒木みか、photo:小山幸彦)

「女性をマネジメントする」ということ

──この時期での退任ですが、2020年の東京オリンピックまでの監督継続は考えなかったのでしょうか。

 

眞鍋政義眞鍋:2008年12月からこれまで約8年間連続で全日本女子バレーボールの代表監督をしてきました。2012年のロンドンオリンピックで28年ぶりにメダルを獲って、それ以降はずっと「世界ランキング5位」。今回のリオオリンピックでは「世界一に挑戦」というのを掲げていました。それが、最終的には5位でした。……反省しかありません。やはり我々はプロですから、結果を残さないといけない。結果を残せなかった以上は責任をとらないとね。ですから、続けることはできない。ここは次の方に任せようと思って推薦を辞退しました。

 

──辞退の意志は固かったのですね。

 

眞鍋:8年間務めましたからね。もう4年すると、12年。それは、“長い”と思いますね。それに、「プロなのに結果を残せなかった」ことがやはり大きいです。

 

──それでは、全日本女子バレーボール監督としての8年間を振り返っていただきたいのですが、女性をマネジメントすることへの抵抗はなかったのでしょうか。

 

眞鍋:正直に言うと、「女性の集団」ということをまったく考えずに就任しました。戦術は勉強していましたから「やっていけるだろう」という思いでいたんです。と、言うのも戦術は男子から女子へ流れていくので、女子の方が遅れているんです。そういった意味では心配せずに就任したんですけど……、「女性の集団」には驚かされましたね(笑)。

 

──誰か1人の練習時間が長いと「えこひいき」だと言われて困ったとうかがいましたが?

 

眞鍋政義眞鍋:そうなんですよ。本当にはじめは、それに戸惑いましたね。自分が「男性」で選手は「女性」なんだ、“異性”ということを改めて思い知りました。加えて、女子バレーボールの監督というとカリスマ的な人が多くて、選手も監督に対してそういうイメージを持っているんです。そこから、「えこひいき」という思いが起こるんですよね。
この選手の考えや思いをどうにかすることができないかな、と思って出合ったのが「数字」なんです。どうしたかというと、毎日練習のラストにゲームをするんですね。それを数値化して、翌日、全員が見られるように紙にして貼り出したんです。

 

──成績発表みたいですね。

 

眞鍋:そういう感じです。そうすると、全員が数字を見られるじゃないですか。そして選手に言ったんです、「数字のいい選手から使う!」と。それが女子の集団の中で、平等性を保つことを考えて生み出した方法です。

 

──すぐに受け入れてもらえたのでしょうか。

 

眞鍋:いや~、はじめは反対されましたね(笑)。特に女性は、数字を嫌がりますよね。でも、そこは平等を保つためにずっとやり続けました。そうすると、はじめは反発していた選手も次第にわかってくれて、それに関しては何も言わなくなりました。

 

 

『IDバレー』の真価とは!?

──数字のお話がでてきましたが、眞鍋監督と言えば『IDバレー』とよく言われています。それについてご自身ではどう捉えていらっしゃいますか。

 

眞鍋政義眞鍋:バレーボールというのは「身長」というのが大きいんですよ。こればっかりはどうしようもない。リオオリンピックでも日本のバレーボール選手は平均身長が一番低かったんです。だったら何で勝てばいい? 戦略や技術、そして「情報」という点でも一番にならないと勝てないんですよね。そこで重宝したのが情報戦略班です。さまざまな数字を持ち寄り、「どうやったら日本が世界に勝てるのか」を勉強し、研究し、必死にやりました。でもね、最終的にそれを結果に結びつけるのは、“やる”のは選手ですから。数字だけでは見えないところもあります。それを忘れてはいけない。だから私は、データはもちろん、選手についても本当に勉強しました。
たとえば、アタック決定率が50%から40%まで落ちてきたとします。Aという選手はそのまま決定率が上がってこない選手だけど、Bという選手は40%からV字回復する、とか違うんですよね。そこは数値だけでは補えない部分なんです。ですから、それまでの統計をとって、人それぞれ違うことをふまえての「ID」バレーだと考えています。

 

──データの活用で、iPadを持っている姿が印象的でした。

 

眞鍋:よく言われました(笑)。他の競技、サッカーとか野球とかは試合中は全然、監督の声が届かないですよね。卓球なんかは試合中にベンチコーチが指示をしたらダメですし。その点、バレーボールは監督がコートの横まで行って、なおかつ、リアルタイムのデータを選手に伝えられるんですよ。そういう競技は他にないじゃないですか。そこから、試合に勝つために相手の弱点を毎回伝えるようにしたんです。
はじめは、ベンチに置いたパソコンでデータを見て、伝えてと、3mくらいを行ったり来たりしていたんです。たった3mなんですけどね。それがiPadを常に持つことで、ずっと数字をチェックしながら試合にも集中できて、一石二鳥でした。他にも深刻(?)な問題があってiPadを持つようになったんですが、それはここでは控えます。

 

──ここでは教えていただけないんでしょうか?

 

眞鍋:それは……、言っていいのかなぁ。もしかしたら講演では話す機会もあるかもしれないですね(笑)。

 

──では、講演会での楽しみにしておきます!
ここまでデータや、それを活用する時の注意点をうかがいましたが、直感に頼ったり、勝負勘でいくことはなかったのでしょうか。

 

眞鍋:「カン」というのはないかな。それまでのデータも蓄積されていますし、練習もずっと見てきているとラッキーガールになりやすいとか、そういう選手がわかってくるんですよ。大事な試合になってくると、ブロックが3枚ついても壁を通したり、ボールが相手コートに吸い込まれたり、そういうラッキーガールを探さないと勝てない場面があるんです。
特に私自身がセッターで、誰にボールを集めるかはセッターが決められる。だから勝つために決められる選手を見つけるというのは、自分の中で培ってきたもので、直感ではなく経験という名の情報源という方が正しい気がします。

 

──いろいろなことを経験、勉強してきたということですが、指導者で尊敬している方や、注目されている方はいらっしゃいますか。

 

眞鍋:私は他のスポーツを観て勉強するタイプなので、ラグビーも行ったし、シンクロも新体操とか他にもいろいろと観に行きました。指導者の方々は、皆さん すごくて、皆さんから勉強したので、「誰」というのはないです。勉強して、それを戦術に加える。アタッカー全員が同じタイミングで攻撃するのを『シンクロ』と名づけたりとか (笑)。
ただ、女性の指導者は同性だから言えることもあるんだろうな、と思って注目していたというのはあります。男性だとパワハラとかセクハラとか言われたり、ね。そこは女性の方が細かいところまで言いやすいんじゃないかな。
あと、世界のトップを狙うような人は、型にはめるんじゃなくて長所を伸ばしていくことが必要なんですよね。だから指導者として一つの型にはめるようなことは止めようと心がけていました。

 

──監督と選手とはいっても「女性」相手ということで気を遣うことはありましたか。

 

眞鍋政義眞鍋:それはどうかなぁ。監督という立場ではあるけれど、私の中では男女関係なく、“やる”のは選手というのがあります。それに、みんな「日の丸」を付けていますからね。日本を代表して世界と戦うわけじゃないですか。気合が入っていないとか、やる気がない選手は日の丸を付けたらダメだと思います。選手は自覚と覚悟を持っています。あとは、我々スタッフが環境作りとかモチベーションをあげることに注力する。なので、女性だからではなく支える人間として気を遣っていたというのはありますね。

 

──女性の能力を引き出してくれるイメージがありますが、意識して実行されたことはあったのでしょうか。

 

眞鍋:私も現役を41歳までやったからこそ言えるんですが、
監督がいくら「金メダルを獲りたい」と思ってもやるのは選手ですからね。だから私がいつも言うのは「監督はモチベーター」。いかに選手のモチベーションをあげるのか、その方法を日々考えてきました。
それと、私が一番磨いてきたスキルは「コミュニケーション力」です。コミュニケーションで重要なのは、まず自分が心をオープンにするということ。だから自分の失敗談をあれこれ話したり、夕食が終わってから酎ハイを買ってきて、今日はこのグループ、今日はこっちのグループって話をしました。そこはまめにやらないとね。でも、そういう場で、「この選手は少し心を開いてくれたな」と思うでしょ。それで、翌日、話をするとまた「クローズ」している。それの繰り返しでした。
もちろん最後は、心を開いてくれて「チームジャパン」として一致団結してくれましたよ!

 

 

キーワードは「コミュニケーション」「精密力」「現状把握」

──講演会では「女性のマネジメント」について話される機会が多いようですね。

 

眞鍋政義眞鍋:はい、そうですね。私自身の経験からマネジメントに一番重要なのはコミュニケーションだと考えています。安倍首相も「女性の活躍」とよく言われていますが、管理職はまだまだ男性が多いじゃないですか。ですから、女性と一緒にどう働いていくのか、何が必要かをお話しています。

女性の力というのはすごいんですよ。男子も女子も指導してきて一番違うと感じた点は、男子はすぐに結束するが女子はなかなか結束しないということです。男はケンカしてもちょっと飲んで騒げば、「さあやろう!」とすぐに修復して、団結すると10の力が倍くらいになる。しかし、女性は本当になかなか結束しない。でもね、いったん団結すると10の力が20、30、40、50……と、何倍にも膨れ上がるんです。これは男性には計り知れないパワーです。
女性の結束の力は目に見えない力。それを引き出すことが本当の意味で女性をマネジメントすることになるとお伝えしたいです。

 

──他にも「人材育成」「組織作り」をテーマとした講演も人気があるとうかがいましたが?

 

眞鍋:まず、「人材育成」については、「日本人の特性や長所を活かす」とはどういうことなのかを話すようにしています。日本人の持つ武器、それは「精密さ」です。この「精密力」は世界に通用します! ものづくりなどの精密さ、器用さというだけではなく、メンタル面でもそれは言えます。選手1人1人が細かいところまで打ち合わせをし、1つの“モノ”を作り目標に向かっていく。こういう長所をプラスにしていける人材育成、そのアドバイスができればと考えています。

眞鍋政義

そして、「組織作り」。私は、約20年間、日の丸を付けて戦ってきました。日の丸の重みをいつも感じながら、組織を1つにして目標を達成するということをずっとやってきたんです。「一致団結」それには何がいると思いますか? もっと言えば目標を達成するためには、どんな組織が必要だと思いますか?
それには、「現状把握」が絶対的に必要になるんです。それができていないと全体がくるってくるんですよ。だから女子バレーボールも世界の女子バレーを熟知した上で、日本が今どの位置にいるかという現状把握をしましたし、そこから目標を掲げてそれをクリアしていったんです。
これは、スポーツの世界も企業も一緒です。

それと、バレーボールはチームスポーツなんですね。だから、相手の気持ちを尊重できない選手は一流にはなれません。これも社会に通じる点だと思います。「助け合い」が重要なんです。
1人目の選手が失敗したら、2人目の選手がカバーする。その人も失敗したら3人目の選手がまたカバーする。そういう風に相手の気持ちを尊重、フォローしながら目標に向かう、それが目指すべき「組織作り」だとお話したいと思います。

 

──2020年の東京オリンピックに向けてと、眞鍋監督ご自身のこれからについてお聞かせください。

 

眞鍋:男子バレーボールが今、注目を浴びています。石川祐希くんとか柳田将洋くんとか、すごい人気ですよね。我々の時代もそうでしたが、これをスター選手の人気だけで終わらせずに、世界で勝っていくことが必要だと思います。勝つことでバレーボール自体がますます人気になりますからね。
そして、2020年『東京オリンピック』。東洋の魔女が金メダルを獲った地での戦いになります。これまでは中からバレーボール界を見てきました。これからは、「モチベーター」として外からバレーボール界を支え、男女ともに盛り上げたいと思っています。

 

眞鍋政義

 

 

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