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河合敦 講演会講師インタビュー

テレビ番組『世界一受けたい授業』などに登場し、歴史の意外なエピソードや真実をわかりやすく紹介して人気の河合敦氏。市民講座のような一般向けの講演会の他に、企業や業界の団体、銀行が主催する講演会での依頼も多くなっているとのこと。歴史からは何が学べて、何を学ばないといけないのかを伺った。

(text:大橋博之、photo:小野綾子)

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

──1年間でどれくらいの講演をされているのですか?

 

河合敦 2019年は約80本ありましたね。月に7本は講演をさせて頂いている計算です。ただ、波があって1月、2月が多く、4月、5月は少ないのが特徴です。北は北海道から南は九州まで。でも、まだ沖縄からは呼ばれたことはないですね。講演から講演と渡り歩くこともありますよ。連続で4本というのもありました。家には帰らず、ホテルを点々と。地方に行くときはなるべく前泊か後泊をして、お寺や神社、歴史遺産を訪ねるようにしています。勉強を兼ねてですが、それも楽しみになっています。

 

──執筆も多いですね

 

河合敦 2019年は著書を9冊出しました。2か月に1冊以上という、かなりハイペースで書いていました。元々は、歴史作家を専門としたくて、高校の教師を辞め、執筆活動を始めたのですが、今では講演会の講師の方がメインになりつつあります(笑)。

 

 

──講演はどのようなところから依頼があるのですか?

河合敦 数年前まで『世界一受けたい授業』などのテレビ番組に出演していることもあって、市民講座のような一般向けでの依頼が多かったのですが、ここ数年は企業や業界の団体、銀行が主催する講演会が多くなっています。それらは一般の顧客を対象としたものありますが、多くは取引先である企業の経営者や重役が参加する講演です。内容はバラエティーに富みますが、基本的には歴史から学ぶビジネスや経営、生き方、人材育成といったテーマが多いです。

 

 

──今、日本にある問題を歴史を通して考える、ということですね。

 

河合敦 そうです。日本はバブル崩壊から一転して先の見えない不透明な時代にあり、さまざまな課題を抱えています。しかし、同様なことは過去に何度も起きていて、その都度、乗り越えてきました。そのことをお話しすることで仕事や経営に役立てて頂ければと思っています。

 

 

──歴史からは何が学べて、何を学ばないといけないのでしょうか?

 

河合敦 歴史は絶対に同じことは起こっていません。でも、同じようなことは何回も起こっています。歴史を学ぶことで自分の将来や未来に役立ちます。新型コロナウイルスにしても、幕末にはコレラ騒動が起きていて、それの繰り返しとも言えます。そのときに政府や人びとがどのように対応したか、どんな状況に陥ったかなどを学ぶことで、解決方法が見えてくることもあります。

人間は過去からしか学ぶことはできません。特に歴史的に重要とされている出来事から学ぶのが良いと思います。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というオットー・フォン・ビスマルクの言葉がありますが、賢い人は歴史に学びます。そして、それができる人が、歴史の勝者になっていくのです。

 

 

──聴講者の反応はいかがですか?

河合敦 経営者は孤独なものです。「どのようにして会社を維持・発展させて行くか」と日々悩んでいます。その解決方法を経営の専門家などから学んだり、歴史から学ぼうとされています。特に歴史の場合は、良いことも悪いことも「こうしたから、こうなった」と結論が出ています。学ぶべきことは多くあります。

 

 

 

──先生のご専門とはまた違った内容なのではないですか?

 

河合敦 日本史全般を学んできたので、どの時代でも大丈夫ですよ。専門でいうと日露戦争です。そこから広げて明治時代全般。明治時代は三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎や実業家・渋沢栄一などが活躍したので、そのお話しをさせて頂くこともあります。でも、日露戦争、明治時代の話はあまり人気がありません(笑)。人気があるのは戦国時代と幕末ですね。やはり、激動の時代をどう日本人が生き抜いたか、ということに興味を持っている人は多いようです。

 

 

──他にはどのような講演があるのですか?

河合敦 面白かったものに、九条政基が書いた日記「旅引付(たびひきつけ)」について話してくれという依頼がありました。旅引付が文化庁の日本遺産に認定されたことを受けて企画されたものです。また、やはり日本遺産の佐世保鎮守府が130年の節目を迎えたことを記念した講演会というのもありました。この間は、甲府開府500年を記念した講演会を行いました。甲府といえば武田信玄が有名ですが、誰もが知る人物ばかりでは面白くないので、祖父が武田の家臣だった江戸幕府の実力者・柳沢吉保も取り上げました。それら特定なテーマだと知っている知識だけでは話しきれないので多くの文献を読みあさります。しかし、そこから新たな発見もありますし、調べたことは著書を執筆するのに役立ちます。特定のテーマがあることはさほど多くはありませんが、そのような依頼もあります。ただ、私としてはテーマが決まっているより自由な方が面白く話せるということはあります。

 

 

 

古い資料が発見され、歴史が大きく変わることもある

──歴史の面白さはどのようなところでしょうか?

 

河合敦 個人的には、今まであまりフィーチャーされていなかった人物を研究して、世に出して行くことに面白さを感じています。

 

 

──知られざる人は多いですか?

河合敦 本当にいっぱいいます。私は『誰も知らない江戸の奇才』(サンエイ新書)という江戸時代に活躍した知られざる偉人がたくさん登場する書籍を書いたのですが、例えば、牧庵鞭牛というお坊さんは、46歳のときに三陸・閉伊地方の飢饉の被害の大きさから、地方と内陸とを結ぶ道を築くことを決意して、ひとりで宮古から盛岡に至る道を切り開きました。道はいつの間にかあるもので「作る」というイメージはないと思うんですが、人々のため一発奮起して道を開拓した人もいるんです。

他にも大勢いますが、「この人から呼ばれた」と感じることもあります。私の講演会によく来てくれる歴史好きのおじさんがいるのですが、その人がしょっちゅう「鳥居三十郎について書いてよ」と言っていて、「はいはい」と受け流していたんですけど、名前が耳について、いざ調べてみると凄い人だったんです。活躍がすごく感動的なんです。でも、調べても資料がないんですね。それで出版社から「物語にしてみませんか」と言われて書いたのが、『窮鼠の一矢』(新泉社)。これは私の初めての小説になりましたが、鳥居三十郎に書かされたと感じています。

また、今まで誰も見たことのない資料を見つけたときも面白いと思える瞬間です。あと、昔の崩し文字はなかなか読めないのですが、ふとした瞬間に「この文字はこれだ」とわかるときがあるんですね。そんなときも楽しいものです。かなりマニアックですけどね(笑)。

 

 

──謎を解く楽しみですね。

 

河合敦 そうです。一般の方にとっての面白さは、歴史人物の人間模様とか、邪馬台国などの古代史が好きな方はロマンだったりしますね。日本全国にあるお城が好きな人。ゲームの「刀剣乱舞」が好きで刀に興味を持っている人もいます。人それぞれ、いろんな期待を抱きながら歴史を知ろうとしています。

 

 

──人気があるという幕末や戦国は調べ尽くされているのではないですか?

河合敦 いや、まだまだです。歴史の教科書で習ったことがどんどん変わっていますし、これからも変わっていきます。例えば、和同開珎が日本で最初の流通貨幣と言われていましたが、1999年にもっと古い富本銭が発見されて、教科書が一気に書き換えられました。それに最近の研究で、織田信長は最初から天下統一を考えていなかったということが定説になっています。鉄砲を数多く取り入れたのは武田信玄の方が早かったし、信長の政策がそれほど斬新でも先進性があったわけでもありません。むしろ後進的だったと言われています。今までの織田信長像とはギャップがあると思います。

あと、坂本龍馬は歴史の立役者として人気がありますが、実は何もしていなかったと唱える研究家もいます。ファンの多い新選組に至っては歴史的に評価されていません。教科書からも消えつつあります。

今でも新たな史料が旧家の蔵などから発見されることがあり、歴史が大きく変わることはあります。

 

 

──歴史の知識もアップデートしておかないといけないですね。

 

河合敦 そうだと思います。

 

 

──これから取り組もうとしていることはどのようなことなのでしょうか?

 

河合敦 引き続き、江戸時代から近現代にかけての、知られざる偉人や出来事を発掘し、世の中に面白く紹介して行くことに取り組みたいと考えています。歴史研究は論文にして学会で発表することも重要ですが、それでは広がりません。新説や新しい歴史的成果を一般の方にわかりやすく楽しく伝えたいですね。

 

 

 

 

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