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広川ひかる 講演会講師インタビュー

'22年5月11日、誰もが驚いた上島竜兵さん(享年61歳)の突然の訃報――。妻の広川ひかるさんは、その悲しみや苦しみなどの葛藤に加えて、人とのつながりを大切にする繊細で小心な上島さんとの思い出を昨年8月『竜ちゃんのばかやろう』(KADOKAWA)に綴り、話題となった。上島さんが亡くなってから数か月後に発覚した乳がん、そして闘病。広川さんのインスタグラムには数多くのDMが届き、「自分でも役に立てることがある。自分の経験をもっと多くの人に伝えたい」と講演活動を始めることに。「講演依頼のSpeakers.jp」に講師として新しく登録していただいた広川ひかるさんの“これから”とは?

(text:高田晶子、photo:遠藤貴也)

人や仕事に誠実  多くの人たちに愛された竜ちゃん

――広川さんのこれまでの経歴を教えてください

 

 

広川ひかる もともとアイドルになりたかったので、高校生くらいから芸能界を目指していました。そこで、’88年に素人が出演する『発表!日本ものまね大賞』(フジテレビ系)に出演して、優勝したのをきっかけに、芸能界デビューできることになったんです。デビューがものまね番組だったので、その後もお笑い路線のバラエティ番組への出演が多くなっていきました。

 

 

――当時憧れていたアイドルは?

 

 

広川ひかる 小泉今日子さん、キョンキョンが大好きでした。ただ、18歳で芸能界にいざ入ってみると、「私はアイドルにはなれないんだ」「全然違うじゃん」ということにすぐに気が付くわけです。そこで、私は早々と覚悟を決めてお笑いに徹することにしました。ものまね番組にもたくさん出させてもらいましたし、デビュー1年目から情報番組のレポーターやラジオのお仕事などもいただいていました。そんな仕事のなかで、竜ちゃん(夫の故・上島竜兵さん)と出会うのです。

 

 

――広川さんと上島さんは’94年にご結婚されていますが、簡単な馴れ初めも教えていただけますか

 

 

広川ひかる 実は、私が優勝してデビューのきっかけにもなったものまね番組を、竜ちゃんはスタジオのサブ(副調整室)で見ていたそうです。その番組はダチョウ倶楽部さんも出演していた『ものまね王座決定戦』(フジテレビ系)の素人版で、制作スタッフがみんな一緒だったんです。そんな関係もあって、竜ちゃんも番組を見学していたみたいなんです。
私はそのとき高校3年生で、高校卒業前の3年生を送る会に、偶然にもダチョウ倶楽部さんがゲストで来てくれて、竜ちゃんと直接話す機会もありました。その後もご縁が続いて仕事で一緒になることも多く、仲良くなって、プロレス観戦なども一緒に行ったりしていました。

 

 

――結婚への流れは?

 

 

広川ひかる 初対面から付き合うまでに2年ほどあったと思います。20歳頃から付き合い始めて、3年くらい経ってから結婚ということになりました。とはいえ、23歳のときには結婚に向けた準備をいろいろしていて、24歳になったときに結婚しました。仕事も高校3年生からしていましたが、自分としては、結婚は年齢的に早かったし、まだ幼かったなと思います。

 

 

――上島さんとの結婚生活で、影響を受けたことは何でしょうか

 

 

広川ひかる 30年も一緒にいたわけですから、お互い同じような考え方や価値観になっていくのですが、竜ちゃんは仕事や人に向き合うことをすごく丁寧にする人なんです。私自身も人間関係を誠実にしてきたつもりだったのですが、竜ちゃんの仕事への姿勢、仕事仲間・芸人仲間・友達に対しての向き合い方を見ていて、「やっぱりそれが正しいんだ」と思った瞬間が何度もありました。だから、一緒にいると、私自身もすごく勉強になりましたし、尊敬していましたし、本当に素晴らしい人でした。妻である私に対しては自分勝手でわがまま放題で、大変な人でしたけど(笑)。

 

 

――芸人さんの妻というのも、大変そうなイメージがあります。竜兵会のメンバーや芸人仲間が家に来ることなどもあったのでしょうか?

 

 

広川ひかる 基本的にはなかったですね。家に人が来ることは嫌がっていましたし、公私は分けたいタイプだったようです。めったにはなかったのですが、後輩たちと飲んでいて、ノリでちょっと家に寄っていくようなことは何回かありました。こっちはお風呂も入って、すっぴん、パジャマ姿で、寝ようと思っていたのに「何かつまむものを出して」と言って、夜中なのに大騒ぎするんですよ。「ご近所迷惑になるのは勘弁して」と思った記憶があります(笑)。

 

本を出版して気がついた 「自分でも役に立てることがある」

――昨年8月に書きおろしエッセイ『竜ちゃんのばかやろう』(KADOKAWA)を出版されました。’22年5月10日に上島さんが急逝、その悲しみや悔しさ、無力感などの葛藤を赤裸々に綴られています。本を書こうと思ったきっかけは?

 

 

広川ひかる 上島竜兵という芸人がいたことを皆さんに忘れてほしくない一心で書きました。竜ちゃんは生前、著名な方が亡くなったときに「誰かの心のなかに思い出としているのなら、それは生きているということ。人は忘れられたときに本当の死が待っている」とよく言っていました。長年の付き合いで竜ちゃんの性格はわかっているつもりなので、きっと竜ちゃん自身も忘れられたくないだろうなと思ったのです。とてもかわいらしくて、キュートで、面白くて、素晴らしい芸人だと思うので、上島竜兵を皆さんにずっと覚えていてほしいと思って、本にまとめました。

 

 

――著者名は「上島光」なんですね

 

 

広川ひかる 本に限って上島姓を名乗ったのも、上島といえば皆さんが思い浮かべやすいのが上島竜兵か上島珈琲店くらいかなと思ったから。私はこの本で竜ちゃんのこともたくさん書いていますし、上島と名乗ることで瞬間的にでも竜ちゃんの顔を皆さんが思い出してくれるんじゃないかなと……。ただ、結婚前からの芸能活動は「広川ひかる」でやっていましたし、今後の活動も広川ひかる名義でやっていこうとは思っています。

 

 

――上島さんが亡くなられたことに対して、多くの人がショックを受けたと思います

 

 

広川ひかる そうですよね……。亡くなる直前、竜ちゃんが少し不安定にはなっていたことに気がついていたのですが、助けることができなかった。私もずっとどうすればよかったのか、考え続けています。

 

――本を出版してからの反響は?

 

 

広川ひかる インスタグラムにDMをたくさんいただきました。「読みました」「泣きました」「感動しました」などという一般の方からの感想もあれば、「自分も光さんと同じ遺族側になってしまった」「今メンタルをやられている」などという重いお話もあります。私の立場、竜ちゃんの立場、そのご家族の方々からのメッセージは内容がかなりヘビーなものが多く、「もしかしたらそういう人たちに対して、私でお役にたてることがあるのかな」と思い始めました。
私も本を書いてから気が付いたのですが、自分が不安定なときに出来事や感情を一度文字に起こして文章に仕上げていくという行為自体が、気持ちの整理をするきっかけや一歩踏み出すいい機会になったんです。きっと、私にDMで長文をくださる方々も、自分の気持ちを書くことで整理しているということが、ものすごく伝わってきます。私も完全に立ち直って、毎日明るく過ごしているわけではないのですが、私の立場から皆さんのお役に立てるようなことを言えたらいいなという思いに至りました。

 

 

竜ちゃんのいない人生はつまらない  でも、前向きに生きていく

――これから講演活動をしていくということですが、話す内容などは本と同じ流れでしょうか?

 

 

広川ひかる 本を出版したときにはトークイベントというよりは出版記念講演会という形で、きっちりした講演会スタイルをやりました。そのときは竜ちゃんのファンの方もいたので、写真のスライドなどを使いながら竜ちゃんとの思い出を振り返りました。というのも、本に関連した講演会だったから、竜ちゃんのことを主軸にお話しさせていただいたのです。ですから、これから私がしていきたい講演会はまた別の内容になると思います。

 

 

――その内容とは?

 

 

広川ひかる インスタグラムのDMに対して、ひとりひとりにきちんとお返事を書きたいのですが、メッセージが多すぎてまったく追いつかないのが現状です。そのメッセージのなかでも切羽詰まっていそうな何人かにはお返事を書かせていただいたこともあったのですが、続けることがなかなか難しい……。ただ、「こんな私でも誰かの役に立てることがあるんだ」ということ自体に私も救われましたし、個別にメッセージを返せない分、遺族側の経験や思ったことなどをなるべく多くの人にお伝えできたらいいなと思い、講演活動を始めることにしたのです。
あと、竜ちゃんがいなくなってから数か月後に私は私で乳がんが発覚して、闘病生活を送っていました。そうした病気のことでもお話し出来ることがあるかと思います。でも、堅苦しくて真面目な講演会というわけではなく、そのなかでも楽しく前向きになれるような講演会にしていくつもりです。私はもともとお笑い芸人なので、人前に出るとどうしても笑いが欲しくなってしまう性分なんです(笑)。

 

 

――広川さんの講演会のメインテーマは?

 

 

広川ひかる 今の私が明るく元気にやっているように見えるとするならば、それは皆さんの希望にもなるかと思います。私は大切な人を亡くしましたが、引きこもりや介護など家族間の問題で悩んでいる人も多いですよね。自分が病気になったり、家族が病気になったり、大変な事態に陥った方は「自分がいちばん辛い」と思い込んでしまいがちです。ですから、講演会のメインテーマは、人生はいろいろな辛いことが降りかかるけれど、「前向きになるためにはどうしていくのがいいか」ということです。
ちなみに、私がなぜ前向きになれたかといいますと、親族や友人たちが頻繁に気遣ってくれるんです。当然、私も不意に落ち込んでしょんぼりしてしまうこともあるのですが、周りの人たちが遊びの企画を立ててくれたり、外に連れ出してくれたり、誘ってくれたりするんです。そもそも私はあまり家から出ないインドア派ですが、LINEや電話をくれる人や約束が無くても訪ねて来てくれる友人もいる。竜ちゃんのお墓参りに来てくれた後輩芸人たちも同様、私が落ち込まないようにしてくれるんです。
周りの人たちが気を遣って下さることはすごくありがたいのですが、私が元気にならないと、その人たちにずっと気を遣わせてしまうことにになるんです。一歩も二歩も踏み出して、前を向いて生きていかなきゃいけないと気づきました。講演会を聞きに来てくれた人の中に、辛く苦しい思いをしている人や落ち込んでいる人がいたら、「必ず周りに誰か助けてくれる人がいるんだ」ということもぜひお伝えしたいですね。

 

 

――広川さんの今後の人生の展望は?

 

 

広川ひかる 竜ちゃんが亡くなったときにも思ったのですが、「竜ちゃんが死んだせいでつまんない人生だった」とは思いたくないんですね。人を恨んだり誰かのせいにしたりすることは嫌なので、長い目で見て、今後も楽しかったなと思える人生にしていきたいなと思います。私が寿命をまっとうした時に竜ちゃんに会えて、竜ちゃんが「楽しそうだったね」と言ってくれる人生なら万々歳ですね。

 

 

――講演会のほかにどんなことをしていきたいと思っていますか?

 

 

広川ひかる いちばんは「誰かの役に立ちたい」という気持ちを大切にしたいのですが、約30年間も主婦をしてきて、料理を作るのが好きなので料理系YouTubeもやりたいと思っています。他にもミシンを使って何かを作るのも好きですが、もっと好きなのはミシン自体を分解して元通りに直すこと(笑)。でも、いろいろなことをやりすぎるとまとまりがなくなっちゃうので(笑)、基本はお料理動画を中心にやっていきたいです。
竜ちゃんがいない人生って本当につまらないんですよ。でも、つまらないからと腐らず、楽しいことを探しながら生きていきたいですね。

 

 

――ありがとうございました。今後に期待しています!

 

 

 

 

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