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三浦瑠麗 講演会講師インタビュー

国際政治学者として、シンクタンクである山猫総合研究所の代表として、
講演はもちろん、ニュース番組のコメンテーターや執筆などで活躍する三浦瑠麗氏。
常にグローバルな視点から情報を発信し続けている。
そんな三浦氏に新型コロナウイルス後の世界において、日本は何をしなければならないかについて伺った。

(text:大橋博之、photo:小野綾子)

国際情勢の知識を持っておくことが重要

──国際政治学者として、どのような講演をされているのでしょうか?

 

三浦 基本的には現在の国際政治情勢、とりわけ2014、5年からはじまったヨーロッパの変化と、2016年からのブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)、2017年のトランプ、アメリカ合衆国大統領誕生といった構造変動に焦点を当てながら、それはどういった理由で起きたのか、どのような影響があるのかについて講演させて頂いています。
また、先進国共通の事情を探るとともに、トランプが掲げる「アメリカ第一主義」の結果、同盟国・日本にどのような変化がもたらされるのかといった問題も扱っています。

加えて、2019年は香港デモの意味合いについても取り上げ、米中貿易戦争の解説と独自調査に基づいた展望をお話ししました。

 

 

──国際情勢が目まぐるしく変化するなか、常に最新の情報が聞けるわけですね。

 

三浦 ただ、それだけでは「では、日本はどうすれば良いのか?」といった疑問が湧くと思います。そのため、残り1/3くらいは日本の話に割いています。安全保障と貿易双方においてアメリカから受けるプレッシャー、日本独自の脆弱性。さらに日中、日韓関係についても時事問題を交えながらお話しします。カギとなるポイントは、日本の抱える脆弱性は何に由来するのかを客観視すること。少しでもリスクを減らすためにはどのような変革が必要かといったこともお伝えしています。

 

 

──代表を務めている山猫総合研究所はどのようなことをされているのですか?

 

三浦 山猫総合研究所はシンクタンクとして、日本と中国と韓国の3か国に関して毎年、意識調査を行っています。

この「日中韓意識調査」は、対外的な好感度や意識、ライフスタイル、文化を含めた消費行動、回答者の学歴や収入、ビジネス形態などを切り口に、人はどういった場合に対外的な意識を変化させるのかをリサーチしています。この調査を基に講演させて頂くこともあります。

もう一つの調査として、2019年から始めた「日本人価値観調査」があります。2019年は18歳以上の男女2,060人を対象に、安全保障、憲法、経済政策、社会政策、女性問題、それらに分類しにくい一般的な価値観などを大きな区分に別けて、さまざまにリサーチしました。

この調査から導き出された結果を基に、日本における左右イデオロギー対立や自民党一党優位が生まれた理由などの分析を行い、講演会の参加者の関心にあわせて解説を行っています。

>※「日本人価値観調査」は、山猫総合研究所のサイトで無料公開しています。

 

──具体的にはどのような講演会なのですか?

 

三浦 さまざまな業種の方々がいらっしゃるので、都度変わりますが、左右対立のリアルや、日本政治の特殊性についてのご関心は高いですね。2019年の参議院選挙において、マスコミで報じられた争点は消費税や年金問題などでした。しかし、実際のところ、有権者はどのような価値基準によって投票したのかを解析すると、異なる結論が出てきます。この解説については、とりわけ今まで聞いたことがない視点であるとの反響を頂いています。今後もマーケティング的発想に基づいた政治分析は継続していきたいと考えています。

 

 

──それはとても興味深いですね。年に1度の調査なんですね。

 

三浦 価値観の調査なので、1年単位で大きな変動はありません。ただ、5年、10年のスパンで見ると、世代交代による変化や、女性問題や体罰などに関して意識が変わるということはあります。例えば、安倍政権がウーマノミクスを導入した結果、保守の人びとの女性問題に関する意識は変わりました。日本はもともと比較的安定した若干リベラル寄りの価値観の人が多いのです。

国政選挙の争点をきちんと理解することも重要です。毎回変わり映えのしない選挙に飽き飽きしている方も多いでしょうが、政党の戦略を論じてみることで、民主主義で最も重要なゲームを俯瞰して理解することができます。弊社の価値観調査に基づく参院選分析については、私が客員主幹研究員を務める創発プラットフォーム主催のフォーラムで、参院自民党幹事長の世耕弘成さんと立憲民主党政務調査会長の逢坂誠二さんをパネリストにお招きしてディスカッションをしました。新しい手法を政治の議論に取り入れるという取り組みに、政党にとっても有権者理解が進んだという反応がありました。世耕さんも逢坂さんも、納得と驚きと両面あったと。

 

 

──世耕さんも逢坂さんも把握していなかった?

 

三浦 通常、政党やメディアは情勢調査に世論調査の総力を傾けています。勝つか負けるかの予測が重要だからです。しかし、重要なのは結果に至るプロセスであり、民意の方ではないですか。選挙の情勢調査ではなく、価値観やライフスタイルと併せて調査することで、政党にとってもメディアにとっても国民を知るという意味で学びは大きいはずです。また、弊社が用いている分析手法には、人びとの建前の意見ではなくて、本音が焙り出せるというメリットがあります。

 

 

──調査するにも手間がかかるのではないでしょうか?

 

三浦 山猫総合研究所はシンクタンクですが、企業、官公庁含めいかなるスポンサーの支援も受けていません。スポンサーを持つことで利害関係が生じたり、研究にバイアスがかかることを防ぐためです。インターネットやメディアにおいて無料で知見を公開するのに加えて、より深い分析を本に著したり、有料の講演会でお話しすることで、成り立っているのです。

 

 

──どういうところからの講演依頼が多いですか?

 

三浦 国際情勢に強い関心をお持ちなのは、やはり金融・保険とエネルギー関係ですね。けれども、その他の業種の企業や地域の経済会といった組織からのご依頼も多いです。

また、私自身が子育てをするキャリア女性であり、女性問題の調査なども行っていることから、NPOや地方自治体などの公益的な機関からのご依頼もあります。あるいは女性のセールスフォースが多い企業の研修なども担当したことがあります。

 

 

──聴講者はどのような関心を持つことが多いのでしょうか?

 

三浦 金融・保険関係ではお客様とお話しをする上で、長期的な展望を聞かれることが多く、担当者は国際情勢の知識を持っていなければなりません。とりわけ、2019年にご依頼が多かったテーマが、米中貿易戦争でした。米国大統領選、日韓対立によるビジネスへの影響や展望などのリクエストもたくさんありました。

経済活動をやめることは敗北を深める

──今、日本では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の世界はどうなり、今後、どうすれば良いのかが大きな関心事だと思うのですが、見解を教えてください。

 

三浦 コロナショックが明らかにしたのは、国際機関やG7、G20などが平時にいかに国際協力を訴えたとしても、実際の有事においては国際協力は進まないということでした。各国政府は自国の利益を優先し、短期的な視野で行動するからです。そして、政権は、世論によって不合理な選択に追い込まれるということです。比較的穏当な対応を取ってきた日本のような事例でも、当初想定したシナリオでは許されないような世論の圧力が生じます。そのドライビング・フォースとなるのが、民主国家における政権の脆弱性と、不安の集団心理です。

これはまさに戦間期に各国がブロック経済に向けてひた走っていた状況と同じです。ただ、違うのは、当時は大恐慌が偶然起きたのに対し、今は人々が人為的に大恐慌を作り出していることです。

 

 

──というのは?

 

三浦 過剰な自粛と内向き化によって経済を殺しに行っているということです。その底流には、先進国のなかに蓄積しているグローバリゼーションへの嫌気、先進国の労働者の地位の総体的低下に対するフラストレーションが窺えます。また、中国が台頭してきたことによる自信喪失や恐れといったものがない交ぜになって、ある種のショックをみんなが望んだ。そこに誰でも罹りうる目に見えないウイルスがぴったりとはまったと私は見ています。仮に異なる社会背景であれば、異なる対応があったかもしれないということです。

 

 

──なるほど。

 

三浦 集団心理により、避けられない被害を避けようとして、ロックダウン(都市封鎖)に加えて、経済のシャットダウンに向かいます。この経済のシャットダウンは、需要そのものを削りに行くということなので、結果的に失われたものは取り戻せません。金融危機とは違って、流動性が確保されても問題解決にはならないんです。ですから、本来望ましいのは、一刻も早く経済活動を再開させてウイルスと共に生きていくことです。

戦争はやめることができます。しかし、我々が降参してやめたと言ってもコロナウイルスは死滅しません。我々はワクチンがない限り勝てないのです。ワクチンができたとしても全人類に届くには時間がかかります。2年以内には多くの人が罹患するでしょうから、我々は勝ちを取りにいっているつもりでも、実際には共生を強いられるのです。敗北によく似た共生ですね。その現実を受け入れられない人間が、自分達の経済活動、人間らしい生活そのものを止めることでさらに敗北を深めているとご理解いただければと思います。

人類はもう、コロナと共存するしかありません。でも、人間は昔から結核と共に生きていたのですから、人類は滅びません。日本も結核をまるで撲滅できていないことに、注意を払っていただきたいと思います。

経済的な近未来の話もしておきましょう。一部の人は、資本家・お金持ちが損失を出したことで格差は縮まるといった幻想を持っているようです。ある意味、これを機に、第二次世界大戦後のような誰もが持たざる平等な社会ができるという期待ですね。それは間違っているし、格差はもっとこれから開きます。政府が破綻し、ハイパーインフレが起こらない限り、富の格差はなくならないのです。

むしろ、新型コロナウイルス禍の結果として、先進国の中産階級、中小零細の事業者の底が抜けて、貧困に近づくでしょう。政府がどんなに経済対策を打ったとしても、それを完全に止めることはできません。安い価格で資産が買い叩かれる世界はすぐそこです。コロナ後に、生活が破綻し、経済が破綻した方々の社会復帰、自立支援も考えて行かなければなりません。

コロナが去った後のことを考え、早々に方針の転換を求めたいですね。

 

 

──方針の転換とは具体的にどういうことですか?

 

三浦 過度な自粛はやめて事業を続ける。もちろん、これを機会に合理化、IT化を進めるという、どうせした方がよい改革のプラスの側面はフル活用したうえで、です。一言で言えば、経済活動を諦めないということです。もちろん、立ち行かなくて廃業される方もいるでしょう。誰にでも続けられるわけではない。しかし、政府も共生しかないという事実を認めることに及び腰ではありますが、経済活動を続けたいと言っています。SNSの不謹慎狩りやメディアの自粛モードに流されず、横並びを避けて各自が頑張り、経済活動を続ける努力をすることです。むしろ危機をチャンスと捉えて、新しいことをする発想も必要だと思います。

 

 

──社員の働き方はどうでしょうか?

 

三浦 リモートワークやフレックスタイム制を導入している企業はなにも変える必要はありません。山猫総合研究所もそうです。

ただ、大手企業が慣れないでやっているリモートワークはかえって面倒を増やしている側面もあるように思います。リモートワークは、いらない作業を見極めて簡素化することが重要です。そもそも、リモートやクラウドが怖くてIT化が進んでいないのなら、まずしっかりと合理的にそこに取り組む。そして、リモートワークにするためにストレスの高い環境下に従業員を置いたり、かえって作業が煩雑になるというのはおかしいことです。ユーザーフレンドリーなシステムを考えるべきですね。

 

 

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