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宮下純一 講演会講師インタビュー

東京オリンピックの招致運動に参加した宮下純一氏。開催が決定したときは、選手として北京五輪でメダルを獲った時と同じくらい嬉しかったそうだ。
その国の街づくりや経済にも大きなインパクトを与える唯一無二の檜舞台。2020年の東京オリンピックに向けて、私たちは何をすれば良いのか聞いてみた。

(text:志和浩司、photo:志和浩司)

オリンピックは記録を残すより、どう楽しむかを考える大会

──国際的な大会の中でもオリンピックはやはり他と違いますか?

 

宮下純一:アマチュアスポーツの最高峰であり、夢の舞台であるオリンピック。それまで経験してきた国際大会とは、日の丸を背負う重みが全然違うように感じた大会でした。
宮下純一 4年に一度しかチャンスがない中で、そこにピークを持っていかなくてはいけない難しさもあります。
競泳の出場枠は各種目2名まで。たとえ前年に世界記録を出していても、その年のオリンピック選考会で勝たなくてはいけない。運も実力も必要な舞台です。
そして、実際に出場してみると、毎日が楽しかったのを覚えています。他の国際大会は「結果を残さなきゃ」という意識が強かったんですが、オリンピックだけは、不思議とテーマパークにいる子どものような感覚が大きかったですね。

 

──東京オリンピックの招致活動に参加されて、いかがでしたか?

 

宮下純一:2016年の大阪オリンピック招致(リオデジャネイロに決定)のときは、勝てたらいいなというの気持ちで活動していたのですが、東京は より目的意識を高く掲げて取り組みました。そんな中で、最初は街で「頑張ってね」と声をかけられることが多かったんですが、次第に「頑張ろうね」という声に変わっていって日本中で勝ち取ったという感じが大きかったかなって。決まった瞬間は嬉しかったです。
選手として夢見て、実際に戦ったオリンピックという舞台が、今度は自分の国で行われます。「夢のまた夢が叶った」という感じで、北京五輪でメダルを獲ったときと同じぐらい嬉しかった感覚があります。

 

 

 

ボランティアの中国人女性から教わったこと

宮下純一──2020年の東京オリンピック、どういったことを伝えたいですか?

 

宮下純一:北京の時、選手村で日本を担当していたボランティアの中国の女性に、「大変ですね、ありがとうございます」とお礼を言ったら、「私たちは自分の国でオリンピックが開催されることで、絶対に参加できなかったものに参加することができて、嬉しいんです」と言うんですよ。
自国開催によって、観るオリンピックではなく、参加するオリンピックに変わるという視点を教わりました。
スポーツが得意でなくても、自分がオリンピックに参加できる選択肢があることをアピールをしたいですね。
直接的でなくても街で、海外から来る選手やその家族に対して、おもてなしの心を伝えていくことが、自分がオリンピックに参加するということにもつながると思うので、そういった意味で、2020年には自分自身がオリンピックに出るんだという感覚を日本中で共有できたらいいなって思います。

──東京オリンピック、どういう見方をするのがおすすめでしょうか?

 

宮下純一:“自分ならどう戦うかな?”とか、選手になりきってみるというのも一つです。
それと事前に競技やチーム、選手について調べておくこと。例えば、サッカーならFIFAランキングで上位の国が下位の国に負けたとすると、いかに下位が上位を攻略したのかデータを分析することで見る人それぞれの意見の違いが面白い。
それから会場。競泳でいうとプールは屋外なのか屋内なのかによって違います。太陽の射し方や照明、気温や水温によっても差が出ます。
そして、ぜひ「生」で見て欲しいと思います。以前、世界体操を生で観たとき、内村航平選手の着地の音に驚きました。他の選手だと床に「バンッ」と撥ねるような音がするのに、「タッ」とマットが吸収しているような音がしたんです。息遣いも聞こえたり。テレビではわからない、そういうものを味わえることはライブならではです。

 

 

日本文化をアピールするチャンス

宮下純一──開催地の街の感じはどうでしたか?

 

宮下純一:本当にオリンピック一色ですね。大歓迎という感じがありました。オリンピックは、開催に合わせて街を整備したり、ときには国民のモラルまで正したりと、開催国にとってもすごいインパクトのある大会です。
2020年は、日本をアピールする大会でもあると思うので、東日本大震災復興もそうですが、これから日本がどう変わっていくのか、どういうスタイルを貫いていくのかという面を含め世界に発信する場だと思うんです。
選手の戦いだけではなく、日本という国が世界に向けてどう発信していけるかっていうのが大事なんじゃないかと思います。

 

──日本文化をアピールするチャンスでもありますね。

 

宮下純一:たとえば食文化。日本の食って、海外で実際とは違った感じで広まっているケースもあったりします。
海外でラーメン屋さんに入ったら、「これラーメンじゃないよ!」っていうのが多かったり(笑)。
本物はこれなんだっていうのを日本に来て味わってもらいたいです。カリフォルニアロールも美味しいけれど、職人さんが丁寧な仕事を施した新鮮なお魚が握られた寿司も、この機会に感じて欲しいです。
そして、オリンピックだけで終わらず、おもてなしの心に接した海外の方に、日本を好きになって帰ってもらえる大会にしたいですね。「また日本で国際大会が開催されるといいね」って思う選手や家族が増えてもらいたいです。

 

 

 

ビジネスにも通じるオリンピック、ぜひ良い機会に

宮下純一──これから2020年まで、どんなふうに盛り上げて行きたいですか?

 

宮下純一:僕が競泳をやってきたことで、泳ぐことしか勉強してこなかったかというとそうじゃなくて、人との関わり方だったり、上下関係だったり、人生で必要なものをスポーツから教わることが多かったんですね。
せっかく今回、2020年に東京で開催されるわけですから、スポーツをする子が増えて、それと同時に、人生に大切なものをスポーツから学びとって欲しいと思います。
公園に行くと、鬼ごっこやかくれんぼをする子はあまり見かけず、それよりは下を向いてゲーム機とにらめっこしている姿をよく見かけます。
そういう子たちが、走りまわりたくなるようなきっかけをつくりたい。
ああいう選手になりたいなとか、アスリートに憧れを持っていただける大会になるよう、裾野を広げていきたいですね。

 

宮下純一──その2020年まであと5、6年。後輩にメッセージを。

 

宮下純一:僕も目標をずっと持ち続けられたからこそ、20年、水泳を続けることができました。
楽しいことより苦しいことのほうが多かったように思うのですが、なぜ続けられたかというと、思いとどまったときにいつも背中を押してくれたのが、オリンピックでメダルを獲りたいっていう夢。
なぜこんな辛いことやってるんだろうって思ったときに、ああ、夢を叶えるためなんだと思えたら、頑張れるんですよ。
小学校で子ども達に将来の夢を聞いてみると、サッカー選手になりたいとか、パティシエになりたいとか、夢を持っている子は多いのですが、ではその職業で何をしたいのかまで考えていない子が多いように感じます。
同じサッカー選手でも得点王になりたいのか、キーパーで活躍したいのかで、やることがぜんぜん変わってくる。
もっと突き詰めた夢を持ってもらえたら、2020年がより楽しみだなって思いますね。

 

宮下純一──ビジネスなどにも通じますね。

 

宮下純一:店を出して、この街で流行らせたいっていう人もいるし、街で流行ったことをきっかけに東京に出店したいという人もいるでしょう。
さらに、世界に進出したいっていう人もいると思うんです。世界に進出するなら、やっぱり海外向けの感覚をとり入れたメニューが必要になってくるでしょう。九州のお店を関東で流行らせたい場合は、関東の人の好みをリサーチしなくちゃいけないだろうし。
そうやって具体的な目標が見えてくると、やるべきことが見えてくるじゃないですか。
東京オリンピック開催によって、日本が今よりもっと素敵な国になるいい機会になってほしいですね。

 

 

 

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