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入江聖奈 講演会講師インタビュー

東京オリンピック女子ボクシングで、日本人として初の金メダルを獲得した入江聖奈さん。小学校2年生の頃、漫画『がんばれ元気』をきっかけにボクシングの世界に惹かれ、鳥取県のジムに通い始めました。地道な努力を重ね、高校・大学時代には数々の大会で優秀な成績を収め、22歳で挑んだ東京五輪で見事金メダルを獲得。その輝かしい瞬間を最後に現役を引退し、新たなステージとして東京農工大学大学院で“カエルの研究”という異色の道を歩み始めました。ボクシングで培った「正しく努力する力」や「粘り強く挑戦を続ける姿勢」は、研究や講演活動にも息づいています。現在は、講演会講師としても全国各地で登壇し、企業研修や学校講演などで「目標達成のための努力論」や「自分らしく生きることの大切さ」を語り、聴講者に深い感動と気づきを与えています。今回は、講演依頼のSpeakersで大好評の入江聖奈さんに、ボクシングと研究、そして講演に込める思いを伺いました。

(text:高田晶子、photo:遠藤貴也)

日本ボクシング界で未だ3人しかいない  オリンピック金メダリスト

――入江さんは2000年生まれの25歳ですが、最初にボクシングに興味を持ったきっかけは何でしたか?

 

入江聖奈  小学校2年生の時に、母が持っていた『がんばれ元気』(小山ゆう作/小学館)という漫画を読んだことがきっかけです。母はボクシングが好きというわけではなく、作者の小山ゆうさんの作品が好きで、たまたま自宅にあったので読んでみたんですね。全体的なストーリーにも惹かれたのですが、まだ小学生の主人公が自分なりに模索して、1人でボクシングの練習をしている場面がシンプルにかっこよかったのです。なので、私も最初は主人公を真似して、1人でこっそりボクシングの練習をしていました。

 

――その後、シュガーナックルボクシングジムに入られたそうですが、自分から「やりたい」と言ったのですか?

 

入江聖奈  いえ、幼いながらにもやっぱり女の子がボクシングをするのはどうなのかと引っかかっていたので、半年ぐらい言い出せませんでした。でも、半年経ってもボクシングをやってみたいという気持ちが消えなくて、そこで初めて親に相談しました。そしたら、父がノリノリになって、すぐに調べて、翌日にはもうボクシングジムに行くことに(笑)。鳥取県米子市には当時ボクシングジムは1つしかなくて、シュガーナックルボクシングジムに入会することになりました。

 

――実際に念願のボクシングを始められて、いかがでした?

 

入江聖奈  最初の1年は、週に1回、いろいろなパンチの種類やフォームを固める練習ばかり。楽しくないと思っていた割には、1年は頑張れました。小学校3年生に上がった時に、やっとスパーリングという実戦練習をさせてもらえた。そこで「ボクシングって楽しい」「私はこれがしたかったんだ」と火が付いた感じです。

 

――中学生の時は陸上部だったとか?

 

入江聖奈  はい、800m走を専門にしていて、鳥取県で1位にはなりました。陸上部の練習が厳しすぎて、中学1~2年生の時は、ボクシングジムに週1回くらいしか通えませんでしたが、部活を引退してからは週5~6で通って、本格的に打ち込み始めました。高校にもボクシング部はなかったので、ボクシングジムに毎日通っていましたね。

 

――いつ頃からオリンピックを意識し始めたのでしょうか。

 

入江聖奈  やっぱり高校生くらいからオリンピックが少しずつ現実味を帯びてきました。私が中学生のころに2020年の東京五輪開催が決まったので、自分の目標がはっきりしてきた気がします。

 

――オリンピック出場までの道のり、様々な挑戦や困難があったかと思います。特に印象に残っている試合や出来事があれば教えてください。

 

入江聖奈  転機になったのは、高校1年生の時にインターハイで負けたことですね。それが公式戦初めての負けた試合でした。自分の不甲斐なさを感じたり、ダメだなときちんと思えた試合で、そこからもう一段階、ギアが入った気がします。

 

――日本体育大学に進学されて、世界選手権でベスト8にもなられました。東京五輪の予選突破の経験から得たことは?

 

入江聖奈  世界選手権ベスト8は、あともう1試合勝てばメダルに手が届いたので、すごく悔しかったんですね。この負け試合が、自分のボクシングを貫かずに負けてしまったので、弱気になったらダメだなと再確認できました。ここで負けたからこそ五輪予選を突破できたと思います。日本人女子初のオリンピック出場内定だったので、本当に嬉しかったですね。

 

――コロナ禍に入って、1年遅れの2021年に東京五輪が開催されましたが、決勝戦までの試合を振り返って、特に印象に残ったことありますか。

 

入江聖奈  メダルが決まってからは、Xに投稿するたびに1万以上「いいね」がついて、オリンピックってすごいなと思っていました(笑)。その分、やっぱりオリンピックは緊張やプレッシャーも、他の国際試合とは違うなとも感じていました。いつも試合前は減量していて、計量さえ終われば食べられるのですが、計量が終わっても食べられないぐらい緊張したのは東京五輪の時が初めてでした。いつもラーメンやケーキをたべるのですが、咀嚼すら難しくて……。もうオリンピックは出たくないな、私にはもう耐えられないなと思いました。

 

――それだって、金メダルを獲られるのだから、すごいですよね。

 

入江聖奈  本当によかったです。初戦の時に「これがオリンピックのリングなんだな」と思いながら戦いに行ったことは覚えているのですが、実は緊張しすぎたからか、試合内容もあんまり覚えていないんです。

 

入江聖奈 ボクシング

 

22歳でボクシング引退  大学院でカエルの研究に没頭中

――ボクシングは2022年11月に引退されました。

 

入江聖奈  14年間のボクシング生活で、うまくいかない、成績が上がらない、苦しい、つらいというスランプに陥ったことはあまりなく、ボクシングを嫌いになることもなく、順調なボクシング人生を歩んできました。実はオリンピック前からなんとなく、東京五輪が終わったらボクシングをやめようかなとは思ってはいました。オリンピックで金メダルを取れたので、悔いなくやりきったと思い、引退。2連覇を目指すことも考えたのですが、オリンピックの緊張感には耐えられないなと思ったのです。

 

――日体大在学中に金メダルを獲り、大学卒業直前にボクシングを引退されて、そこからボクシング以外の道に進もうと考えた時に、東京農工大学の大学院を選択されたのはなぜでしょうか?

 

入江聖奈  私は幼少期からゲームが好きだったので、オリンピックが終わってから、ゲーム会社にインターンに行ったのですが、定年退職までゲームの仕事を続けられるかと考えた時に、あまり気乗りがしなかったのです。自分はなにだったら続けられるだろうと、改めて考えてみたら、カエルの研究ならすごく熱中できそうだなと思ったのです。

 

――カエルがお好きなんですよね。カエルとの出合いは……?

 

入江聖奈  簡単に言うと「高校生の時、下校中にカエルとぶつかって、一目惚れをした」のです。自転車に乗っていて、アジサイの葉にぶつかったら、葉や花じゃない感触の物が頬に乗っていて、それがシュレーゲルアオガエルというそこそこ大きいカエルでした。もちろんビックリしたのですが、それ以上に「なにこの子、かわいいー♡」と思っちゃって(笑)。それ以来、カエルが好きで、愛でる対象だったのですが、オリンピックが終わってからは研究してみたいなという気持ちに変わって、今に至ります。

 

――ボクシングから研究の道に入られて、キャリアがガラッと転換されました。入江さんは「逃げ道を作らないために区切りをつけた」そうですが、その決断の背景にはどのような思いがあったのでしょうか。

 

入江聖奈  いろいろな思いがあるのですが、ボクシングの日本人金メダリストは男女合わせてまだ3人しかいません。でも、この先の人生もボクシングにどっぷり関わって生きていこうとは思っていませんでしたし、第2の人生を充実させるなら、大学卒業と同時にボクシングやめるのがベストタイミングだろうと思って、全く違う道に進みました。

 

――今は東京農工大学の大学院でカエルの研究をなさっているとのことですが、詳しい研究テーマや日々の活動についてお話しいただけますか。

 

入江聖奈  すごく簡単に説明すると、私は、都会のヒキガエルに着目していて、「なぜヒキガエルがコンクリートジャングルと言われる都会の中で生きていけるのか」を解明しようとしています。他のカエルが都会にはあまり生息していないことに対して、茶色のイボイボした大きなカエルであるヒキガエルは、都会の中で比較的簡単に観察できます。なぜヒキガエルだけ都会で生きていけるのだろうというのが最初の疑問で、体のサイズや寿命などデータを取って、研究しています。

 

――日々、どのようなスケジュールですか?

 

入江聖奈  シーズンによって違うのですが、デスクワークが中心です。朝6時半頃に研究室に行って、夕方18時くらいまでに帰る感じですね。あと、学会があるのでその準備とか、毎日何かしらの作業に追われています。ボクシングをやっていた時に比べたら、格段に頭を使っています。やっと論理的に物事を考えられるようになってきたし、ボクシングをやめてそのまま社会に出なくてよかったなと思っています。
もちろんカエルを探しに外にも出ます。神田川沿いや井之頭公園など都会でも探すのですが、その比較対象として森林や緑が多い地域に住んでいるカエルも探さないといけないので、東京周辺を飛び回っています。

 

――カエルや自然と向き合う研究生活、ボクシングの世界の共通点、逆に相違点があれば教えてください。

 

入江聖奈  共通点は、どちらも「コツコツ真面目に努力すること」ですね。私はコツコツ人間なので、そこに対して、しんどいとは全く思わない。だから、研究も向いていると思っています。それじゃあ違いは何だろうと考えてみましたが、実はあまり違いはない気がします。ボクシングは「できないことがあったら練習する」、研究は「わからないところがあったら勉強する」。アプローチが違うだけで、やることはどちらも根本的には変わらないと思います。

講演活動はボクシングとカエル研究の二刀流  目標達成するための努力とは――?

――入江さんが講演会でお話しされる内容について簡単に教えてください。

 

入江聖奈  今まで講演会は何度かやらせていただきました。努力というのは、した分だけ結果が出て報われるものではありません。だからこそ、自分が何を目指しているのか、何をすべきなのかを見極めることが大切です。私は、目指すべき到達ポイントに向かって、本当に正しく努力できているのかを考えながらボクシングをやってきたので、そうしたことをお話しすることが多いです。どんなことでもただがむしゃらに努力するだけでは、結果を出すことは難しいと思います。

 

――どんなところからの講演依頼が多いでしょうか。

 

入江聖奈  企業や学校、特に高校からの依頼が多いですね。先ほどもお伝えした通り、私のボクシングの経験や現在やっているカエルの研究をもとに、目標達成するにはというテーマでお話しています。

 

――入江さんが講演会で伝えていきたいことを教えてください。

 

入江聖奈  中学生や高校生など、自分より年下の方を対象にする時は、自分の好きなことに正直に向き合い続けてほしいということが伝わったら嬉しいです。あと、企業さん含めて全体的には、人は誰しも苦手な分野はあるかと思いますが、それも自分の特性として受け入れて、むしろそれを生かすようにしていこうということを伝えていけたらいいのかなと思っています。

 

――最後に、今後のキャリアや活動について、どのようなことに取り組んでいきたいとお考えでしょうか。

 

入江聖奈  現在、私は博士課程の1年生なので、大学院に入学して3年目になります。現在取り組んでいるカエルの研究で博士号を取得することを目指して、あと2年3年突っ走る感じですね。これからも、ずっとカエルと向き合って生きていくと決めているので、しっかり論文も出していきたいなと思っています。

 

 

 

 

 

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