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高野優 講演会講師インタビュー

大学、高校、中学の三姉妹の母であり、育児漫画家・絵本作家。
NHK教育テレビ「土よう親じかん」(2008年4月~2009年3月)、「となりの子育て」(2009年4月~2011年3月)の司会を務め、最近は日本テレビ「スッキリ!」のコメンテーターとしても活躍。2015年度のベストマザー賞にも選ばれた。
講演会では、イラストを描きながら話をするという独特なスタイルで、子育てに関するテーマが人気。そんな高野さんに、イラストとの出会い、子育てのこと、そして講演で話したいことなどを伺った。

(text:三宅扶樹、photo:吉田将史)

「初めての経験は、楽しいこともありますよ」と言いたかった

──イラストを描き始めたきっかけはどんなことからですか?

 

高野優高野:もともとはグラフィックデザイナーになりたくて 広告制作事務所に就職しました。レコードのジャケットのデザインをするのが夢で。
今はもうない仕事ですが(笑)。

小さい会社でしたから、デザインのついでにイラストも描いていたんです。

そして気づいたら、イラストの仕事の方が増えていて、

デザインに未練はなかったわけではありませんが、

まあ、望まれているのならそっちの方がいいのかなという感じで。

 

──育児のことをテーマにされたのは?

 

高野:その後、結婚してフリーで仕事をするようになり、妊娠中に出版社にカレンダーを納品したときに雑談の中で、初めて経験する妊娠中のエピソードを話したんです。つらいこともあるけれど、面白いこともたくさんあったので。

 

──具体的に教えていただいてもいいですか?

 

高野:とにかく眠いこと、あと同じものをずっと食べていたい、それから、おへその周りに体毛が生えてくる(笑)とか…。
自分の身体が自分のものではないような感覚で。私のまわりにあった妊娠に関するマンガは、ネガティブなことを書いてあるものが多い気がしていて、実際は、もちろん大変なこともあるけれど、でも初めてのことですから、楽しんだ方がいいと思ったんです。そんな話をしているうちに、ではそれを本にしてみてはどうか、というお話をいただきました。

 

──それが現在の「子育ての本」と続いているんですね。

 

高野:はい。子どもは必ず成長するので、初めてのことはずっと続きます。講演でもお話するのですが、ものごとの事実はひとつでも、見方によって良い面や悪い面いろいろな側面がありますよね。だったら、ポジティブな見方をしたほうがいいですし、笑っていることが重要だと思います。笑っていればだいたいOKだと思いますし、自分の子どもたちにも笑っていて欲しいなと願っています。

 

 

あまりネジをきつく締めすぎずに

高野優──「ベストマザー賞」受賞おめでとうございます。今お話しのあった“笑っている”ということが家族が仲良くいられる秘訣でしょうか?

 

高野:子どもたちに望んでいるのは、「人を好きになって欲しい」ということ、

自分の周りの人に助けられ、甘えて、怒られて、褒められていっしょに笑って過ごして欲しいということだけです。わりと低めのハードルですよね。おかげさまで、三人ともよく笑う子に育ってくれました。でも、もうだいぶ大きくなったので、娘たちが小さくて大変だったときこそ楽しかったなあ、と最近は振り返ったりしています。

 

──仕事と子育ての両立で気をつけていることはありますか?

 

高野:そんな、構えたポリシーみたいなことはなにもないです。

ねじをゆるめて“なるようになれ”と。先ほども言いましたが、とにかく笑っていることですかね。

 

──そんな風にいい意味でゆるく考えられるのは、なにかきっかけがあったのですか?

 

高野:若いころバックパッカーで世界中を旅していました。知らない場所、知らない人、知らない食べ物に出会うことが好きだったんです。そして、その経験から学んだのは、「ものごとの見方はひとつではない」ということ。国や時間や気分やいろいろな要素で人の気持ちも変わるということなんです。

 

──先ほどの子育ての話にもつながりますね。

 

高野:そうですね。うちの子は鈍間で・・・と考えるか、うちの子は思慮深くて・・・と考えるか、2つの面があるけど、今の時代、親が子供の良いところをすくい取ってあげないと他の人が言ってくれることは無いのかもしれないですね。

 

 

講演後、うれしそうに帰っていく姿に力をもらって

高野優── 講演もたくさんされていますが、年間だとどれくらいですか?

 

高野:月に8本と決めています。週に2日以上家を空けると家庭が荒れるので(笑)。

 

──子育ての話が多いのですが

 

高野:おかげ様で育児の本が好評で、その延長でお話をいただいています。

 

──人前で話すことに抵抗はなかったですか?

 

高野:お誘いをいただいたということはできるんじゃないかな、

と前向きに考える性格なので、やってみようかなと思いました。

最初は50名限定の司会の方がいてくださるトークショーでした。

ホテルというシチュエーションも手伝ってか、お客様がうれしそうに帰られるお顔を見て私もうれしくなりました。

 

──いいスタートだったのですね。

 

高野:はい。お客様の嬉しそうな顔に励まされて続いているのかもしれません。

 

──お話する際に気をつけていることはありますか?

 

高野:子育てで悩んでいて救いを求めていらっしゃったお母さんたちにとって「母は太陽でなければいけない!」と言われては、これはつらいですよね。

子育てのなんとも言えないしんどさをいっしょに共有しましょうというスタンスでお話しています。

 

──イラストを描きながらというのも特徴的ですね。紙芝居のように、静止画を何枚も見せるのではなく、1枚の絵がお話の内容でどんどん変化していって、アニメーションと講演の融合といったところでしょうか。

 

高野:もともとは、普通にお話していたのです。
でも、イラストが描けるので、ホワイトボードを使用するようになったのですが、後ろの人は見えないことが難題でした。その後、OHC(オーバーヘッドカメラ:手元をスクリーンに映し出してくれる装置)を使用することで、会場の規模の大小関係なく、どの席の方も見やすくなりました。私も描きながらの方が楽しいですし、視覚的にもわかりやすいですよね。

 

──最後に改めて高野さんが講演で伝えたいことを聞かせてください。

 

高野:思春期の子育ての経験もお話して、みんな同じような道を通るんだと安心していただいたり、子育ての時間はあっという間に過ぎてしまうので、大変でも大事にして欲しいということをイラストを交えて話しています。今の時代、さまざまな情報がネットとか、いろいろなところからとれますが、やはり人と人の交流が大事だと思うのです。誰かの話に耳を傾けたり、たくさんの方の意見や考え方を聞いたりする時間も大切です。子育ての大変なことはもちろん、楽しいことも皆さんといっしょに分かち合いたいと考えています。私の講演は、75~90分くらいのものが多いのですが、飽きさせないこと、眠らせないこと(笑)、せっかく来てくださったのだから、その時間が無駄にならないよう、行ってよかった、楽しかったという時間をいっしょに過ごそうと心がけています。

 

高野優

 

 

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