今回ご登壇いただいたのは、元全日本男子バレーボール代表としてオリンピックに出場し、その後主将も務めた植田辰哉さん。「経験に学びを重ねる～セカンドキャリアという新たな挑戦～」というテーマで、華やかな競技人生の裏で、現役引退後に直面した“セカンドキャリアの壁”についてお話いただきました。

現役引退後、植田さんは日本製鉄で営業職として再スタートをします。当時すでに50歳。バレーボール界のトップとして過ごした30年間から、まったく異なる企業社会へと飛び込み、スポーツ界から企業社会へ――「一流のアスリートから、一社員としてゼロから覚える立場になった」と話すその日々は、まさに試練の連続。「3年間は地獄のようだった」と振り返りながらも、努力を重ねて営業成績を上げていったことを力強くお話されました。

しかし、55歳を目前にして「どれだけ頑張っても自分は役員にはなれない」と現実を突きつけられます。安定した地位と収入を守るか、自分の道を切り開くか――熟考の末、植田さんは会社を退職し、大学での学び直しという新たな挑戦へと踏み出されました。経済的にも精神的にも厳しい決断でしたが、「自分に嘘をつかない生き方を選んだ」とお話を続けます。

「人生の折り返し地点でこそ、挑戦する勇気と撤退する判断力の両方が必要です」と力強く語る植田さんの言葉に、参加者たちは深くうなずいていました。

講演の後半では、参加者との双方向のやり取りを通じて、「自分の強み＝差別化のポイント」を考える時間が設けられました。植田さんは「自分の強みを言語化できる人が、これからの時代にチャンスをつかむ」と強調。実際に数名の参加者が、自身の経験やスキルを発表し、それぞれの「人にできないこと」について語りました。

それを受けて植田さんは、「挑戦と撤退のバランス」について具体的なエピソードを交えて説明。「登山のように、あと100メートルで頂上という時でも、風の強さを見て引き返す勇気が必要」と話し、守りではなく前向きな“選択的撤退”の重要性を伝えました。

講演の締めくくりでは、「人は求められてこそ生き生きと輝ける。だからこそ、自分の強みを磨き、必要とされる存在であり続けてほしい」と、温かいエールを送られました。

参加者は、役職定年を迎え大手企業を退職し、中小企業や地域での再就職を目指す55～64歳の方々。第二の人生に踏み出す不安や迷いを抱える中で、植田さんの体験に裏打ちされた言葉は、リアルで力強いメッセージとして心に響いたようです。

「セカンドキャリアは終わりではなく、次の挑戦の始まり」。
年齢を重ねても、誰もが自分らしく輝ける――そんな勇気を与えてくれる講演でした。

セカンドキャリアに悩んでいる方、自分のこれからの働き方を見つめ直したい方には、植田辰哉さんの講演がおすすめです。アスリート、監督、そして企業人として数々の挑戦を重ねてきた実体験から、50代以降のキャリアの築き方や、挑戦する勇気やその大切さを学ぶことができます。

また、植田さんは「最高のパフォーマンスを発揮する組織マネジメント」や「今後求められる指導者とは～チームに対する指導力について～」、「論理的コーチング～データから見るスポーツマネジメント～」など、リーダーシップやチームづくりに関するテーマでも幅広く講演が可能です。

経験に裏打ちされた言葉で、聞く人の心に火を灯す植田さんの講演。
企業研修やキャリア支援イベントなどで、ぜひ一度その熱いメッセージに触れてみてはいかがでしょうか。

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