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小島慶子 講演会講師インタビュー

1972 年、オーストラリア生まれ。1995 年にアナウンサーとしてTBSに入社。2010 年に退社した後は、2児を育てながらも、タレント、エッセイストとしてさまざまなメディアで活躍。歯に衣着せない発言や、さばさばした姉御肌が魅力の小島さん。しかし現在に至るまで、多くの“しんどい”時間を経験してきた。
歪んだ愛情を注ぐ母との葛藤、高校時代から始まった摂食障害、第2児出産後の不安障害…。周囲が求める“女子アナ”としてもうまく振る舞えず、どこにも居場所がないと追いつめられたこともある。
そんな波乱を乗り越えてきたからこそ、生き生きとして優しい見識を持つことができるのだろう。そんな小島さんに、男女の働き方や育児などのお話を伺った。

(text:三宅扶樹、photo:吉田将史)

古い価値観から自由になる

──オーストラリアへご家族で移られたのは昨年ですね?

 

小島慶子小島慶子:はい、2014 年 2 月からパース市に住んでいます。日本で 3 週間から 4 週間ほど働いて、オーストラリアに戻って 3 週間から 4 週間 過ごす、というサイクルの生活をしています。

移住したきっかけは、夫が会社を辞めたこと。20 年 以上も会社勤めをしてきて、充電したいと言って辞めたのに、 また仕事に戻るのでは意味がないでしょう?
せっかく辞めたんだし、どうせなら面白いことをしよう。そう話し合っているなかで移住を決めたんです。子どもたちに多様な世界を見て育ってほしい、と いう思いもありました。

 

──夫が会社を辞めるなんで、なかなか受け入れられない人もいると思いますが…

 

小島慶子:やはり最初はすごく動揺しました(笑)。それまで気づいていなかったのですが、 “男の人は稼ぐもの”という保守的な男性観が、私の内面にも深く根を張っていたみたい です。今まで夫を尊敬していたのは、「仕事をしてお金を稼いでいるから?」「その土台が なくなっても、なお夫を尊敬し続けることができるのか?」そんなふうに自身に問いかけ る日々でした。

 きっと私は、“働いてお金を稼ぐ夫と同じように働いてお金を稼ぐ私”に誇りを感じて いたんでしょう。だから、夫が働かず、お金も稼がなくなったとき、私自身をどう誇れば よいのかもわからなくなってしまって。とても古くさく、狭量な価値観にとらわれていた んだと思います。けれども、古い価値観にとらわれていることに気づけたからこそ、一方でそれを手放すことのできた夫の偉大さが見えてきました。夫のほうがずっと勇気があり、ずっと強い。 そして、フェアなものの見方ができる。男性だって、仕事から離れたいときはあるし、離 れなきゃいけないときはありますからね。

 

 

日本のワークライフバランス

──“フェアなものの見方”とても小島さんらしい表現です。

 

小島慶子小島慶子:女性が男性に縛られている、という言葉はよく耳にしますが、男性だって女性に縛られているんだと思います。結婚や出産を機に、仕事を辞める女性も少なくありません。でもそのまま働き続けることのできる環境もずいぶん整ってきました。
辞める、辞めない、いずれを選んだって、少なくとも後ろ指を指されるようなことはないわけです。
男性はどうでしょう。大学を出て、仕事を持って、仕事を持 ったら家族を養う、そして仕事は定年まで続く。どこかで道を外れたら、とたんに落伍者扱いですよ。「男が無職なんてありえないよね」って。

 

──大変なプレッシャーですね。

 

小島慶子:そうですね、息苦さを感じている男性は少なくないと思います。いわゆる“男性社 会”と呼ばれる旧来の枠組は、女性だけでなく、男性をも抑圧している気がします。働き 方だってそう、家庭のあり方だってそう。男女どちらかの問題ではなく、両方が当事者意 識を持ち、今の“当たり前”ってしんどくない?お互いもっと楽になろうよ?と声に出し て言うべき段階に来ているんだと感じます
リスクや負担があるのは男女一緒。性別で役割を決めるのではなくて、状況に合わせて 働けるほうが働き、育てるほうが育てる、ということをふたりで必死に回していかなけれ ばならない時代なんでしょうね。ですから、ひとつの価値観を正しいと決めつけるのでは なくて、多様性が認められる社会に変わっていくべきなんだと思います。

 

──オーストラリアでは、労働に対する考え方はずいぶん違いますか?

 

小島慶子:ええ、オーストラリアの働き方はずっと多様です。新卒で企業に入るのが当たり前、 というようなモデルは存在していません。会社を辞めても、失業保険をもらいながら職業 訓練を受けて、ぜんぜん違う分野で起業したり、再就職したり。そうやって自分で決定し ていけるので、社会という共同体において各自の当事者意識も高いように思います。
一例なのですが、子どもが修学旅行に行くとなったとき、事前に注意事項のしおりを渡 されたんですね。注意事項を守らない場合は帰ってもらいます、その交通費は保護者の負担になります、と書いてある。そしてそこに、私だけでなく、子どもまでがサインをするんです。社会には自分で判断して、責任を引き受ける領分がある、ということを子どものころから教えているんでしょう。それはそれで大変だけれど、何でも他人に決められてしまうよりは、それぞれのやり方で生きやすい。多様性社会をつくるために必要な下地だと思います。

 

──日本では今、旧来型社会の良いところも生かしつつ、ダイバーシティの実現に向けて模索 しているところですね。

 

小島慶子:そうですね。オーストラリアがよくて日本がよくないということではないです。女性とか男性とか子どもとか大人とか関係なく、自分にとってベストなバランスを考えて選 択できるような社会にしましょう、といういわゆるワークライフバランスの答えをそれぞれに持てるような社会にしていくときだと思うんです。

 

 

思い切って巻き込まれてみる

──社会にせよ、個人にせよ、どうすれば価値観を変えていくことができると思いますか?

 

小島慶子小島慶子:とても難しいですけれど…
変化を恐れないことが大切なの かな。誰にでも起こりえると思うんです。パートナーが仕事を辞めたり、自分が病気になったり、子どもが不登 校になったり。何か予想していなかった困った変化が起きて、今までのやり方が通用しなくなったとしますよね。
すると、とても自分が無力になったように感じます。けれど、別の角度で眺めると、今までのやり方を変えるチャンスと捉えることもできます。それまで何の価値も置いていなかったものが、とても価値あるものに変わったり、逆に執着していたものが不要になったり。
そうやって、人生の節目で価値観をガラッと入れ換えることで、自分を縛っているものの見方から自由になれるんだと思います。望んだわけでもなく巻き込まれてしまうことって、怖いですけど、そうでなければ変化できないこともありますから。

 

──とくに育児からは大きな影響を受けそうですね。

 

小島慶子:はい。子どもは最も身近な存在。巻き込まれる、という点では、一番よく巻き込まれています(笑)。
私が子どもから教わっているのは、“人生は思いどおりにならない”ということ。歯を 磨きなさいとか、シャワーを浴びなさいとか、言い聞かせたってなかなかそのとおりにしてくれるものではないですから。どんなに手を尽くしても、人って思いどおりにならないなあ、と実感する毎日です。
けれど、思いどおりにならないということを、恐れる必要なんてないんです。思いどおりにならない他人ともいっしょに生きていくことはできるし、思いどおりの人生じゃなくたって、面白い出来事はたくさん起こります。どうにもならないことを受け入れる。そうすると人生が楽になるんだということを、育児を通して発見できました。

 

──他人とのコミュニケーションのコツにもなりそうですね。

 

小島慶子:誰かと相対するとき、大切なのは「私はこの人のことを知らない」と認識することです。相手が家族であっても、そうでなくても、やはり人のことは完全にはわかりませんからね。
わからない、知らないということを受け入れた上で、相手を尊重しつつ「あなたはだあれ」と問いかける。するとあるとき、「それは私も思ったことがある」とか、「実はそんなことで悩んでいたのか」という発見に結びつくことがあります。問いかけ続ける姿勢を 持たないと、人と人は繋がれないんじゃないでしょうか。

 

 

自由に楽に生きられる社会をいっしょに考えていきましょう

小島慶子──それでは最後に、あらためて、小島さんが講演会でお伝えしたいことを聞かせてください。

 

小島慶子:働き方でも、子育てでも、何か絶対的な正解を手に入れて楽になりたい、という気持ちはすごくわかります。
けれど、人生は答えのないことの連続。人それぞれの苦しみや喜びがあって、本来は比べられるものでないはずなのに、比べたり、比べられたり。そのような“しんどさ”は、年齢や性別、立場は違っても、誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。
日本社会におけるこれまでの“当たり前”は、もう時代に適していないんです。じゃあ、多様性を尊重し、誰であれ自由に楽に生きられる社会って、どうすればつくることができるんだろう? それぞれに大事にしているものが違って、それぞれに切羽詰まって生きている私たちが、どうしたら同じ社会でしあわせに暮らせるのだろう?ということを、講演を通して私といっしょに考えていただければと思っています。

 

小島慶子

 

 

 

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