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佐藤亮子 講演会講師インタビュー

「佐藤ママ」の名称で親しまれている佐藤亮子さん。長男次男三男の3兄弟が名門私立の灘中、灘高校に進学。長女は名門私立の洛南中、洛南高校に進学。その後、4人とも日本最難関である東京大学理科三類(通称「東大理三」)に合格。「東大理三 4兄妹」という快挙を達成した。
4兄弟全員が通った進学塾・浜学園のアドバイザー、朝日新聞受験アドバイザーを務める他、全国各地で講演活動を続けている。

(text:大橋博之、photo:井上大輔)

読み書き計算が大事

──講演会では、どのような依頼が多いのですか?

 佐藤亮子 子育て全般ですね。0歳から18歳までの間を、どう育てれば良いのかを知りたいという依頼が多いです。

 

──0歳児から始まるわけですね。

 

佐藤亮子 そうですね。0歳から3歳までの赤ちゃん。3歳から6歳までの未就学のお子さん。小学生の低学年、高学年、中学受験、そして高校を経て大学受験を迎える18歳まで。段階ごとに子どもに対してどう向き合えば良いのかをお話しています。

 

──佐藤さんは、ご自身のお子さんにどう、向き合ってこられたのですか?

 

佐藤亮子 私は長男を産んだとき、「親が関わる子育ては18歳まで」と思いました。18年間は短いようで長く、長いようで短い期間です。せっかくだから子育てを、親である私も楽しいものにしようと思いました。

それに、大きくなった子どもに「18年間は楽しかった」と想い出してほしいと思ったのです。

楽しい子育てというと、子どもと遊んだり、遊園地に行ったりということを考えますが、18年の間には12年間の学校生活があります。授業が分からない、テストの成績は悪い、受験に失敗するでは楽しくありません。18年間を親も子どもも楽しく過ごすには、やはり勉強が楽しいものでなければならないと思いました。

勉強では基礎学力が大事ですから、読み書き計算を、その子なりに精いっぱい頑張らせる。小学1年生なら1年生の内容をきちんと頑張らせる。それを積み重ねて、高校3年生のとき、その子が行ける大学を自分で選んでくれたらそれでいいと思っていました。

 

──それは素晴らしい18年間ですね。

 

 佐藤亮子 だって、私が年を取って、子どもに「あなたがいなかったら、ママはもっと好きなことができたのに」と言うのは、子どもに対して失礼でしょ。自分が産んでおいて。

私は4人の子どもを産んだので、トータル26年間の子育てになりましたが、子育てが終わった後「大変だったけど、楽しかったわ」と言いたいと思っていました。

それに、勉強も「やりなさい」と急き立てるばかりでは言われた方も嫌でしょうし、結果も出ません。

入学後にはすぐ覚えないといけないひらがなは、小学校に入るまでに覚えさせておく。「どうせ、小学校に入ったら授業で習うじゃないですか」と言う方がいますが、授業を受けたからといって人間は直ぐには覚えられません。少し前に勉強しておいて、余裕を持って小学校に行った方がいいでしょ。

ひらがなを知っていると小1から楽しく勉強できます。12年間の学校生活のはじまりである小学1年生のスタートは大事なのです。小学1年生が楽しかったら、楽しいまま学んでくれると思いました。

 

──小学校に上がる前に、どうされたのですか?

 

佐藤亮子 読み書き計算が大事なので、ひらがな、カタカナ、数字10個に1桁の足し算。それと九九を覚えさせました。九九は小学2年生で習うのですが、みんなつまずくと聞いていたので。つまずくと子どもは楽しくありませんから。その5つだけはがっちりと6歳までにやって、小学校に行かせました。

 

──その頃、今のような教育活動家的なことをしようと考えていたのですか?

 

佐藤亮子 こうなるとは夢にも思っていませんでした(笑)。

高校の教師をしていたので、子どもが小学校に入学して落ち着いたら非常勤とかで復帰したらどうですか、と言われましたが、学校の教え子と自分の子どもの両方を十分には見ることはできないですね。

例えば、自宅で生徒のテストを採点をしているとき、子どもが「絵本読んで」と言ってきて、「忙しいから」と言うのは可哀想じゃないですか。だから自分の子育てをしっかりやることにし、自分の趣味も持たないことにしました。自分の時間は全て子どものために使うと決心するとイライラすることはありません。

 

子育ては笑顔を目指す

──上手く教えられましたか?

 佐藤亮子 子どもは気分が乗らないときもありますよね。そんなときに「やりなさい!」と言うのはよくないです。

食べ物でも好き嫌いがありますが、それを克服させようと無理に食べさせるのは違うのではないかと思います。嫌いなままでもいいとし、なんとしても克服させようとするのはやめた方がいいと思います。

 

──では、どうすればよいのですか?

 

佐藤亮子 親は、子どもが嫌がってやらないことを子どもの努力が足りないと考えてしまいがちですが、子どものせいにしても解決しないのです。

それに「嫌だ、嫌だ」と言う子どもに「何言ってるの。やらなきゃダメでしょ!」と「押して」やらせようとするでしょ。押しても駄目なのです。私は親が「引いた方がいい」と思っています。

子どもが嫌がっているのは、それなりの具体的な理由があるからで、それを見つけて解消することが一番の解決方法です。嫌がる理由には、子どもなりに「わからない」「忘れた」などいろいろとあります。その原因を丁寧につぶしていけばいいだけなんです。親は押さないで、引いてやり方を変える。子どもはわかると嬉しそうな顔をしますよ。

 

──0歳から18歳までは確かに長いですよね。

 

佐藤亮子 0歳から3歳は本当に赤ちゃんです。でも、3歳と4歳の差はかなり大きいんですよ。それから小学1年生になったらまた違う。小学3年生から4年生でも違います。「9歳の壁」という言葉があるように、3年生より4年生の学習内容は格段に難しくなるのです。

私は、子どもには何と言っても十分な読解力が必要だと思いましたので、豊かな読解力を付けるために、0歳から3歳まで絵本をたくさん読んであげる、童謡を聞かせてあげようと思って、3歳の誕生日までに絵本を1万冊読む、童謡も1万曲を歌うと決めました。それを決めたのが、長男の時には6か月だったので、日割計算をして1日15冊読むことに決めました。絵本15冊は多いように思いますが1冊は3分くらいで読めるので割と気楽に読めます。しかし、15冊まとめて一気に読むのではなく、朝に2冊、ご飯の後に2冊とかバラバラにして隙間の時間に読むといいですよ。

目標を決めて、今日、何冊読んだとカレンダーに書いておくと「1000冊越した」とか楽しみになります。

 

──0歳からのスタートだとすると、多くの家庭は「うちはもう、遅い」と思われるのではないですか?

 

佐藤亮子 もう遅いですか、とよく聞かれますが、いつ始めても遅くはありません。読み聞かせも何歳で始めても子どもには効果があります。勉強に関しても、小学生で今の学習内容がわからなければ少し前に戻ればいいだけで、「遅い」と考えることはありません。例えば、小学3年生で算数が分からないのなら、それまでのどこかが抜けているんですよ。少し前の内容に戻れば大丈夫です。

 

 

──中学受験、高校受験、大学受験、いろいろと大変ですよね。

 

佐藤亮子 行きたい学校にこだわるのではなくて、行けるところに行くと考えるべきで、高校の勉強は3年で終わらせることです。その時の実力で行ける大学に行く覚悟をするべきだと思います。

大学名にこだわるなら、それなりの実力を付けないといけませんが、一生懸命やって、ここまでというのなら、そこで受ければいいのです。就職も同じです。就きたい仕事に就けたらいいけど、そうはならないこともあります。だったら自分の能力で就ける仕事に就くことがやはり

充実した人生を送ることになるのではないでしょうか。

 

──佐藤さんのお子さんが特別だった、とも言われるのではないですか?

 

佐藤亮子 よく特別だったのでは、と言われますが、親子でゼロから始めていますのでそんなことはないと思います。だから子育ては試行錯誤の連続でした。長男の経験を活かして次男。二人の経験を活かして三男。末の娘は3人の経験をいかせたので割とスムーズにできました。

子育てはトライ&エラーでするしかありません。今は情報が多すぎて、トライした先に必ず成功を求める傾向にあります。ネットを見るといろんな情報がありますから、親はどれにしようか迷うのですよね。それで、悩みすぎて前に進むことが出来ずに、結局同じところをぐるぐる廻ってストレスを溜めています。

だから、「とりあえず何かを始めること」が大事です。あまり先のことを考えないで、とりあえず一歩、踏み出してみる。「考えていたのと違うわ」と思ったら戻ればいいんです。私ははじめから「ちゃんとやろう」という気は全くありませんでした。それで大きくなった子どもたちからは「ママは意外といい加減だよね」とよく言われます。私は信念を持って子育てをしたように思われていますが、そんなことはなくて「とりあえず」なんでもやってきただけです。

 

子育ては笑顔を目指す

──「教育ママ」についてどうお考えですか?

 佐藤亮子 私もよく「教育ママ」と勘違いされますが。でも、よく言われる教育ママとは、自分の理想を子どもに押し付けるママのことですよね。その方法は上手くいけばいいけれど、いかないときは子どもが勉強嫌いになるとか、いろんな支障が起きます。私はそのような育て方は間違っていると思っています。

生まれたときから、「子どもは独立したひとりの人間」で、親とは別の人格で対等に向き合うべきだと思ってきました。私は子どもが1歳のときでも子どもの考えを尊重し、親という立場からものを言うのは子どもに対して非常に失礼だと考えていました。だから、子どもにかける言葉には大変気を使いましたよ。親だから何を言ってもいい、何をしてもいいということはありません。

親は親の人生。子どもは子どもの人生。子どもの人生に親の欲や期待を絡ませるのは子どもにとって迷惑です。

 

──教育の制度も変わりつつありますね。

 

佐藤亮子 1990年度から2020年度まで大学入試センター試験だったのが、2021年度より大学入学共通テストになりました。大きく変わったのは、かなりの量の日本語を読ませることです。国語の問題だけでなく、数学も計算させる前の文章が長いんです。要するに情報処理能力を求めているということでしょう。

また、時事問題が多いのも特徴です。今の世の中は、地球環境問題をはじめ重要な問題が多いですよね。「あなたの未来はどうなるのか真剣に考えてほしい、世の中のことに関心を持って欲しい」という大学からのメッセージだと思います。

センター試験の過去問題を見ると初めから5年目くらいまでは問題の作成に試行錯誤しているのが分かり、6年目からは大方の方針が固まっていますね。だから始まったばかりの共通テストももう少し試行錯誤が続き、方針が決まるのは6年目以降なのでは、と考えています。ということは、共通テストの過去問が役に立つのは10年くらいの分量がまとまってからなので、今の小学1年生が大学受験するときくらいですね。「うちは小学生だから大学受験は先のこと」と思うのではなく、このような移行期は小学生の時から問題の大方の傾向は知っておいた方がいいですよ。面倒ですが、親が毎年の出題された問題をざっとでもみておくといいと思います。親の経験もアップデートしておかないと我が子の大学受験のときに対応できません。

 

──佐藤さんは講演会でどのようことを伝えたいとお考えですか?

 

 佐藤亮子 今は、本当にコロナ禍で大変な状況です。「塾や学校に行かせると、感染するんじゃないか」と心配する保護者の方も多いのです。その心配はよく理解できますし、命がなによりも大

切です。世の中の状況を見ながら登校や通塾を考えないといけないと思います。でも、子どもは着々と大きくなりますから、しっかりと学ばせなければなりません。それを考えるとどうしても家庭でやらざるを得なくなりますから、より一層家庭学習が重要になります。家庭学習をするにはスケジュール管理が大事ですから、保護者のサポートは必須ですね。

ちまたでは、これからAIに仕事を取られるのではないかと大騒ぎしていますが、いわばAIは膨大な情報を蓄積しその中から適切な情報を瞬時に出すのが得意なだけで、その情報を入れるのも人間だし、出した情報を利用するのも人間なのです。AIにどのような情報を入れるかが大切なので、やはりその情報を扱う人間をどう作るかが大事ということになります。どのような人間を作るのかは今までと何も変わりはなく、世の中の変化にとらわれずに私は今まで通りの子育てをするべきだと思います。

だからやはり、大事なのは読み書き計算。読み書き計算の完成度の高さにこだわって欲しい。完成度の差で偏差値が違ってくるのです。

子どもも一人ひとり違いますから、それぞれの子どもが楽しく笑顔で学べるようにサポートしていただきたいと思います。子どもをよく観察して、子どもから笑顔が消えたら、子どもを叱るのではなくやり方を変えてほしい。いつでも、何をするのでも子どもの「笑顔」を目標にしてほしいと思います。それには、親の「笑顔」も当然大事です。双方が笑顔だったら、そのやり方は正しいし結果がついてきます。

何はともあれ、一番大事なものは、「基礎学力」で、いわば「読み書き計算」です。この基礎学力を確かなものにするには、本当に手間と時間がかかります。でも、一旦身につければ子どもの一生を支えるものになりますから、ぜひ心して鍛えてあげてください。

深い愛情をもって、正しいやり方でしっかり育てることが親としてするべき子育てだと思います。

 

──貴重なお話、ありがとうございました。

 

 

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