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2006年に料理研究家としてデビューし、確かな知識と温かい人柄、また甘いルックスでも人気を広げている、コウケンテツさん。「料理は技術ではありません。一番大事なのは、美味しいものを食べさせたいという気持ちです」――そう力強く語るコウさんは、同じく料理研究家の母・李映林(リ・エイリン)さんに幼いころから自然と、料理の楽しさを教わってきたという。
コウさんのレシピは、栄養バランスを考えつつ、美味しく、楽しく食べられるものばかり。
手順を追えば、食べる人を思いやる、温かい気持ちが込められていることが分かる。今回の取材でも、常にスタッフを気遣い、気持ちよく受け入れてくれた。その秘密は、母から受けた“食育”と、料理研究家を志す以前に、本気で打ち込んだテニスにあるようだ。
これまでのキャリアを振り返ってもらいつつ、料理の楽しさ、食卓の大切さなど、コウさんがいま一番伝えたいことを伺った。
(text:橋川良寛、photo:小山幸彦)
―はじめに、料理との出会いから聞かせてください。コウケンテツ 僕の家では、幼いころから家族そろって料理を作って、食卓を囲むことが当たり前だったんです。
“母に料理の手伝いをさせられている”なんて感覚は少しもなくて、兄弟4人で競うように、「アレもやりたい、コレもやりたい!」と楽しんでいました。
母親は忙しく働いていたのに、4人の子どもに3食、どんなときも手を抜かずに美味しい料理を作り、お弁当まで持たせてくれました。そんな母を見て、幼稚園のころには、自然とフライパンを握るようになっていたんです。
コウケンテツ 10代の終わりに重度のヘルニアになってしまい、テニスの道を諦めざるを得なくなったんです。そんななかで、料理スクールを主宰する母の手伝いをするうちに、お仕事をいただくようになって。まったく関係がない道に進んだように見えますが、実はテニスで学んだことが、いまの仕事にも活きているんです。
というのも、僕はテニスを始めるのが遅かったこともあって、早くスクールのみんなに追いつくために、身体を作るための栄養学を勉強していました。それに、技術で敵わないなら、相手の長所・短所を見つけて、試合を組み立てることを考えていたんです。つまり、相手が何を求めているのか、自分はそこで何を表現すればいいのか、と考えるクセがついていたので、これが料理の仕事にしっかり活きてきました。
母が常々語っていた「料理を作る上で一番大切なのは、食べてもらう相手のことを考えること」という理念を、身をもって学んだといえるかもしれませんね。相手について深く考えることは、どんな分野にも通じる、大切なテーマだと思います。
―最近では“料理男子”や“男子ごはん”という言葉も広く使われるようになりました。男性も含めて、これから料理をはじめようという人も多いと思うのですが、上達するポイントはありますか?コウケンテツ やはり「この人に食べさせたい」という気持ちで料理をすることです。技術だけを追いかけると、料理はつまらないし、味気ないものになってしまう。例えば子どものころ、友達の家に遊びに行って、帰りが遅くなってしまったとき。「ご飯を食べていきなさい」と言って、友達のお母さんがわざわざ作ってくれた何でもないカレーライスが、なぜあんなにも美味しかったのか。それは技術ではなくて、まさに気持ちがこもっていたからです。
料理って、不思議なほどメンタルの部分が味になるんですよ。最近は「手抜き」や「時短」がテーマになることも多いし、日々料理を続ける上では、それはそれで便利な知識になると思いますが、できれば誰かのために、じっくり、しっかり料理をしていただきたいと思います。それが、上達への近道ですね。
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