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河野道成 講演会講師インタビュー

ソニーで長年にわたり研究開発の最前線に立ち、プレイステーションやスマート家電、インタラクティブライブなど数々の先進的プロジェクトを手がけてきた河野道成さん。専門は「体験価値デザイン(ユーザーエクスペリエンス)」という、モノではなく“体験”そのものを設計する分野です。人はなぜ感動し、なぜ行動するのか――その本質を探るため、認知や感情、行動の仕組みに着目しながら、技術開発にとどまらず、企画やマーケティングまでを横断したプロジェクトに取り組んできました。ソニー時代には、時代を先取りしすぎたがゆえに事業化の壁に直面する経験も数多く重ねています。そうした試行錯誤と葛藤の中で培われたのが、「10年後、15年後を見据えて体験を描く思考法」です。現在は独立し、企業の新規事業開発やUXデザイン(体験価値デザイン)を支援する立場として活躍。講演会では、イノベーションが生まれない組織の共通点、体験価値から逆算する新規事業開発、部門を超えて人を動かすコミュニケーションのあり方などを、豊富な実体験をもとに、具体例とともに語っています。今回は、講演依頼のSpeakersに新しく講師として登録された河野道成さんに、体験価値デザインの原点と、これからの日本企業に必要な視点について伺いました。

(text:高田晶子、photo:遠藤貴也)

ソニーのエンジニア職から「人間」に興味を持ち、体験価値を起点としたビジネス創出へ

 ――河野さんは’92年に大学を卒業され、そのまま新卒でソフトエンジニアとしてソニーに入社されました。ユーザーインターフェイス、ネットワークサービス開発、体験価値デザインなど幅広いご経験ですが、河野さんの専門を“ひとことで”言うと、どの領域になりますでしょうか?

 

河野道成 インタビュー風景河野道成  最初にこの部分をきちんとご説明した方がいいなとは、私自身も思っていました(笑)。そもそも、私の専門分野は「体験価値の創出」です。まだ一般的な用語ではありませんが、人によっては「体験価値デザイン」と呼んだり、「体験デザイン」と言ったりもします。
共通しているのは、モノや機能そのものではなく、それを通じて人が何を感じ、どう行動が変わるのかという“体験”を起点に価値を考える、という点です。ビジネスの文脈ではUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉が近いですが、私は「体験価値」という言葉のほうが、人の感情や時間の流れまで含めて考えやすいと感じています。

すごく平たく言うと、モノそのものを作るというより、「そのモノを通じて、どんな体験が生まれるか」を設計する仕事です。人がどう理解し、どう判断し、どう行動し、そしてどう感じるのか。その一連の流れまで含めて考えます。

例えば、実演販売で洗剤を売る場面を想像してみてください。「この洗剤は成分がこうで、性能がこうです」と説明するだけでは、なかなか手に取ってもらえません。でも、目の前で実際に汚れがスッと落ちる様子を見せて、「あ、すごい」「これは便利だ」と体感してもらえた瞬間に、商品への印象が一気に変わります。
その「すごい」、「便利!」と感じる瞬間や感情が、体験価値です。

新規事業を立ち上げるときも同じで、「こんな使い方ができるんだ」「こういう体験価値があるんだ」ということを、できるだけ早い段階から体験として伝えていく。私はそうした考え方を軸に、体験価値の設計に取り組んできました。

 

――ユーザーインターフェイスというのは、どういったことでしょう?

 

河野道成  例として、スマートフォンのアプリなどで、「ここに録音ボタンがあると直感的に使いやすい」「この機能は分かりづらいので表示や操作を工夫する」といった、画面上で“どこに何を配置するか”“どう操作させるか”という設計がユーザーインターフェース(UI)です。

一方でUXや体験価値の設計では、その機能を使うことで、どのような体験が生まれるかまでを考えます。例えば録音機能の場合、「はい、撮るよ」と声をかけて意図的に録音した子どもの声も良いですが、日常の中で起こる何気ないハプニングを記録できることに価値があります。そうした音声が残っていれば、10年後、15年後に子どもが成長したとき、当時の声を振り返りながら、家族で貴重な思い出を共有することができます。

このようにUXでは、今の便利さだけでなく、時間の経過とともに意味が深まっていく体験までを含めて設計します。その根底にあるのが、「人はどんな瞬間に心が動き、記憶に残る体験になるのか」という視点です。

人それぞれ、何を面白いと思うのか、楽しい、美しい、素晴らしいと感じるのかは違います。逆に、面白くない、嫌だ、つらいと思うことも、人によって全然違います。自分たちが作るものをいいと思ってもらう為には、どうすればどんな感情や精神状態になるかを知る必要がありました。そのために、認知工学や感情工学などを勉強してきました。

 

――そうしたお仕事を、学生時代からやりたかったのでしょうか?

 

河野道成  いえ、それが全然(笑)。私がソニーに入社した‘92年から’00年くらいというのは、インターネットがまだそこまで普及していませんでした。携帯電話もまだガラケーで、ドコモのiモードがあったかどうかくらいです。もちろんスマートフォンもないですし、当然スマート家電などもありません。まだ、「体験価値」という概念もなく、ディズニーランドが顧客満足度(CS/カスタマー・サティスファクション)という言い方をしていたくらいでした。日本でも家電メーカーも自動車メーカーが技術を磨いて少しでも改良した製品を世に出すことには必死になっていましたが、積極的に顧客が満足できるような体験価値を示すことはありませんでした。

 

――そもそも「体験価値」という概念がなかったのですね。

 

河野道成 インタビュー風景河野道成  そうなんです。最初はすべて手探りでやっていて、非常に大変でした。例えば、上司に「これ、みんなで触ってみたら面白いって話になったのですが……」と言っても、「もっときちんと数字で示してくれ」と言われてしまう。「10人中8人が面白いと言っても、違う人もいるし、世界中のみんながそうではないよね」と。ソニーは、感性やひらめきだけでモノづくりをする会社ではなく、感動や体験を論理的に設計し、技術によって価値として届ける会社だと言えます。そこで私は、「感動した」「楽しかった」とき、人の身体の中で何が起きているのかを見てみたいと思うようになりました。
例えば、体験した瞬間に脳波はどう変わるのか、興奮や緊張で発汗するといった反応が出ているのか。
そうしたバイタルデータを取るようになって、感性や感情もロジックで向き合える対象なんだと気づき、人間って本当に面白いなと思うようになったんです。

 

――そういうお仕事もされながら、2004年頃からはプレイステーション3のお仕事もされるんですか。

 

河野道成  そうですね。インターネットが普及するに従って、昔のファミコンのようにコードが繋がっていてソフトをガチャっと入れてプレイするのではなく、ネットワークに繋げられるようになった。声を認識して操作できるようになったり、コントローラーがなくても操作できるようになったりなど、多機能化して、どんどん技術も格段に上がっていきました。そのような進歩の中で、研究所にいた私は、その研究の成果をプレイステーション3,そしてプレイステーション4に導入するためのリーダーに就任しました。

 

――スマート家電のお仕事もされていたとか。

 

河野道成  昔であれば、テレビは映像が映ってチャンネルが切り替えられるだけで十分でした。しかし今では、インターネットに接続してYouTubeなどの動画が見られたり、さまざまなサブスクリプションサービスに対応していたりと、機能が増えること自体は当たり前になっています。ただ、機能が増えただけでは、それがそのまま商品価値や満足感につながる時代ではなくなりました。

ウォークマンも同じです。かつては自分で録音したテープやMD、ラジオが聴ければ十分でしたが、やがて音楽をダウンロードし、自分の好みに合わせて選び、迷わず操作できることが求められるようになりました。
機能が高度化·複雑化する一方で、人は「何ができるか」だけではなく、「どう使えて、どう感じるか」を重視するようになってきたのです。

その変化の中で、「使いやすさ」だけでなく「どう心が動くか」まで含めて体験を設計し、製品に落とし込む役割を担っていきました。

 

――ソニーで15年以上、いろいろなお仕事に取り組んでいたのですね。

 

河野道成  元々ソフトウェア開発の研究からスタートしているんですよ。例えば、音声を認識させるアルゴリズムの研究していて、それをどう商品に落とし込むのかという商品開発にも関わりましたし、開発した技術がどういう体験になると良いのかをマーケティングの人と一緒に考えていました。私は企画もやっていたので、実際にテストをするというところまで全部やっていたのですが、逆にいろいろなことをやりすぎていて、自己紹介をする時に、一言で「これをやっていました」と説明しづらいのが難しいところですね(笑)。

 

10年先、15年先を見据えるパイオニアビジネスを牽引 ソニーのイノベーション企業風土

――印象に残っているプロジェクトは?

 

河野道成 インタビュー風景河野道成  今までの話とはちょっと毛色が変わるのですが、’11年に銀座のソニービルの上で3Dインタラクティブライブの技術開発、テクノロジーディレクターをやらせていただくことがありました。
ソニーという大きな会社で研究の部署にいると、基本的にお客様と直接触れ合う機会はありません。自分が開発に携わった商品も、手を離れてしまうと「あ、今日発売日だったんだ」という感じで、もう次の仕事がスタートしている。
私が携わった3Dインタラクティブライブというのは、昨今流行しているプロジェクションマッピングのように3Dで投影した映像を音楽ライブに取り入れたイベントでした。お客様の動きをカメラで捉え、その動きがそのままエフェクトとしてライブ会場にリアルタイムで反映される仕組みをつくりました。まだこうした取り組みが一般的ではなかった頃に、企画の立ち上げから技術開発まで関わり、アーティストと話し合いを重ねながら映像演出を行い、実際のライブにも立ち会うことができました。会場でのお客様の反応を直に見聞きできた、非常に貴重なプロジェクトでした。お客様の反応を直に見聞きすることができた貴重なプロジェクトでした。面白いことをゼロからイチで創り上げたのですが、採算が合わないということで、プロジェクトを続けることができませんでした。

 

 

 

――ソニーは時代を先駆けすぎているんですね(笑)。

 

河野道成

ソニーの商品は、「10年、15年早い」「時代が追いついていなかった」と言われることがよくあります。当時は市場が受け入れず撤退したものが、数年後に他社から安価に出てヒットする。「それ、10年前にソニーでやっていたよね」という話は、本当によくあるんです。

日本の企業は、GAFA(巨大IT企業のグーグル/アマゾン/フェイスブック/アップルの頭文字)に負けない新規事業を立ち上げないといけない、イノベーションを起こさないと、国際競争に勝てないという認識は今でもあります。今から10年後、15年後を考えて開発をしていかないといけないけれど、変化の激しい昨今、5年後くらいなら時代を見通せても、10年後、15年後を予測して新規事業を立ち上げるのは難しくなっています。ただ、ソニーの先を見通すマインドは今でも私の礎となっていますし、実は今、それが求められているのかなとも思います。そういう意味でも、私はソニーのカルチャーやマインドを伝えていきたいし、語っていきたいですね。

 

――これまでの河野さんのキャリアの中で大きな壁、失敗、いくつもあったと思います。思い出深いことはありますか?

 

河野道成 インタビュー風景河野道成  技術的なことは技術でカバーしてきたので、失敗ということはそこまでなかったのですが、どちらかというと組織の政治的な話で壁がありました。先ほどもお話した3Dインタラクティブライブをやっていた時、私は次のビジネスとしてデジタルサイネージ(電子看板)をもっと面白く、触ったりできるようにできないかなと思っていました。例えば自分の写真をもとに、このコスメを使ったらどんなメイクができるようになるのかというバーチャルメイクができるようにしたり、アパレル店でのバーチャル着替えやウエディングドレスが着られたりするなどです。もうすでに10数年前には技術的にはそれができる状態だったのですが、ビジネス化がうまくできなかった。お客様も小売店もその技術を必要としているのですが、ソニーという大きな組織で事業化するには、研究所から事業所に持っていかねばならない。その事業を誰が受け持ってくれるのか、継続的に続けられるビジネスなのか、きちんと収益化できるのかなど、いろいろな課題が山積して、結局事業化に結び付かなかったのです。

 

――大企業だと組織の連携の部分でうまくいかないなど、大変ですね。商品化できる技術はあるのに、もったいないですね。

 

河野道成  私自身が元々エンジニアなので、割と論理的に物事を考えます。政治的な掛け合いや大人の事情を考えるのが苦手で、理解はするけれど、上への要望が論理的な回答で、かつ納得してもらえないと、部下も含めてチームのモチベーションは下がります。「私たちはこんなに素晴らしい技術を開発して、周りからもいいねと言われているのに、なぜ事業化できないんだ」と士気が落ちてしまう。しかも、事業化できないとなると、次第に周りからも「河野さんのチームは何やってるの?」「好きなことやっているけど、会社のためになっているの?」と厳しい目が向けられる。だから、新しい技術開発をすることはもちろん大切なことですが、きちんと現実と向き合いながら、技術を商品に導入していかないといけないので、なかなか難しいですよね。

 

いくらAI化が進んでも、結局は「人」が大切

――河野さんはいろいろな人たちと話すことに重きを置いているとか?

 

河野道成 インタビュー風景河野道成  そうですね、入社して数年の頃から、もしかしたら自分の研究について、係長と課長の認識が違うかもしれないということに気が付きました。私自身が仕事に対して芯が通っていないとやりたくないと思うタチだったので、部長や事業部長にも話を聞きに行っていたんです。それは何かをコミットするためというよりは、「この人は私のやっている研究をどう思っているのか」を聞きたいだけ。「私はこういう方針で係長や課長からこういうことをやれと言われているのですが、これについてどう思われていますか? 私としてはこういう気持ちでこの仕事をやっています」と、聞きに行っていたんです。
セミナーや講演でも伝えるのですが、国内大手企業の役員クラスでも、若手から声をかけられることを意外と歓迎する方は多い印象です。むしろ、若手社員がどう考えているのかを知りたいと思っています。ソニーもカルチャー的に私の話を面白がって聞いてくれた上司がたくさんいました。もちろん、私の問いかけにすべて答えてくれるわけではありませんでしたが、「それは○○さんが詳しいよ、河野さんのこと伝えておこうか?」とか、「それについては○○さんが話している通りだね」といった形で、きちんと答え合わせや人を繋いでくれていました。今の若い人たちは仕事以外のコミュニケーションを取ることを無駄だと思っているかもしれませんが、意外に上司たちとの世間話から仕事の話に繋がることは多い。仕事って結局は人間と人間の繋がりで進む部分が大きいので、AI化が進むこの世の中でも、人間同士のコミュニケーションは大切なことだと思います。

 

 

――理系の方のイメージとはまた違った考え方をされていて、面白いですね。

 

河野道成  コンピューターは、入力した条件の中で“最適解”を返します。1+1は、基本的に2以外になりません。でも、人間は1+1を瞬時に2という答えを出さなくていいうえに、違う答えもあるし、それが価値にもなるという世界です。それが不思議でもありつつ、1つの事象をポジティブに捉える人もネガティブに捉える人もいるのは、人間って面白いなと思います。特にコトづくりは体験設計という人間の感情に寄り添った仕事です。この技術はこうやって活かした方がいいんじゃないか、こういう使い方をした方が面白いんじゃないかというのは、コンピューターで最適解が出るものではありません。だからこそ面白いんです。

 

――河野さんがUXや体験デザインの仕事をするうえで、大切にされていることは?

 

河野道成  UXはユーザーエクスペリエンスという意味で、日本でも「UXが大切だ」と注目されてきている概念ですが、特に独立してから私はUXという言葉をあまり使わないようにしているんです。それは、「ユーザーだけがその体験を受け取ればいいのか」という気持ちから来るものです。ユーザーを取り巻く環境も大切で、仲間、人間関係、空間、時間、世間など、全ての要素に「間」が入ります。ですから、私は自分の会社に新しい「間」を作りたいという思いを込めて、「ネオマデザイン」と命名しました。
地元に密着したお店の集客を増やしたい場合、自分の店の前だけを掃除してキレイにするよりは、商店街全体がキレイなほうが、お客様が来てくれるようになる。隣の店が汚くて、そのゴミがこっちに入ってくるのが嫌だから、隣の店にクレームを入れるより、自分が率先して掃除しちゃった方が、最初に掃除を始めたアドバンテージができて、「あの店はいつもキレイにしているよね」というブランディングができて、いい評判も立つ。結果的に商店街全体もキレイになって、人が集まるという良い循環ができます。
UXのほかにもEX(エンプロイーエクスペリエンス)という概念もあり、これは従業員の体験価値を意味します。職場環境を改善して、従業員の体験価値が上がって心地良く働ければ、お客様にも良いサービスが提供できるし、それがお客様にとっても良い体験価値に繋がる。ユーザーだけの良い体験を作るというのではなく、社会や周囲の体験価値も含めて、大きな視点からの良い体験を作っていきたいと思っています。

 

講演ではソニーでの実体験をもとに、体験と気づきでビジネスを動かす視点を語る

――それでは、河野さんの講演ではどのようなテーマでお話しされることが多いのでしょうか。

 

河野道成 インタビュー風景河野道成  「共創」や「イノベーション」をテーマにお話しすることが多いですね。
私が言う共創には、社外の企業やパートナーと取り組む共創だけでなく、社内で部署や立場の垣根を越えて進めていく共創も含まれています。

日本企業では、ここ数十年「オープンイノベーション」という言葉が広く使われてきましたが、そのオープンイノベーションを起こすにはどうしたらいいか、起こらない課題に対してどうしていくか、アイディアが出せない、技術はあるけれど事業化できない自社や商品の価値をどう外につたえていいのかわからない、といった悩みを多くの企業が抱えています。こうした課題を一つひとつ見ていくと、私がソニーで経験してきたことと重なる部分が非常に多いと感じます。それらの多くは、現場の工夫や努力だけでは乗り越えられず、トップの意思決定や関与が不可欠なテーマかと思います

ソニーは、現場からのボトムアップだけではなく、ボトムアップを良しとするカルチャーをトップダウンで作っているという構造になっています。ということは、トップがキーポイントになります。現場の人たちがトップにきちんと伝えることも大切なんですよというお話をしますね。

 

――やはりソニーの10年先、15年先を見据えて新規事業に取り組んできた企業風土について、多くの人たちは知りたいんでしょうね。

 

河野道成  そうなんです。どうやって10年先、15年先のアイデアを生み出していたのですか、そうした人材育成をどのようにしていたのですかというところは、やはり皆さん気になるところでしょう。ただ、守秘義務もあって言えないことが多いのですが、そのエッセンス、プレイステーションやブラビアなど、多くの人たちが知っている製品に絡めて講演をしてほしいという要望も多いですね。

 

――河野さんは講演やセミナーだけに限らず、コンサルティングや支援アドバイスのお仕事も多いですよね。

 

河野道成  例えば、自動車会社からの依頼では、「この技術を使った体験価値を作ってください」ということから「次世代の車がどうなったらいいのか」というコンセプト作り、プロジェクト始動の際のコンサルティングから、仕事内容は様々です。ノウハウもいるし、いろんな分野を説得しないとプロジェクトが始動できない。技術、デザイン、マーケティング、世界トレンド、プラットフォーム、ビジネスなど、複数の専門領域を横断しながら、人、組織をどう動かすかまで含めて設計できること、それができるのが私の強みですね。そうした具体的な話について、セミナーや研修をしてくださいという話から、UXデザインを創成期からずっとやってきているので、ソニーで培った体験価値デザイン(UXデザイン)の話を若い社員向けに伝えてほしいという話まで、いろいろな依頼を受けています。

 

――今後の活動予定をお聞かせください。

 

河野道成  ソニー時代は、空間や建築を扱う仕事はあまり多くありませんでしたが、最近では、建築を設計するというよりも、その空間でどんな体験が生まれるかを設計する立場で、空間や建築に関わる仕事をするようになっています。渋谷区である建築の仕事をお引き受けした際、ディベロッパーと土地のオーナーの方が話すと、どうしても議論が建築ありきになってしまう場面が多くありました。ただ、建物はつくれば終わりではありません。そこで暮らす人たちが安心して、快適に、心地よく過ごせてこそ、その空間は意味を持ちます。環境や社会の視点も踏まえながら、人間工学的に人の動きや思考、感情までをトータルに捉えて空間を考えられる人は、実はそれほど多くありません。だからこそ、自分の強みを生かし、そうした空間体験の仕事にも今後さらに取り組んでいきたいと考えています。
私はソニーの研究職時代から人間の感情の変化を、心拍や発汗や脳波の数値を測って実験していましたが、人間って喜怒哀楽がわかるようで実際にわからない部分が大きい。人間自身がわかっていないことも多くて、「自分の今の感情をはっきり伝えてください」と言っても、言葉にした瞬間に自分でもその言葉が合っていたのか、その言葉の捉え方も人によって違ってきてしまいます。人間の感情や生態はまだまだ解明されていなくて、わからないことだらけだから、人間って面白い。自分の研究テーマとしても、今他社さんの研究を支援させていただいていますが、改めて自分でイチから研究してみたいとも思っています。

 

 

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