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門倉貴史 講演会講師インタビュー

フジテレビ「ホンマでっか!?TV」でおなじみの門倉貴史氏。かつて第一生命経済研究所では、経済調査部主任エコノミストとして、アジアやBRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)についての論文を数多く発表するなど、気鋭のエコノミストとして知られる一方、日本で「地下経済」を研究する数少ない論者でもある。講演会でも人気の門倉先生に、自身の活動や新たなビジネスチャンス、格差の問題や投資のコツなどについて話を伺った。

(text:伊藤秋廣、photo:小山幸彦)

講演活動について

門倉貴史──主にどのような団体から講演依頼を受けていらっしゃいますか?

 

門倉貴史:現在、大変ありがたいことに、ありとあらゆるところからお声がけをいただいています。企業はもちろん、地方の新聞社、法人会や商工会議所、青年会が主催をされている講演会であったり、あとは投資をテーマに、金融機関や個人投資家が集まる勉強会でもお話をさせていただいています。近年、不動産投資がブームになっているので、ハウスメーカーさんが主催する講演会にお呼びいただくケースが増えています。

 

──どのようなテーマでお話をされるのでしょうか。

 

門倉貴史:企業やビジネスパーソンに対しては、やはりグローバル戦略に関心を寄せられる方が多いので、世界経済の動向、どのような国に進出したら中長期でビジネスチャンスが広がるのかといったことをお話しします。これから長い目で見たときに、国内のマーケットに魅力がなくなっていくことはわかっています。人口も減っていきますし、どう頑張ってもパイ自体が縮小していてはどうにもなりません。早い段階でグローバル展開を強化したいという気持ちが非常に強いのですが、現在はBRICsも軒並み減速し、新興国は大丈夫か?という疑心暗鬼が足かせになっています。確かに、短期的には厳しいかもしれませんが、新興国でビジネスを展開するには中長期スパンで考えるべきでしょう。中産階級が台頭していますし、インフラ投資も積極的に行われていますから、まだまだビジネスチャンスが広がっていく可能性が高いと捉えています。

 

個人の方に対しては、投資についてわかりやすく話を聞きたいというニーズに応えるために、「なぜ投資をしなくてはならないのか?」というところから説明します。人間の寿命は伸びていますから、日々の生活費は確保しなくてはなりませんが、年金に対する不安はぬぐえません。ある程度、自助努力が必要ですから、早い段階で資産運用を考えておかなければ厳しいという話を、具体例を示しながらシミュレーションしていきます。

 

門倉貴史──日本人は他の国に比べても、極端に投資マインドが低いですよね。

 

門倉貴史:ある統計によると、日本人は金融資産を持つ方の1割ほどしか投資を経験していないという状況にあります。アメリカやヨーロッパでは4割~5割が当たり前の世界ですから、これからの日本経済の状況を考えると、さすがにこれはまずいだろうと思いますね。インフレになると貨幣の価値は低くなっていきますから、これまでのようにタンス預金を持っていてもどんどん価値が目減りする一方です。ある程度リスクをとってでも、資産を増やしていく努力をする必要があるのです。

 

ところが、どうしても私たちより上の世代の方々となると1980年代後半のバブル崩壊がトラウマになっていて、「株式なんて手を出すものではない」という固定観念が染みついて、「投資」と聞いただけで「危ない」と条件反射的に思ってしまいます。若い人は若い人で、投資をしようと思っても原資がないから踏み込むことができない。NISAなど少額でも投資が可能な環境は整ってきましたが、それでもやはり日々の生活が厳しくて……という方が多いのが実情です。とにかく、皆さんに投資の必要性を伝えてから、様々なジャンルの投資手法があることを説明し、あとは最新の行動経済学の研究を元に、どういったタイプの人が投資に成功しやすいかという話を織り交ぜます。

 

──テレビや書籍をはじめ様々なメディアで情報を発信しておられますが、特に講演会の場で心がけていることはありますか?

 

門倉貴史:講演会では90分のお時間をいただくケースが多いのですが、人間の集中力はせいぜい15分程度しか続きません。そのため、15分間、真面目な話をしたら、今度は5分間、TV撮影のエピソードを織り交ぜてメリハリをつけて、飽きない講演を意識しています。TVでは、すっかり“ずっこけキャラ”が定着してしまいましたが、15分間に渡る真面目な時間に関しては、皆さんがびっくりするくらい流暢に、しっかりお話をさせていただきますので、そのギャップに驚かれるはずですよ(笑)。

 

──講演を実施するにあたって、どのような情報源を元として、どのように料理をしてお話をされるのでしょうか。

 

門倉貴史:テーマによって変わってくるのですが、一般的な国際経済や日本のマクロ経済については、かなり細かい経済指標がネット上でも発表されているので、そちらを分析し、すべての数字を説明しても意味がありませんから、特徴的な部分だけをクローズアップしてお話をしています。また、新興国の実体経済を捉えるためには、実際にこの目で見るということが重要だと思っています。最近はTVの収録が忙しくてなかなか時間が取れないのですが、以前は頻繁に現地に出向いていました。インドでは必ずと言っていいほどお腹を壊して大変でしたが(笑)。新興国の消費者が今、どんなことに関心があって、どのくらい購買意欲や購買力が上がっているかを知ることができるんです。

 

海外ばかりでなく、日本でも地方講演の際に同じような観点で細かく経済状況を視察します。私がメインで取り組んでいる「地下経済」は、オリジナルの学問なので既存のデータ自体が存在しません。ですから本当にフィールドワークが重要になってきます。六本木や銀座といった夜の街に“お仕事”として足を踏み入れて、クラブで働くホステスさんから情報を収集するのもそのためです。

 

 

「地下経済」を捉えるの重要性

門倉貴史──「地下経済」とは、いったい何を指すのですか?

 

門倉貴史:公式の統計には現れない、隠れた経済活動の総称です。付加価値を生み出しているのは間違いないので、本来的にはGDPに含まれなくてはいけないのですが、正確に捉えることができないという実情があります。

 

「水商売」と呼ばれるナイトビジネスは地下経済ではありませんが、中には脱税している店もあり、それは地下経済にカウントされるもの。その部分までも含めて捉え、はじめてリアルな経済状況が見えてきます。この地下経済はバカにならないもので、1980年代のアメリカは一般的には不況であったと捉えられていましたが、実は地下経済が拡大していった時期でもあったので、人々はそれほど不況感を覚えていなかったともいわれています。

 

──なぜ「地下経済」の研究をはじめたのですか?

 

門倉貴史:その話は幼少期にまで遡ります(笑)。私は中学生の頃から人と違った研究をすることを好んでいました。夏休みの自由研究のテーマが“ダニ”でしたから(笑)、そんな中学生は誰もいませんでした。人が目を向けていないところに関心を持っていたんですね。やがて、その関心は生物から人間行動へと移行していきます。そして人間の欲望に興味を持つようになって、経済を学ぶようになりました。大学を卒業してシンクタンクで研究員として仕事をするようになっても、どうしても人と違ったところに関心が向きますし、人と同じ研究をしていても仕方がないとさえ思うようになります。日本経済研究センターに派遣されていた時に、世界中から集まってくる経済論文に目を通していて、そこで地下経済という考え方に触れ、「これだ!」と思いました。地下経済は、まさに人間の欲望の塊ですからね。これまでの自分の関心ごとがすべてつながったように感じました。

 

現在の新興国の経済発展を支えているのも見得や欲望がベースとなる消費ですからね。日本経済が元気がないのも、若者だけでなく国民全体が草食化していることと無関係とは言い難いです。当時、というか今でも、日本において地下経済の研究をしている人はあまりいません。海外では、真面目な学問と捉えられていて、けっこうな数の研究者もいたのに……。そのため、研究を始めてみると、面白くてのめりこめるのだけれども、数々の困難も生じました。なにせ、前例のないことでしたから、調査もすべて自分の手で実施しなくてはなりませんでした。とにかく日本においては大変ユニークな研究だったため、マスコミからも注目を集めるようになったのです。

 

門倉貴史──「ホンマでっか!?TV」も、その流れで出演が決定したのですか?

 

門倉貴史:それまでは「WBS」や「報道ステーション」といった真面目な番組にVTR出演していました。「ホンマでっか!?TV」のスタッフは、新番組を立ち上げるにあたり、TVでの露出が少なく、それでありながらユニークな研究をしている人を集めたいと考えていたようですね。ちょうど私も地下経済に関する書籍を出版し、とてもユニークな研究だと注目を集めていました。それでオファーが入ったのですが、いつも通りスタジオでVTR収録でもするのだろうと気軽に向かったら、そこに明石家さんまさんがいて(笑)。あのように強烈なメンバーに囲まれることになったんです。

 

ところが、出演している先生方はみんな、自分だけはまともだと思っているフシがあって(笑)。まあ、そもそも研究者という人種は一般の方からすると、どうしても変わっていると捉えられがちですし、それもあながち間違ってはいません(笑)。レギュラーで出演するようになると一気に反響は大きくなりましたね。街で声をかけられるようになりましたし、どうしても“ずっこけキャラ”ですから、講演先でも主催者の方から「面白い話をしてください」とリクエストが入るようになりました。

 

──そのようなリクエストにもしっかりお応えされているのですね?

 

門倉貴史:そうなんですよ(笑)。そもそも表の経済と裏の経済を絡めて世の中を捉えることができるという点で、普通の経済学者と大きく違っていますからね。退屈な話にはなりません。例えば、同じ東京オリンピックの経済効果というテーマでも、私は外国人観光客がギロッポンで落としていくだろうお金も含めた経済効果について語ることができます。

 

また、「君の名は。」という映画がヒットして、ご存知の通り、舞台となった飛騨高山が聖地巡礼の恩恵を受けました。ところが、それだけでなく、実は勘違いによる経済効果も生まれていると。それは1950年代にヒットした同名の映画だと勘違いしたシニアが見に行ったことで、1億円強の経済効果を生んだという話もさせていただきました。

 

門倉貴史──そういった話からビジネスのアイデアも生まれそうですね。

 

門倉貴史:そうかもしれません。特に中小企業の方は、どういったところに新しいビジネスチャンスが転がっていて、どうやって広がっているのかという話に関心が高いですからね。最近、私がよく講演会でお話ししているのが、シニアマーケットの重要性です。恐らく、100兆円くらいの消費が生まれると見込まれています。そういったシニア消費にはどのような特徴があって、どう取り組むべきかという話を個別の事例をあげなから説明させていただきます。

 

例えば、今のシニアって「若く見られたい」という人が多いですよね。ですから、そもそも「シニア」という言葉を嫌がる。“シニア向け”と定義される、その広告宣伝戦略がうまくいかないんです。「シニア」とうたわずに、うまくマーケティングでシニア層を囲い込むのが重要になるという、そんな話をさせていただいています。

 

 

自衛のために必要な世界経済の読み方のポイントをお伝えしたい

門倉貴史──近年では、ブレグジットやトランプ大統領の就任、北朝鮮問題などに起因する、世界的な経済不安が続いていますよね。人々の格差も広がっています。こんな時代に私たちはどのように生きていくべきか、そしてどのようにマーケットを捉えていくべきなのでしょうか。

 

門倉貴史:私が「ワーキングプア」という書籍を出版した2006年からは比べものにならないくらい、格差はどんどん広がっていますし、それは日本に限ったことではありません。日本の経済がデフレから脱却していくまでの段階として、格差が一時的に開いていくのは仕方がないこととして、ここまで開いていったのは、やはりアベノミクスが生み出した負の側面なのだと言わざるを得ません。

 

しかし、不安ばかりを抱いていても仕方がありませんし、長期的視野で見ていけば、明らかにこの格差は縮んでいくものと捉えています。人口も減少し、労働力不足も深刻化していますから、企業も賃上げせざるを得ない状況になっています。よっぽどロボット化やオートメーション化の進行や、あるいは大量の移民を労働力として受け入れることがない限り、この傾向は続いていくでしょう。

 

大きなマーケットの話でいえば、ご指摘の通り世界経済は数々の不安要素を抱えていますから、先行きも不透明ですよね。やはりこんな時期には「金」への投資がベストなのでしょう。これだけ貨幣や株式、証券などの価値が乱高下する中、金価格は緩やかに上昇を続けています。希少性が高く価値の裏付けがある「金」は、こんな不安定な時期にこそ力を発揮する、非常に安全な資産と捉えて良いでしょう。まとまったお金がないという方でも、純金積み立てであれば少額からの投資が可能になっています。

 

──最後に、門倉先生の今後のビジョンを教えてください。

 

門倉貴史:やはりライフワークである地下経済を極めていくこと。これは足腰が立たなくなるまでフィールドワークを続けていきたいと考えています。また新興国経済もBRICsの次、フロンティアの次の次の次に台頭してくるのはどの国か?という考察も続けていきます。とにかく、企業にせよ個人にせよ、ビジネスを進めるうえでも投資をするためにも、グローバルな経済知識は必要不可欠なものです。しかも常にアップデートされた最新の情報を捉えておかなければ、あっという間に取り残されてしまいます。そういった意味で、これからも私は、講演に来てくださるオーディエンスの方々に、自衛のために必要な世界経済の読み方のポイントをお伝えしたいと思っています。

 

門倉貴史

 

 

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