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元谷一志 講演会講師インタビュー

1971年、福井県生まれ。1995年、学習院大学経済学部卒業。住友銀行で5年間勤務した後、1999年、アパホテルに常務取締役として入社。2004年に専務取締役に就任した後、最高財務責任者(CFO)、経営企画本部長、人事部長等を歴任。2012年、アパグループ株式会社代表取締役社長に就任し、現在に至る。
アパグループの急成長を牽引する原動力となり、入社時に3,487室であったアパホテルネットワークは2021年1月現在、662ホテル 全102,064室(建築・設計中、海外、FC、パートナーホテルを含む)と29倍以上に拡大した。
人事施策としても、短期異動制度や三大都市広域職の導入など、従来の発想にとらわれない柔軟な組織制度の提言を数多く行っている。

(text:大橋博之、photo:小野綾子)

時代の変化に対応すること

──アパホテルといえば、政府からの新型コロナウイルス無症状者及び軽症者の受け入れの意向打診に対して真っ先に手を挙げたホテルとして印象的でした。

 

元谷一志 講演会講師インタビュー

元谷 コレラ、ペスト、スペイン風邪といった感染症は100年ごとに世界中で猛威を振るっています。弊社では、災害やパンデミックといったリスクは必ずやってくると考えており、それに対する備えが大事だといつも経営会議で議論していました。過去のパンデミックでも、医療崩壊が起こり、おそらくその時の宿泊施設も病室として使用したと思われます。当然、今回の新型コロナウイルスでも同様のことは起こりえると考えていました。それで即、手を挙げさせて頂きました。

 

──ホテルとしてリスクは考えなかったのですか?

 

元谷 「ホテルは病院ではないので、受け入れるべきではない。お客様に移ったらどうするんだ」というのがホテル業界の一般的な考え方でした。しかし、そう考えて手を挙げなかったホテルは今では廃業や休業をしているところがあります。そうなった要因のひとつには社会的要請に応えることが出来なかったから、というのがあるのではないでしょうか。もともとホテルもホスピタリティも語源が同じであるので、おもてなしということでは同義であり、時代の変化に対応することが大切です。

 

──リスクに対して先手を打つことでプラスにしているんですね。

 

元谷 また、従業員も「社会に求められていることを我々はやっている」という自負を持つことができ、モチベーションも高まりました。私は「アパホテルは社会に必要な存在と認められた証拠だよ」と話しています。

 

──このコロナ禍を乗り切るにはどうすればよいのでしょうか?

 

元谷 ひとつは時代の変化に対応することです。

元谷一志 講演会講師インタビュー例えば、ホテル業界では「おもてなし」が大事とされてきましたがこれが問題です。何が問題かというと、「おもてなし」というのはお客様に対して受動的になることだからです。しかし、我々はお客様が来ていただけなければ「おもてなし」は出来ないという考え方。すると勧誘することが一番大事となります。

その勧誘のアプローチがITです。ホテル業界では今までITをあまり重視してきませんでした。でも、今後はITを活用していかなければなりません。

ホテルの多くは代理店を介して予約が入るようになっています。しかし、なるべくB to Cの関係を強化しなければならない時代だと思っています。最近は個人がネットで予約することが主流です。しかもアプリから予約する人が多くなってきました。

 

──公式サイトやアパアプリからの直接予約ができるサービス「アパ直」ですね。

 

元谷 私は「成功体験に縛られると頭は劣化する」といつも言っています。成功体験が邪魔をするんです。

その時は成功したとしても、5年後もその方法で成功するとも限りません。客室も変化が大事ですし、マーケットは生き物です。ホテルは進化していかなければなりません。常にイノベーションが必要なのです。

経済原論でカレーライスの法則があります。お腹が空いているときにカレーを食べると満足します。しかし、二杯目も同じカレーが出てくると一杯目のカレーより満足が得られず、三杯目には苦痛になります。これは同じサービスを続けるとサービスは劣化し、リピーター戦略とは逆行することを意味します。

つまり常にイノベーションを考え、進化を繰り返し、その進化に対して追加投資することが重要です。

 

──なぜ、企業は追加投資できないのでしょう。

 

元谷 それは、財務的な制約と何十年も前からあるサービスが最上だと思っているからです。自分の思いが固定化されていて、「これはこういうものだから、お客様はこれで満足するだろう」と成功体験を後生大切にしている。それが果たして今の時代に受け入れられるのか? お客様は進化しています。どんどん新しいサービスに目を向けます。財務体力がなく必要な投資ができない企業は淘汰されて行きます。

 

──よくわかります。

 

元谷 もうひとつはあらゆる事を「想定外」から「想定内」に変えることです。ある程度マクロ的に見たうえで、将来のリスクを考えながら前もって手を打つことだと思います。

また、あまりにも直近のことばかり対応していたのでは大きな変化には対応できません。極小的なところで勝っても、全体で負けるということもあります。基本的に全勝は難しいもの。だから「着眼大局 着手小局」。なるべく大所をしっかり掴み、局所戦で負けても大所で勝っていれば全体勝利になります。

 

 

 

 

「知っている」が安心感を与える

──2020年も黒字化したその勝因はなんだったのでしょう。

 

元谷 2020年4月7日に緊急事態宣言が発令され、多くのホテルが苦境に立たされました。アパホテルも同様で4月の月間売上は前年同月の1/6まで落ち込みました。

 

その時、生き残るためには今まで取り込んでこなかった層を、どれだけ顧客として取り込めるかが大事だと考えました。従来はヘビーユーザーに対してのリピーター戦略を重視していました。ヘビーユーザーはいわゆるビジネス層が中心だったのですが、テレワーク需要に加えて今まで注力してこなかった低価格志向の層にもターゲットを広げることにしました。

 

これまでアパホテルより安いホテルを利用していた方々を取り込む戦略として、「新型コロナウイルスに負けるなキャンペーン」という、アパホテル全店 アパ直限定で2,500円を50周年を迎えるタイミンクで創業祭として打ち出し、TVCMも展開しました。そのことで他ホテルの全国平均で25%程度の稼働率だったのが6月には約3倍の72%程度にまで上がりました。もちろん、損益分岐点的にはギリギリです。しかし、一度利用して頂いたら二度三度とリピートして頂けるだろうと考え、お試し価格として提供しました。

 

──確かに2,500円には驚きました。

 

元谷 低価格にしたのは知ってもらうことが大事だったからです。

アパホテルは元谷芙美子社長を全面に出した広告を展開しています。それまでは社長が出る広告はありませんでした。そのため多くのマスコミに取り上げて頂けました。

数多くあるホテルのなかで、知っているホテルと知らないホテルがあります。見知らぬ土地に泊まることになり、どのホテルを選ぶかとなったとき、アパホテルを知っていると選ぶ動機になります。知られていないと選択肢にすら入りません。「アパホテルなら知っている」という安心感を与えることが大事。それがブランド力です。

 

 

 

2021年は今まで以上に寡占化が進む

──まだまだ新型コロナウイルスは収まりません。コロナ禍におけるアパホテルの戦略を教えてください。

 

元谷 「フォーキャスト(未来予測)」がすごく大事です。先手先手で施策を打つことを常に考えています。

また、「業界初」にこだわっています。ホテル業界では全くやっておらず、他業界で成功した事例をトランスファーすることを考えています。

例えば、アパホテルには「アパオートアサイン(AAA トリプルエー)システム」という部屋選択システムがありました。これは現在のアパホテル公式サイト・アパアプリで予約し、アプリチェックインをされたお客様を対象に、アプリ上で宿泊を希望する部屋番号が選択でき、1秒でチェックインが完了する機能です。

航空業界では希望する座席が選択できることは一般的ですが、ホテル業界にはありませんでした。眺めのいい部屋がいいとか、足が悪いのでエレベータの近くの部屋がいい。自分のラッキーナンバーの部屋にしたいとか、いろんなニーズあります。

 

──通常、たばこを吸うか吸わないかくらいしか選択肢はありませんよね。

 

元谷 部屋のアサイン業務は従業員が行ってきました。しかし、お客様が選ぶことで従業員の仕事も減ります。お客様の満足度が上がり効率的になる。Win-Winになれます。

「これはこういうものだ」というステレオタイプの考え方、固定観念は捨てた方がいいと思います。

 

 

──オリンピック・パラリンピックの開催も危惧されていますが、あてにしていた会社も多いと思います。

 

元谷 立ち行かなくなったホテルが弊社に身売りするところも今後、出てくるのではないでしょうか。いいホテルがあれば買収することも考えています。もちろん、取捨選択をした上ですが。

黒字を出している企業は弊社以外にも数多くあります。伸びる会社はコロナ禍でも伸び、伸びない会社は淘汰排除されて行きます。まさしく、適者生存です。

2021年は今まで以上に寡占化が進むと見ています。ビール業界は4社で約99%のシェアを占めます。ホテル業界はトップシェアでも数%しかなかった。現在のアパホテルのシェアは約7%です。これが20%のトップシェアになる時代は来るでしょう。他にも10%を超えるところが3、4社出てきてもおかしくはないと思っています。

 

──ピンチをどうチャンスに変えるかですね。

 

元谷 アフターコロナでは今まで以上に海外からの観光客は増えると見ています。特に2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)に向けてまだまだ伸びるでしょう。アパホテルは日本国際博覧会で過去最高益を出そうと考えています。それだけ日本国際博覧会の経済効果は高いと睨んでいます。日本経済の起爆剤になる可能性はあるのではないでしょうか。先を見据えた投資をしていきたいと考えています。

 

──とても貴重なお話しありがとうございました。

 

 

元谷一志 講演会講師インタビュー

 

 

 

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