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池田清彦氏の講演会レポート

1947年東京生まれ。東京教育大学理学部生物学科卒、理学博士。
山梨大学教育人間科学部教授を経て、現在、早稲田大学国際教養学部教授、山梨大学名誉教授。
専門の生物学分野のみならず、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する60冊以上の著書を持つ。
新聞、雑誌、テレビなどでも活躍している。
フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」でお馴染み。

「池田流モチベーションアップ術の極意とは」

池田清彦 2014年1月15日、東京・渋谷区において、フジテレビ系人気情報バラエティ番組『ホンマでっか!?TV』の回答者としてもおなじみの生物学者・池田清彦早稲田大学教授の講演会が開催されました。

 

専門の理論生物学、昆虫生態学だけでなく、人生論、環境問題、哲学など、幅広いジャンルに精通している池田氏の講演は、生物学的視点をベースに「人生を楽しく、前向きに生きるためのコツ」を示したもので、『ホンマでっか!?TV』などで披露されている“池田節”の魅力が満載です。

遺伝子にもいろいろある

池田清彦「実は私、あのビートたけしさんの、小・中学校の一年後輩なんですよ」

東京・足立区の出身で、同じ学区にお笑い界の巨匠で世界的映画監督のビートたけしこと北野武氏がいて、「たけしさんとの共演依頼もあるんですが、1年先輩だから『おい、池田!』なんてイジられそうなんで、遠慮しているんです(笑)」というエピソードをマクラにふり会場の空気を和らげ、いよいよ“池田節”のはじまりです。

まずは、生物学的な見地から、日々を生き生きと過ごすコツを解説。

 

「人間は、自分のキャパシティを超えて活動すると、どこかで破綻を来たしてしまうので、自分のキャパシティの範囲を知って、そのなかで、他人にはないものを探して、そこを伸ばしていくことが、人生を楽しく前向きにいきるコツなんです」という池田氏。

 

「キャパシティのひとつであるIQ(知能指数)は、遺伝的に6~7割が決まってしまいますが、人それぞれで能力が具現化する範囲が違い、キャパシティが小さくても、その90%以上の能力が具現化すれば、キャパシティが大きくても、能力がほとんど具現化していない人よりも、相対的に高い能力が発揮できるんです」としています。

また、遺伝子のなかにも活性化しないものもあり、悪い遺伝子でも活性化しなければ病気にならないとも。
さらに、鬱病の遺伝子をもっている子どもでも、母乳で育てられると、病気の発現確率が低くなるといわれている事例を紹介してくれました。

 

「近い将来、人それぞれがどのような遺伝子を持っているかが分かるようになり、それを踏まえて、子どもの育て方や生活習慣を決めることが出来るようになると思います」という池田氏。

現在でも、がんになりやすい、糖尿病になりやすいなどの遺伝子解析に係る費用は、10万円ほどですが、その「究極の個人情報」の管理のあり方を間違えると、結婚や就職、生命保険加入における差別につながる危険性もあるため、運用が難しいとも。

ガンも怖くない 医者に診てもらうと体が悪くなる?

池田清彦人の体質もそれぞれで、例えば池田氏はお酒はOKでもタバコは受け付けず、反対に昆虫採集仲間で『バカの壁』などの著書でも知られる解剖学者の養老孟司氏は、お酒がダメでタバコはOK。

 

「お医者さんが示す健康の目安は、あくまで様々な人の平均値であり、その人にとってふさわしい数値ではないんです」という池田氏。

 

これを裏付けるデータとして、「フィンランド症候群」について説明してくれました。

フィンランド保険局が、1222人を対象に、医師が介入するグループ612人と、健康管理は本人任せのグループ610人に分け、1974年から1989までの15年間の追跡調査を実施。その結果、心疾患、癌、その他外因死などで、医師介入グループのほうが合計で67人なくなり、本人任せのグループは46人であったと。ここから、医師に診てもらったほうが却って早死にするという現象を「フィンランド症候群」というようになったとしています。

 

「つまり、お医者さんの診断や健康指導そのものがストレスになって体に悪いんです。だから、私はもう何年も健康診断に行っていないんです」という池田氏。10年間、血圧も測らず、血液検査もしていないというからオドロキです。

 

また「検診では、直径1センチになったがん細胞で、やっと発見が可能になり“早期発見”とされますが、実は発症してから15年経過している状態であるため本当の早期発見ではないんです。そして、その段階では転移している可能性も高いんです」という池田氏。

 

そして、「症状が出ていない老齢期の癌は、放っておいても大丈夫である」とも。
仮に発症しても、無理をして全身麻酔をして手術をしたり、抗がん剤治療をうけたりすると、副作用の影響で別の病気になる危険性も紹介。

まさに、幹を掴んで枝葉末節を気にしない池田流生き方は、究極の健康法でしょう。

自分に合う仕事を作り出していくことが、モチベーションアップ

池田清彦「ダーウィンの進化論は、環境の変化に合わせて体の形が変わっていったとしていますが、実際は、形のほうが先に変わり、その形にあった環境に、生き物が移っていくというのが本当なんです」と池田氏。

生物は進化の過程で突然形が変わっていくと。例えばクジラの先祖は、6500万年前に陸を歩いていた犬ぐらいの大きさの「メソニクス」と言われ(諸説ある)、何らかの変異で足が短くなり、陸上よりも水中のほうが動きやすいとして海にはいったといういきさつがあります。

そして、海の中では、体が大きいほど有利であるということから、シロナガスクジラのような30メートル・180トン級の巨大な体躯を獲得するように進化していったとしています。

 

「これに倣えば、会社の社風に徐々に自分を合わせて変えていくよりも、自分にあった社風の会社に入社するほうが賢いことになります」という池田氏。
それも、会社のブランドや業績などで判断するのではなく、自分の能力、キャパシティに合うかで勤める会社を決めるべきであると学生にも指導していると。自分を知って、それにあった環境を選択することは非常に賢く、「そういう学生は、将来その会社の社長になるかもしれませんよ」とも。

 

そして、「自分が気乗りしない仕事ではモチベーションはあがらないので、自分自身で自分に合う仕事を作り出していくことが、モチベーションアップに欠かせないことです」という池田氏。

 

研究者でも、自分が面白いと思うテーマを担当教授にプッシュして、そういう方向にもっていくと、非常によい成果が得られることが多く「その最たる人が、臨床医から基礎研究に移り、iPS細胞研究で2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大学教授です」と。

自分を知り、自分にあった道、環境を選択し努力すれば、世界的な実績と名声を手に入れることも可能であることを示してくれました。

 

このほか、マイナーな趣味をもってその世界で第一人者になることは大きな生きがいになるなど、決して無理をしないで、それでいて充実している生き方、仕事への取り組み方を披露。

生物学に馴染みのない人にも分りやすい解説で聴く人を堅くさせず、肩に力を入れることのないユーモアたっぷりの講演は、まさに“池田節”の真骨頂。

 

「そもそも生き物とは」でアプローチする理論生物学は、医学・生理学の基礎。心理学や脳科学などは、常に新しい研究結果が報告され、それまで主流とされてきた考え方が、簡単に否定や更新されがちです。しかし、理論生物学は、“賞味期限が長い”研究報告が満載であり、流行に左右されない説得力に溢れています。

 

そんな生物学的な視点と幅広い気付きを身につけたい人には、まさにオススメの講演です。

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