講演依頼や講演会の講師派遣なら相談無料のスピーカーズ Speakers.jp

國本未華 講演会講師インタビュー

TBS『Nスタ』のお天気キャスターとしてお馴染みの國本未華さん。大学4年生の時に合格率5%前後と言われる難関資格「気象予報士」に合格し、学生のうちからキャリアを重ねてきた。出生地の北海道と動物をこよなく愛する國本さんは、天気や気象情報の発信だけにとどまらず、気候変動やその影響による環境破壊、野生動物の生態系への影響についても深い知識を持っています。また小学生向けのお天気教室もライフワークの一つだという。雑誌の取材や執筆活動に加え、講演依頼のSpeakers.jpでも人気講師で積極的に講演会を行っている 國本未華さんの伝えたいこととは。

(text:高田晶子、photo:遠藤貴也)

大学4年で気象予報士に  孤独のなか研鑽を積む日々

――國本さんが気象予報士に興味を持ったのはいつ頃からなのでしょうか。

 

國本未華 小学校の低学年の頃に興味を持ち始めました。その時はまだ気象予報士という資格は知らなかったのですが、毎朝、家を出る前に必ずテレビの天気予報を見ていまして、毎日見ているうちに「いつか私もお天気キャスターのお姉さんのように、天気を伝える存在になりたい」と思い描いていたことが始まりです。朝の天気予報を見て、その日に何を着よう、雨の日はどの傘を持っていこうなどと決めるのも好きでした。あと、テレビ画面に映る天気予報の地図も好きだったんです。地図帳を眺めるのが好きだったのも原体験としてある気がしています。

 

――具体的に気象予報士という資格があることを知って、自分もなろうと動き始めたのは?

 

國本未華 それは大学3年生になったあたりですね。将来どんな仕事をして行くかを考えたとき、やっぱり小さい頃に憧れた仕事に挑戦してみようという気持ちで、気象予報士の勉強を始めました。とはいえ、資格試験ではなく、一般企業への就職活動をする友人が多かったので、「私は本当にこの選択でいいのか?」と悩むことがあったことも事実です。でも他にやりたいこともなく、「やっぱり自分がやりたいことをやろう!」と覚悟を決めたのが、大学3年生のときでした。

 

 ――気象予報士試験といえば、合格率が5%前後の難しい試験ですよね。

 

國本未華 私は大学3年生から気象予報士の塾に通い始め、勉強のペースが掴めていたので、「この資格を取るのは不可能かもしれない」という感覚はありませんでした。逆にたくさん勉強すれば いずれは受かることができる資格だと信じて、勉強を続けていました。気象予報士試験は1年に夏と冬の2回試験があって、科目は3種類あるのですが、2種類が受からないと次のステップに進めないんです。私はそんなに生真面目な方でもないので、直前にすごく詰め込んだのですが、2回チャレンジして、運よく2回目で合格することができ、気象予報士試験に合格したのは、大学4年生の春でした。

 

――それでは、ちょうど就職活動組を横目に、大学4年生のときにはもう道が切り拓けた状態だったのですね。

 

國本未華 いえ、切り拓けたようで、実は資格を取ったからといっても仕事はないのが現実でした。どんな仕事をしていきたいかにもよるのですが、私はお天気キャスターをやりたいという希望があったので、ウェザーマップに所属して、番組ごとに開かれるオーディションを受けました。どこかの番組からオファーがあれば仕事になるのですが、マッチしなければ仕事はないままです。他にも天気予報の原稿を書く仕事などで力をつけながらチャンスを待つということもあります。資格を取ると割とすぐ仕事があるのかなという甘い考えもあったのですが、資格を取って初めて「なかなか仕事はないもんなんだな……」と厳しい現実に直面しました。

 

――気象予報士に合格されてから今までの経歴を簡単に教えていただけますでしょうか。

 

國本未華 大学4年生で合格して、すぐウェザーマップの面接を受けたのですが、「今は仕事がないし、難しい」と実は一度断られたんです。まだ学生という身分だったこともあったかと思うのですが、別の気象会社の新卒採用試験を受けても不合格で、どうしようかなと悩んでいたら、6月頃ウェザーマップの方に「こんなオーディションがあるけれど、受けてみない?」とお声掛けいただいたんです。それがスカパーのお天気専門チャンネル『午後の天気ゴコロ』のオーディションでした。そこで初めて週に1回、お天気を伝える仕事をさせていただけることになりました。
このお仕事では、現場には1人で行き、誰かが天気のことを教えてくれるのではなく、自分がすべてやらなければなりませんでした。電話で先輩に「今、天気概況はどんな感じですか」「今日はどんなポイントで話せばいいでしょうか」などという相談はさせていただくのですが、とにかく孤独でしたね。しかも、カメラの前で自分がまとめた天気の情報を1人で喋るのは、かなり難しかった。最初は目線をどこにもっていけばいいのかもわからないうえに、棒読みだし、本当に下手だったと思います。収録だったのがまだ救いで、何回も撮り直しをさせてもらい、そこでかなり鍛えられましたね。

 

――自分で天気を読み解いたうえで、しかもそれを自分の言葉で多くの人に伝えるというのは、最初は大変そうですね。

 

國本未華 資格試験に合格しましたが、実務的な知識がまだまだ足りなかったため、大変でした。スカパーの番組を2年ほどやらせていただいたのですが、その途中で大学も卒業し、次はテレビ東京で、土日の『TXNニュース』や早朝の番組『モーニングサテライト』などを3年ほど担当させて頂きました。ある曜日は自分がキャスターとして表に出るのですが、その他の日はアナウンサーの方が読むための原稿を作る“サポート”と呼ばれる仕事もしていました。そこで初めてテレビ局での天気・気象情報の扱い方を学ぶことができたと思います。人にきちんと伝えるためのニュースとして出す原稿というものを考えさせられた仕事でした。

 

――その後はTBSや、日本テレビ、NHK総合など、各局の有名番組でお仕事をされ、順調なキャリアを歩んでらっしゃいますよね。

 

國本未華 テレビ改変期に合わせて、番組が終わったり始まったりしますが、お仕事をいただけること自体がありがたいですね。安定はしないものですが、それぞれのテレビ局や現場で求められることも違うので、どの現場もすごくやりがいはあります。

結果的にはありがたいことに順調と言えるのですが、変わるタイミングによっては宙ぶらりん状態で「あれ、番組終わっちゃうけど、次はどうしよう……」ということも何度かあったので、とにかく「いい巡りあわせがありますように」と神頼みをしながら、ポジティブな気持ちを忘れないようにしています。

 

 

生放送で大切なのは、伝えたい情報をいかに効果的に視聴者に届けるかが重要。その中で大切にしていることは「大事なことは先に言う」 「ポイントは1つに絞る」

――気象予報士の仕事の面白さを教えてください。

 

國本未華 多くの人にとって毎日の気象情報は必要なもの。人によっては昨日も今日も同じような空に見えてしまうかもしれませんが、私のように現場に出て、気象データと向き合っていると、「昨日とここが違うんだ」「このデータが違うとこういう風に空が見えるんだ」など、毎日違うことに対して新鮮さを感じられます。似たような気圧配置で似たような気温だったとしても、まるっきり同じ日はありません。昨日と今日でここが違うことを見つける楽しさがあります。

天気の奥深さを知るにつれて、プライベートも充実してきます。例えば、私は北海道が好きなのですが、仕事を始める前は「北海道の雪ってサラサラしているな」くらいにしか思っていなかった。それが、この仕事を始めてからは「このサラサラしている理由は空気が乾いているから。この湿気と気温だとこの感触の雪が降るんだ」と肌で感じられるんですね。今まで何となく見ていた景色を、ちょっと科学的に紐解いて、視野が広くなった気がしています。

 

――國本さんは生放送で天気を伝えるお仕事もされていますが、生放送での大変なこと、気を付けていることはどういったことでしょうか。

 

國本未華 まず、「大事なことは忘れずに先に言う」ということですね。生放送だと時間がなくなることがあります。お天気コーナー中に「やっぱりあともう30秒削ります」「後ろもう30秒短くお願いします」など言われ、大事なことを伝えられないのは致命傷です。ですから、大事なことこそ先に言わないといけないということに気をつけています。
こう言おうと思ってたことを言い忘れたり、あれも言えばよかったということもあるのですが、そういうことはあまり振り返らないようにしています。生放送中に後悔ばかりして引きずっていると、その後の進行にも悪影響が出てしまうので、良くも悪くも潔さを大事にしています。

 

――外でお天気の中継をやっていると、いろいろな外部からの音も入ってきて、気も散りますよね。

 

國本未華 それこそトラックがいきなりエンジン吹かしたり、サイレンがけたたましく鳴ったり、犬が吠えたり……。確かにそういう音で気が散るのですが、気にせずとにかく集中しようという気持ちで向き合うことも大事にしています。

あと、その日の気象コーナーを作るにあたって、そこで一番伝えたいことは必ず1つ決めて伝えるようにしています。それが「大事なことを先に言う」ことにも繋がるのですが、話があっちこっち行って散漫にならないよう、自分の中で「今日のポイントはここだ」と絞るようにしています。

 

 

 

お天気教室がライフワークの一つに 防災対策による正しい行動で未来を変えてほしい

――講演活動も2018年頃から本格的に始めたとお聞きしました。

 

國本未華 その前からもご依頼があればやることもあったのですが、経歴を重ねるごとにご依頼をいただく機会も増えました。建築系や農業系の企業や団体、気候変動について考えるシンポジウムや、市町村で開催する環境イベントなどが多いですね。

私は防災士の資格も持っているので、企業からは社内研修も兼ねて定期的に開催する安全大会などで「防災の話をしてください」というご依頼もいただきます。防災関連の講演会だと「最近の気候がどのように変わってきているのか」「今後さらにこういう極端な気象現象が増える恐れがありますよ」というお話をさせていただいています。それから、自分の身の守り方、情報収集のやり方や情報の使い方などを、聴講者の方たちと一緒に考えていくような感じで進めています。

 

――気候変動についての講演会も多いのでしょうか。

 

國本未華 最近特に多いですね。「この前、極端な現象でこういったことがありました」という話を伝えて、「確かにそうだよね」と思っていただく共感も大事にしたいなと思っているんです。「最近、本当に変わってきているよね」という話から「地球の未来を考えよう」という流れでお話しするのですが、そこで私自身、大切にしたいと思っているのが、天気に付随して環境も変わって、動物や海の様子なども変わってきているんだと広い視野でお話しを展開していきたいということ。天気だけの視点だと、どうしても気温が上がる、雨が激しくなる、台風が強くなるという話に尽きる部分はあるのですが、そうなると生態系が影響を受けて、海の変化も相まって、いろいろなところに影響が出てきてしまうんですよということを講演会で伝えたいです。

 

――小学生のお子さま向けのお天気教室もされているんですよね。

 

國本未華 2019年に初回を開催しました。それまでは自分の仕事だけで手いっぱいだったのですが、経験を積んで、少し心の余裕ができてきたタイミングでした。私がそもそも天気の仕事に興味を持ったのが小学生のときだったので、小学生に向けて私から何か伝えられないかと思って始めたのです。毎年GW、夏休み、冬休みなど長期休みにウェザーマップの自社開催という形でやらせていただいています。

 

 

――どのようなプログラムなのですか?

 

國本未華 お天気教室で小学生に何をどう教えたらいいかを考えるときは、自分がもし小学生だったら、こういう授業、 講座、イベントに参加したいと思えるようなプログラムを意識しています。テーマはいろいろありますが、例えば、昨夏に実施したのは、「空を楽しみながら、防災のことも学ぼう」という切り口で、雲の種類を一緒に見ながら観測のコツを教えたりしました。お天気教室では実験も大切にしていて、このときは太陽の周りにできる虹のような光の輪(ハロ)を再現する実験をやりました。空を見上げたときにハロ現象が起こると、雨が降る前触れなのですが、このハロ現象を実際に見てみましょうという流れのプログラムにしたんです。雲の形に興味を持っているお子さんも結構見受けられました。雲の種類や形、あと単純に「雲ってどうしてできるの?」という質問もたくさんもらいました。それから、工作もやりました。オリジナルで考えた防災グッズをみんなで作ろうという試みで、工作をやっている間に、スタジオでお天気キャスター体験も順番にやってもらったりと、盛りだくさんの90分ですね。

 

――充実した内容ですし、お子さんの反応も直に見られていい試みですね。

 

國本未華 そうですね。私も楽しいですし、やりがいもあります。お天気教室をやる前は日常の仕事やイベント準備で結構大変なのですが、毎回やって良かったなぁと思いますし、ライフワークの一つになりつつあります。2019年から5年連続で続けられていますが、これからは外部で開催を試みるなど、形を変えて開催する機会がもっと増えればいいなと思っています。

 

――講演会を通して、國本さんが伝えたいことは?

 

國本未華 誰にとっても天気はすごく身近なもので、綺麗な現象や癒される空など美しい風景がたくさんある一方で、すごく怖い一面もあって、いろいろな表情があるということを講演会で皆さんに伝えたいと思っています。天気の怖い表情は災害に繋がり、人の命を奪うようなことも起きますが、そういうことを事前に想定しておくだけでも、自分が何か対策をしておくなど、変えられる未来があるんです。講演会で私の話を聞いてくださった方が、もし自分が危険な状況に置かれた場合に、どう行動するかを考えるきっかけにしてほしいと思っています。何かいい情報があっても、自分が何も行動を変えなかったら、未来は多分変わらないのですが、ここで得た有益情報からどう行動すればいいのかを一緒に考えていける時間にしたいですね。

 

――では、最後に、國本さんご自身の今後の展望や目標などを教えてください。

 

國本未華 この質問がいちばん悩みますが……。私は「5年後にはこうなっていたい」などと先を考えることはあまりなくて、そのときにやりたいことをやろうというタイプです。今この瞬間にこれを極めたい、これをやりたい、自分はこれが好きだと思ったら、突き進んでいくということを続けていきたいなと思っています。

ですから、もちろん天気や気象情報、防災への知見も深めていきたいですし、特に私が大好きなクリオネについて研究もしていくつもりです。クリオネは『NEWS23』を担当していたときに知り合いの方からいただいて、一目見たときに「なんてかわいい生き物なんだろう!」と一目ぼれして以来虜になりました。それ以降、論文を読むなどして本格的にクリオネにのめり込んでいるんです。クリオネは貝の仲間なのですが、生物としてはプランクトンに分類されています。クリオネが生態系の中でどういう位置付けなのかなども勉強しながら、“クリオネクリエーター”としてクリオネの魅力を伝えられる人になりたいとも思います。

 

――ありがとうございました。今後に期待しています!

 

 

 

 

 

相談無料! 非公開の講師も多数。
お問い合わせください!

Speakersでは無料でご相談をお受けしております。
講演依頼を少しでもお考えのみなさま、
まずはお気軽にご相談ください。

講師を探す

ページトップへ