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夏まゆみ 講演会講師インタビュー

現在まで300組以上のアーティストの振り付けを担当してきた、ダンス界の第一人者。
いわゆる“普通の子”を国民的アイドルにまで育て上げた経験・手腕から「ヒトが本来持つ道徳観に基づいた人間力向上」の指導者としても注目を集める夏まゆみ氏に、コーチングや人材育成、チームビルディング、リーダーシップ、モチベーションなどビジネスにも広く通じるテーマについて想いを伺った。

(text:伊藤秋廣、photo:小山幸彦)

講演で心がけていること

夏まゆみ──主にどのような企業・団体から講演依頼を受けていらっしゃいますか?

 

夏:自分でも驚いてしまうほど、様々な企業や教育機関、官公庁様からお声がけをいただいております。先日は金融業界にお勤めになられている方々に向けてお話をさせていただきましたし、歯科医院の院長先生の集まりにもお呼びいただき、歯科衛生士の女性たちをどのように育て、まとめていけば良いのかというお悩みにお答えするかたちでお話をさせていただいたこともあります。ありがたいことに、今から3年前に『エースと呼ばれる人は何をしているのか』(サンマーク出版刊)という書籍を出版してから、このような講演の機会をいただくようになりました。人を育成する立場の方々に対しては“どうやってエースを育てるのか?”というお話をさせていただき、学生さんや若手のビジネスパーソン、サービス業に従事している方々に向けては“エースになるためにどうしたらいいのか?”というお話をさせていただきます。

 

──モーニング娘。やAKB48と同年代の中高生を対象とする講演の際には、どのようなメッセージを伝えていますか?

 

夏:これまでの経験の中で、私が目の当たりにしてきた教え子たちの変化や、どのようにすれば前に進むことができたのか? そのブレークスルー・ポイントについてお話しします。そして、“みんながエースになれる”ということ、“エースはエブリバディ”なのだと熱く語りますね。最近は、夢をつかみなさいと言う話をしても、自分の夢が何なのかがわからないと悩んでいる子が増えているように思えます。今、自分は何を目指していて、そのために何をやるべきかという話や、とにかく目の前にあるものに、少しでもいいから興味を持ったら手を伸ばしてごらんなさいと伝えています。きっかけになる言葉を掛けたいですね。

 

夏まゆみ──著書は勿論、様々なメディアで情報を発信されていますが、特に「講演会」の場で心がけていることはありますか?

 

夏:基本的に、私の指導の根底にあるのは“1対1”という考え方です。これは講演の場においても一緒だと思っています。例えば、先日は3000人を前にしてお話しをしたのですが、“1対3000”ではなく、“1対1”を人数分という思いで最低限、全員と目を合わせようと心がけながらお話をします。やはりこれまで、“1対1”の指導で成果をあげてきたのでそれを拡大し、同じように皆さまにしっかりお話をしたいと思うのです。

また、各企業様からお声がかかった段階で、当日までにできる限り、微力ではありますがその業界や企業様について勉強をさせていただきます。そして、業務内容と私の経験との共通点を見いだし、具体例を示しながらお話をします。一見、かなりかけ離れていそうな業界であっても、絶対に共通点を探しだします。勉強しているうちに見つかるんですよ。見つかると私もうれしくなります。
業種や業界は様々に違っていても、あらゆるビジネスは人と人との交流の中から生まれています。人がキーになっている以上、私がこれまで取り組んできた人材育成との共通項が必ず見つかるんです。ですから、毎回、業界に合わせて少しずつ講演の内容は変わります。基本的な考え方は対人と同じように、会社に対しても“1対1”。個別にお話を用意させていただきます。

 

 

指導者の役割

夏まゆみ──これまで、数多くの才能を育てられていますが、キャリアを重ねてこられる中で、指導における考え方に変化はありましたでしょうか?

 

夏:核となる考え方は揺るぎませんが、自分自身が経験を重ね、学んできたことが増えていくにつれ、必然的に変わっていくとは思います。それを私は、変化ではなく成長と呼んでいます。人は死ぬまで成長を続けていく生き物です。教え子たちに気づきを与え、成長を加速させるお手伝いをするのが私たち指導者の役割と認識しています。

気づきの与え方は言うまでもなく人によって違ってきます。ですから“1対1”でしっかり相手を見る必要があるのです。実は6月中旬に新しい書籍を出版する予定なのですが、それはまさに指導者に向けた内容になっています。前作『エースと呼ばれる人は何をしているのか』では、エースは自己を確立して自信を持って前に進んでいる、そしてエースは目立っている人やトップにいる人ではなく、自分の魅力や能力を最大限発揮して輝いて生きている人のことだと書いたのですが、今回の書籍には指導者としてのノウハウの詳細を提示しています。基本的には、“人を育てるのにノウハウなどない”というのが私の持論なのですが、“どうしても知りたい”、“どうやったらリーダーになれるのだろう?”というお悩みを直接、講演の場でお聞きするようになって、何とかそれを形にしたいと考えました。

 

──出版前に恐縮ですが、どのような内容になっているのか、概要を教えていただけませんでしょうか。

 

夏:今回の書籍でフォーカスさせていただいたのは「言葉」です。指導を行う上で、相手の心にもっとも響く「言葉」を使うことが大切だと。その「言葉」を探すために“1対1”で相手のことをよく見る必要があるのだと書きました。相手の見方を間違えると、その言葉が響かないどころか、逆に大失敗を引き起こす可能性もあります。多くの指導的立場にある人は、つい、押しつけるような言葉を使ってしまいます。「もっとこうしろ」と。しかし、逆に言われる身になって、その人の心に響く「言葉」を探していく必要があるんです。そのために、まずは関係づくりが大切で、相手との距離感のコントロールが重要になってきます。縮めるときがあったり、逆に距離を置くことがあったり、相手の様子を見ながら調整をします。あるときは近づいたり、またあるときは少し遠くから見守りながら放っておいたりと、そんなことを繰り返しながら関係を構築していきます。大切なのは、年齢がいくつであっても、相手を人として認める時間が必要だということです。それは上司と部下、先輩と後輩、親御さんとお子さんといった間柄においても一緒かもしれませんが、上から目線で話をするのではなく、時には人として同じレベルで話す時間があってもいいと思うのです。そんな時間にこそ、伸ばすべきポイントや個性が見えてくるはずです。

 

夏まゆみ──そこで見えてきた個性をどのように伸ばしていくのでしょうか?

 

夏:関係を構築したら、さらに環境を整える必要があります。それは“自分をさらけ出していいんだよ”と思えるような環境です。ダンスでいえば、結果ではなく、取り組む姿勢を評価するんです。私の教え子たちの中には、踊った経験すらない子もいましたし、10年経験している子もいました。その中で目を向けるべきは、ダンスができたか?や踊りが早く覚えられたか?ということではなく、そこに向かうまでのプロセスなんです。
例えば、ダンス未経験の子が一生懸命にやろうと思ったら、どうしても変な格好になります。でも、その変な格好を褒めるべきなんです。これでいいんだ、変な格好でいいんだと。上手でなければ人前で踊ってはいけないんだと思わせて、押さえ込んではいけません。そうすると、その子は自分を出してこない。可能性を閉じてしまいます。

また、周りのメンバーを納得させるためには、わざとみんなの前で褒めたりします。ここからここまで成長しているのだという“のびしろ”を褒めると公平になりますよね。その時点でダンスがうまいというのは、スタート時期が違うだけのことですから。この期間にどれだけ伸びたのか、そこを見るんです。

 

──これまで指導されてきた中で、伸びる人に共通している資質はありますか?

 

夏:伸びる子には、吸収力と集中力と観察力と傾聴力という4つの力が備わっています。さらに若い子であれば、それらの原動力となる興味心があることが前提なります。もちろん、はじめから、それらの力が揃っている子などいませんから、そこは指導を続ける課程で伸ばしていきます。例えば、観察力を養うためには、「よく見て!」「どこを見ているの?」と声をかけます。プロのダンサーでも手や足しか見ないで動いていることがあります。「ちょっと肩の動きを見て」「首の傾げ方が違うでしょ」「どこを見ているの?」と何度も何度も言葉を換え、声をかけながら注意喚起して、それを習慣化させていくんです。

 

──努力をしているのに思うような成果が得られず、大きな壁に当たっているタレントには、どのようなコーチングを意識されていますか?

 

夏:まずは「努力して報われないことはない」と伝えます。それから、壁にぶち当たっている子には、「これは壁ではない」と、これは上るべきステップであると言うのです。今はまだ自分自身が小さな存在だから壁は大きく見えるけれども、その先の自分の決めた夢まで見通したら、こんな壁って小さなものじゃない?と伝えるときもあります。

また、ときには、「がんばっている人には壁は現れない」と言葉をかけることもあります。言葉一つで相手の気持ちは変わります。気持ちが変われば人間は前に進んでいける。相手にしっかり向き合うことなく、「がんばれ」「一生懸命やれ」「ちゃんとやんなきゃダメ」と一辺倒の言葉を投げかけても、全く心に響かないからやる気にならないんです。この子に何という言葉を、どのタイミングでかければ良いのかをしっかり考えることが重要です。

 

 

様々な言葉を用意して、相手の心に刺さるまで伝え続ける

夏まゆみ──チームビルディングの面で、“「エース」と呼ばれない”多くの存在のモチベーション向上のために、心がけていたことはありますか?

 

夏:良いところを確実に見つけだして褒める。失敗した時にこそ褒めて、成功したときには叱咤激励しますね。成功したときに褒めると慢心してしまったり、それによって油断が生じたりします。さらなる向上を目指してもらうために、常にその子のレベルからほんの少しだけ難しい課題を出すんです。失敗した子をなぜ褒めるかというと、失敗したことは周囲の人間よりも当の本人が一番わかっていることだし、傷ついてもいます。そこで叱るのは逆効果ですよね。「今失敗しておいて良かったね」「次は失敗しないと思うよ」と声をかけます。

 

──チームとして成功してくると、どこかで「慣れ」や「甘え」が出てくる瞬間があると思いますが、どのように引き締めを図りますか?

 

夏:まず、慣れや慢心が生じているということは確実に指摘します。その上で、常に冷静に、丁寧に、正確に、自分がやるべきことをやるように伝えますね。結局は、感謝の気持ちが必要なのだと。夢を送る側にいる君たちが慢心して「このくらいでいいだろう」と妥協していては、支えてくれているスタッフはもちろん、ファンや視聴者の皆さんに失礼だろうと理解を促します。一言で言えば「プロ意識を持て」ということになるのですが、そのような通り一遍の表現では伝わりませんから、様々な言葉を用意して、相手の心に刺さるまで伝え続けています。

 

──言葉を駆使するというその方法論は、これまでのキャリアの中でどのように身につけてこられたのですか?

 

夏:指導者になった当初は、“なんてつらい立場になってしまったのだろう”と思ったこともありました。それが今ではこうして指導をする方々にお伝えさせていただける立場になったのは思いもよらぬことでしたが、私自身も段階的にキャリアを積み重ねてきたからこそ、現在の私があると思っています。元々は自分が踊っていて、踊れるならば振り付けもできるだろう?と言われ、期せずして指導の道へと入ることになりました。しかも、私がダンスを教えてきた人の多くは踊れる人たちではなかったし、下手をすればダンスを教わったことすらない人たちもいました。ですから、「私の動きを見て、真似をして」と言ってもなかなかうまくいかなくて、言葉で伝えるしかなかったんですね。分かりやすい言葉で、しかも瞬時に正しくイメージしてもらう必要があったんです。手を前に出す動きも、「もっとちょうだい」「もっと欲しいと手を伸ばして」と言ってみたり、「肩からではなく胸から前に出て」などと、ひとつの動作に対して常に5~10個の言葉を用いて表現したりして、“どうやったらこの子たちがその動きをしてくれるのだろうか?”と考え続けてきた結果、いつの間にかこの指導スタイルが身についていたんです。

 

夏まゆみ──ダンスを経験してこなかった子をプロとして通用するダンサーに育て上げることに成功してきたのですから、まさに驚異的な指導力ですね。

 

夏:ダンスを教わったことがなくてもダンスが好きという子ならまだしも、中には大嫌いという子だっていましたから(笑)。先ほどの環境づくりの話と同様、見た目は全然格好良くなくてもいい。ダンスに正解などないから、格好悪くても楽しければいいと伝えていました。私自身も変なダンスを踊ったりして。そんなことを続けていると、ダンスが嫌いだった子も“ちょっとおもしろいかな”から“もしかしたら好きかも”といった段階を経て、最後には本当に好きになる。そうなると今度は本人がもっと上手になりたいと思うようになってくれる。そこまで持って行くのが私の仕事だと思ってこれまでやってきました。

 

 

“人間力向上学”

夏まゆみ──ビジネスにおいてもチームマネジメントやコーチングが重視されています。現代のリーダーに足りないものや、求められることは何でしょうか?

 

夏:いつの時代であっても、原則としてリーダーには自覚と責任が必要で、さらに包容力があればベストだと思います。とはいえ、リーダーとしてチームをまとめるのはそれほど簡単なことではありません。特にリーダーになったばかりの人たちが“どうしたらいいんだろう?”と悩む気持ちもわからなくはありません。そういった方たちには、理想のリーダー像は人それぞれであって、まったく同じである必要はないと伝えます。ですから“あの人みたいなリーダーにならなきゃ”“しっかりまとめなきゃ”と考えるより、“まずは自分ならどうできるのか?”を考え「自分のやり方で理想を追いかければいいんだよ」と言葉を掛けます。

日本人はどうしても画一的なリーダー像を求めがちですが、私は世界中のダンスを学びたくて各国を回り、ダンスだけではなく生活や文化をつぶさにこの目に収めてきました。どこに行っても新しい発見があったし、全部が違う。違って当たり前なのだということを身を持って理解した経験が、リーダーシップに対する考え方の中に生きているのかもしれません。

 

──近年、道徳教育の重要性が高まっていますが、夏先生が「道徳」を説く際に、心がけていることはありますか?

 

夏:多くの若い子たちと接してきた経験から、道徳教育の重要性を改めて実感し、私なりに何かお伝えしていけることがあるのでは?と考えるようになりました。ところが、道徳って、無理矢理なルールを先に作ってそれを言葉で伝えていったところで、感覚として身についていなければ意味がありませんよね。やはり、本人に気づかせること、感じさせることから始めるべきだと思うんです。ヒントとなるのはインド映画。作品のテーマはまさに道徳なんですよね。努力や優しさ、思いやりや感謝の心を映像を通じて伝えようとしています。映像を通じて気づいてもらって、自らが考えていけるようなスタイルの道徳教育が必要だと思っています。

 

──最後に、これからの人生で、新しくチャレンジしたいことはありますか?

 

夏:これまでの経験から、指導のやり方ひとつで大きくチームのチカラが変わっていきますから、キーとなる指導者の方々に、人とのふれあい方、交流の大切さや、そこから生まれるチカラが組織を変えていくのだと、そして、さらに豊かな日本になっていくのだということを伝えるのが私の使命だと思っています。講演会で皆さんと直接触れ合うことができるのは大変うれしいことなのですが、欲を言えば、もっともっとたくさんの人にお話をさせていただきたいと思っています。ですから、近い将来にはラジオ番組を持って、“人間力向上学”というものを伝えていきたいと考えています。多くの人たちの心に響くよう、文字ではなく、自分の声でしっかりお伝えしたいですね。

 

夏まゆみ

 

 

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